第177話 拷問?
「【
指をパチッと鳴らして巨大なドーナツ状の氷を消したマーズの表情には、ほんの少しの驚愕が混じっているように見えた。
「じゃあ次は、【
「どうしたって、あれ……体が」
マーズが首を傾げた理由を聞き返そうとしたとき、眩暈がして体がぐらりとよろめいた。
ミライが俺の体を支えてくれてくれる。
赤い盾はその透明度を増していき、やがて消滅した。
「あれ、盾が……勝手に消えた?」
「かなりの時間その盾を発動させていたわけだし、限界がきたってことじゃないの?」
心配そうに近寄ってきたマーズが、ミライの体に寄りかかっている俺をのぞき込む。
「そういう、ことか」
現状の俺ではここまでってことらしい。
でも、かなりの時間盾を持続させることができた。
正確な時間は計っていないが、短く見積もっても五分くらいは持続できていたんじゃないだろうか。
「でも……そうか、すげぇな、この盾」
氷の大魔法使いマーズの【
しかも、なんならまだ耐久力には余裕があった。
「なぁ、マーズ。まさかとは思うが、手を抜いていたってことはないよな?」
「失礼なこと言わないでくれる? 私がそんなことするわけがないでしょう。技の強さの誤認は、命に直結するのよ」
「悪い。これまでの経験から素直にマーズのことを信じられなくてな」
「あのぉ……誠道さん」
俺とマーズの会話にミライが割って入ってくる。
「なんだよ、ミライ」
「いいかげん私のおっぱいに頭を押しつけるようにしてもたれかかるのはやめてください」
「なっ……!」
うそだろっ!
俺っていまそんな状況になってたの?
なんか頭が極上の柔らかさに包まれているなぁって思ってたら、そういうことだったのね。
べべべ、別にすべてを理解した上でこの状況なら誤魔化せるかなぁ……と思ってミライのおっぱいに頭を押しつけつづけていたわけではないよ。
「すまん。ちょっといま体に力が入らなくて、自分で動けないんだ。これは不可抗力だ」
「……はぁ、本当にしょうがないですね」
ミライはため息をつきながら、俺の腕を自身の首に回して……ああ、頭からおっぱいが離れ―ー
「とりあえず休憩しましょう。さぁ、マーズさんがちょうど持ってきていたあの椅子に座って休んでください」
「ああそうする――わけねぇだろうが!」
あの椅子は本来犯罪者を拷問するための椅子だからね!
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