第27話 天使様、部室で俺君の肩に弾力あるものを押し付ける

俺はアリーさんが文芸部に入ったことで顔がひきつる。


「はい。これ、入部届」


「これ無効」


「なんで?」


「日付が書いてない」


「今、書けばいいでしょ?」


「いや、明日出直してくれないかな?」


『__妹さんとあんなこと』


「__入部を認めます」


「よろしい」


はあと思わずため息が出る。


「エッチなこと考えてないよね?」


「女の子にそんなこと聞く?」


「__ご、ごめん」


『考えてるけど♪』


ボソッととんでもないこと言うアリーさん。


「こっちの本棚がラノベ中心で、こっちがミステリー、そんでこっちが本格的な文芸作品」


「__文芸作品少ないぞ」


「文芸部なんて名前だけで__代々ラノベばかり読んでたみたい」


「まあ、今どき文学に興味持つ子あんまいないよね」


「ああ、だから好きな本を読んで、好きな時に帰ればいいだけだから、基本読む以外何も縛りがないから、楽な部だよ」


「__そう」


アリーさんは短く答えるとラノベを物色して、何か二、三冊見繕って席に座ると読書を始めた。


黙って本を読んでると様になるな。思わず見惚れる。


いかん。天使様を鑑賞してないで俺も読書をしよ。


俺もラノベを手に取ってお気に入りのシリーズをシオリのとこから読み始めると、突然。


ムニュ


肩に弾力があるものが__。


陽葵ほど大きくないけど、多分女の子のあれだろう。


「アリーさん!」


ちょっと怒気を含んだ声で言う。少し強く言っておかないと、この天使様はどんどん暴走しそうだ。


「飽きちゃった。もっと文芸的な遊び__しよ」


「変なことしない?」


「変なことするぞ♪」


「__」


どうせ妹のことで脅されて拒否権ないけど__陽葵みたいに自爆してエロいことになることはないだろうと腹を括る。先日誰もいない家に誘惑されて以来、そこまでの誘惑はない。


耳元でデレられるのはかなりHP削られたけど__直接エロいことにはならん筈だ。


陽葵を裏切ることには発展しない筈。


「どうせ拒否権ないんだろ?」


「ないわよ。ちゃんと準備もしてきたから安心して♪」


これは確信犯だな。


「じゃあ、始めるぞ。脱衣王様ゲーム♪」


「はあ?」


脱衣とか言わんかったか?


「ここにサイコロがあるから偶数か奇数を決めて、決めた方のさいが出た人が勝ち__そして勝った人が命令できるの♪」


「それのどこに脱衣の要素あるの?」


「勝った人は命令できるのよ。当然私の服を脱がしていいんだぞ♪」


「__」


脱がさなければいいだけだな。


「じゃあ、俺奇数」


「私は偶数ね。じゃあ、最初はジャンケンで順番を決めて順番にサイコロを振るわね」


ジャンケンするとアリーさんに負けてしまった。


コロコロ


アリーさんがサイコロを転がすと偶数の目が出た。


「まずは私の勝ちね♪」


「うっ!」


しまった。俺が脱がされるということを失念していた。


それが狙い?


まさかアリーさんってむっつり?


「じゃ、命令するね。私が服を一枚脱ぐ」


「は?」


俺は思わず素っ頓狂な声が出る。


アリーさんは夏服の制服のリボンを解いて机の上に置く。


「まずは1枚。これじゃだめ? なんならシャツ脱ぐわよ」


「い、いやいいです」


俺はアリーさんの誘惑にまんまとハマってしまっていた。


リボンを解いただけで、エロい。ちょっと理性が飛んだ。


「今度は俺の勝ちだ」


俺はニヤリと笑った。


「命令。アリーさん、服を着て」


「ううん、もうー」


怒ってたアリーさんは綺麗だな。だけど服を着ろと言われて怒るとか__。


「また勝ったぁ!」


立て続けに負けた。2連敗。


アリーさんは既にリボンを解いていて、次は__靴かな。


「ち、ちょ、アリーさん!」


アリーさんはあっさり、大胆に制服のシャツを脱いだ。


上半身ブラだけのアリーさんが目の前にいる。


俺の目が泳ぐ、アリーさんの胸__D位?


まずい! 早く勝たないと!


俺は間違ったスパイラルに陥った。


それから一進一退。


シャツを一旦は着てもらうことに成功したが__。


シャツの次はいきなりスカートを脱いでしまった。


上半身ブラだけ、下半身__白い清楚なショーツ、それにハイソックスとローハー。


ここ異空間? おかしいよな?


「ね、ねえ? 流石にまずいよ」


アリーさんにグイグイ押されて流されたけど、流石に学校の中でこれはまずい。


それに陽葵が来るかもしれない。


俺の汗ばんだ身体に冷や汗がたくさん出た。


「なんで? 男の子ってこういう展開好きなんでしょ? さっきのラノベ、こういう展開だったぞ」


男の子向けのラブコメは本当の恋愛の参考になるわけあるかぁ! あれは男の妄想の結晶だ! 都合のいい異世界だ!


「お、お願いだから__このままだと_俺__社会的に死ぬ__」


「じゃあ、私の胸に触れながらキスしてくれたら今日は許してあげる__妹さんにしてたみたいに」


「ぐっ」


アリーさんの狙いはこれか__俺が海で陽葵にしてたのと同じことを__。


俺はアリーさんの誘惑__ていうか脅しに屈した。


ムニッ


チュ


軽くキスする。ソフトなやつ、だが。


「―――――!!!!」


アリーさんが大胆に俺に抱きついて来ると激しいキスをしてきた。


俺の口内がアリーさんの舌で__それが凄く気持ちがいい。


少し陽葵とは違う感触。


だ、だめだ。こんなのだめだ。


「アリーさん、こんなのだめだ!」


思わずアリーさんを突き放す。


だが、その時__部室のドアが閉まる音が__多分陽葵がドアを閉める音が__聞こえた。

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