第41話 冬月さん、看病といいつつ俺君の貞操を狙う

「大丈夫? 磯風君?」


「う__ん? 冬月さん?」


俺が目を覚ますと目の前に冬月さんがいた。ここはテントの中か?


冬月さんはピンクのシンプルなビキニを着ている。シンプルが故にきわどい。大人びた身体に高校生のまだ幼さを残した身体がエロい。


「俺、どうしたんだ?」


「私がスイカぶつけたら__磯風君が海に沈んじゃったの、ごめん」


俺は思い出した。幸せの記憶を心の奥深くに留めようとしてた矢先に突然シャチが飛んで来て__それから意識がない。


「ご、ごめんね。あんなにクリーンヒットするとは思わなくて」


「いや、気にしないで、俺がボケっとしてたから」


「そう?」


「もう大丈夫だよ」


「じゃ__しよ♪」


「はっ?」


今、冬月さんがおかしなこと言わなかったか?


「えっと、冬月さん? 何をするの?」


「や、やだ。磯風君__女の子の方から言わせる気?」


「えっと、そうは言われても__俺、理解が追いつかない」


冬月さんは一体どうしたんだ? それとも俺はまだ夢でも見てる?


「もぅ、磯風は女の子にこんなこと言わせて__だからエッチなこと__しよ♪」


「はあッ?」


いや、ちょっと待て! なんで? 陽葵やアリーさんはともかく__何で冬月さんが? やっぱりこれ夢だろ?


夏の海は理性をぶっ飛ばす最高のドラッグか?


これ夢だよな? 夢の中なら……何してもいいよな?


「冬月さん、どうして俺を誘ったの?」


「……磯風君が私を目で誘ってたくせに……」


そういうと、ふいに冬月さんは笑みを浮かべて、自分のビキニの上をとった。


Dカップはある胸が、唐突に目の前に出されて、時が止まる俺。


そして、冬月さんは。


「……磯風にしか見せたことないからね♪」


「……冬月さんの胸、綺麗だね」


「そお?」


冬月さんは耳を真っ赤にして俺に近づくと耳元で囁いた。


「下も見たい?」


冬月さんの魅惑的な声に俺は声を出さずに意思表示のため何度も首を縦に振った。


「こんなこと磯風君にだけだからね?」


冬月さんは胸を隠しもせず、露わになった……谷間を……谷間を作るようにしゃがむと、ピンクの小さなビキニの下をゆっくりと脱いでいった。


さがっていく水着。


ざわめく海の音。


一糸まとわぬ冬月さん。


「……き、綺麗だ」


友達の筈の冬月さん……でも女の子……エッチな目で見る事はできる。


「冬月さんのイケナイとこ見せてよ」


俺は夢じゃなきゃ絶対言えないことを言った。


すると冬月さんはさすがに恥ずかしいらしく、すぐには返事がない……。


もじもじしている冬月さんにイライラしてきた俺は、冬月さんに無理やりキスをした。


そして、冬月さんの顔を見つめた。顔が真っ赤に染まった冬月さん。


まるで本物みたいだ。


そして、観念したかのように冬月さんが言った。


「……わかったよ。よーく見てね……」


俺は……冬月さんが……足を開くのを手伝った。


【お兄ちゃーん!!】


突然大きな声が響く。陽葵? なんで陽葵が? これ夢だろ?


慌てて水着を着る冬月さん。


そしてテントを出る時。


『ひみつだよ』


耳元で囁いた。


俺は……これは夢なんだ……そう思うことにした。


夢はまだ続いた。なんか思考がおかしい。


☆☆☆


「磯風ぇ! レジャーゴムボート借りてきたよぉ! 漕いでぇ!」


「ああ、わかったぁ!」


俺はアリーさんの誘いにのってしまった。そんな危険なことしていい筈もないのに……。


「ちょっ? お兄ちゃん?」


後ろから陽葵の声がぼんやり聞こえる。やっぱり夢だ。陽葵の声は響くもののはっきり聞こえない。


「早く漕いで、漕いでぇ!」


「よっしゃぁ! 任せて!」


ぐんぐん漕いで行くと、あっという間に沖合に出た。


「ふふっ。そりゃぁ!」


「やったなぁ!」


バシャバシャと互いに海水を掛け合う二人。だけど。


「や、やんッ!」


俺が勢いよくかけた海水のせいで水着のトップが……いつの間にかなくなっていた。


ポロリしたビキニを探すと、ボートの外に落ちていた。


「よっ」


軽く手を伸ばしてブラを掴んで取り戻す。


「もう~磯風ぇ~それ、私の〜〜!」


と言いながら、アリーさんは胸が丸見えでこっちに近寄って来る。


これも夢なんだ。上半身裸のアリーさんを見て……俺の理性はショートした。


「確かにアリーさんの水着だね。それにしても……かわいい胸だね♪」


そういって、アリーさんの胸をわし掴みにした。


「ひゃぁあああーん♪」


あれ?


俺はクラクラして来た。真夏の海にやられたか?


いや、夢が冷めつつあるのか?


ムニュ


心地よい膨らみの感触が。


アリーさんの胸が……柔らか過ぎて、気持ち良すぎる。


「……い、磯風」


「アリーさん?」


アリーさんがキスして来た。理性が崩壊しそう。いや、もう崩壊してる。


もう、押し倒しても罪にならんよな?


水着のぽっけにゴム入ってるけど……夢だし、いらないよな?


「い、磯風……して♪」


「うん」


そう言ってアリーさんのビキニパンツをずり降ろそうとするが……。


『妊娠確率80% 』


耳元でボソッと囁くアリーさんはとんでもなくエロかった。


だけど……これほんとに夢?


夢にしては……その感触が……アリーさんの胸の……。


俺は夢であろうともアリーさんから逃げようと思った。


何かのアラームが強烈の俺の中に響いたからだ。


「早く水着着てぇ! こんなに沖合だと帰れなくなる!」


「え?」


実際凄い沖合に来ていた。俺は必死で漕いだ。気がついて良かった。


「磯風ぇ! 頑張れぇ~」


アリーさんも漕いでくんないかな?


可愛いと何にもしなくてもいいと思うのよくないと思う。


俺の直観はあたった。行きと違って潮流は逆に流れていて、必死に漕いでも遅々として進まない。


そうして、ようやく岸に近づいたが。


「まずい。磯だ」


「磯?」


「磯は見かけと違って潮の流れがきついんだ」


「じゃ?」


「ああっ」


「頑張れぇ! 磯風ぇ~!」


手伝わんのかい! 夢の中でも勝手だな!


何とか磯へ激突するのを回避して、岩陰近くの浜辺に着岸した。


「助かった。ようやく……ゆっくり……できる」


1時間近くボートをこぎ続けた俺の腕も全身も悲鳴をあげていた。


意識がもうろうとする中。


「ねえ、あの岩陰でぇ~。あおかんしよ♪」


「するかぁ~!」


思わず怒鳴ったが、そこで俺の意識は途切れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る