第9話 冒険者と遭遇

私とミハイルは馬車から降りて一声かけました。


「あのー。お手伝いは必要ですか?」

「ああ、たのむ。魔物の数が多過ぎてヤバい状況なんだ!」


「サンドプロテクション!」「サンドショット!」


この魔法はサンドウオールと違って対象をすっぽり覆う防御魔法です。4人を覆ってから周りの魔物を倒します。シャドーウルフとか言う魔物でフォレストウルフの上位種なのだとか。ミハイルは一切収納しません。サンドショットはサンドボールの複数打ち出す魔法です。倒し終わったので防御魔法を解除します。リーダーの方らしき男の人が近づいてきました。


「ふう。お嬢さん達助かったぜ。俺達はCランクパーティのサザナミって言うんだ。俺はリーダーのジャック。さっきの魔法はなんだい?」

「中の人を守るための砂の防御魔法です。」

「そうか、俺達を守ってくれた上で魔物と戦ってくれたんだな。ありがとう。」

「いいえ。それよりどなかたかお怪我はされてませんか?」

「槍戦士のポールが足を噛まれたみたいだ。」

「ヒール!それとキュアー!これで毒や狂犬病も安心なはずです。」

「うおっすげえ!腫れていたのに痛みが引いたし傷口もなおってる!ありがとうお嬢さん。」

「いえいえ。エリス様の御力です。先を急ぎますので私たちはこれで。」

「待ってくれ。この魔物たちはどうするんだ?それにエリス様ってなんだ?」

「魔物は戦っていた皆さんの物ですのでどうぞご自由に。エリス様はこの世界の万物を創造して下さった創造主です。ではお気を付けて。」

「バーレンに行くのならぜひ俺達も一緒に同行させてくれ。お礼に案内するよ。」

「ミスナ様。同行されては如何ですか?」

「そうですね。では荷車を作りますからけん引していきましょう。」

「何から何までありがたい。」


私は早速砂魔法で牽引用の荷車を作りました。もちろんエリス様の紋章付きです。冒険者の皆さんは私の砂魔法に驚き、慌ててシャドーウルフの魔物をせっせと乗せると自分達も乗り込みました。そしてクリスタル馬車に連結して出発します。


途中野営をしたり魔物に遭遇したりして港町バーレンに向かいました。野営時に別にもう一つサンドハウスを作ろうとしたのですが、冒険者の皆さんは遠慮してテントで寝ていました。これ以上快適だと冒険者稼業が辛くなるからだそうです。そして旅をするうちに皆さんは私の事をお嬢さんから聖女様と呼ぶようになっていきました。何故でしょう?


「聖女様。あれが港町バーレン。この国の首都です。入街税が必要になりますよ。」

「ミスナ様。私が払ってまいりますので中でお待ちください。」

「はい。ではお願いねミハイル。」


「見かけない紋章ですが。あなた方はどこの領主様でしょうか?」

「いえ、私たちは旅の者で商いにきました。入街税を治めます。」

「そ、そんな豪華な馬車に乗っていて一般市民ですと!?」

「「「ざわざわ・・・。」」」

「そうです。税はおいくらですか?」

「う、うむ。人一人につき10ゴルド、2頭立て馬車は100ゴルドだよ。」

「私達は2人なので120ゴルドですね。これをどうぞ。通っていいですか?」

「あ、ああ。バーレン王国にようこそ。」


城門を守る守衛さんたちは半開きの口で綺麗なクリスタル馬車を見送ってくれました。冒険者さん達は冒険者カードがあるのでフリーパスなのだそうです。身分証代わりになるのなら私達も持っていて良さそうですね。


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