第126話 強敵登場!
「もしかしてさ、これ、全部ミライが仕組んだ罠ってことはないよね?」
「そんなわけがありません。誠道さんには私がそんな野蛮な人間に見えていたんですか」
「うん。見えるに決まってるよね」
「ひどいですっ! いくら私でも秘密の部屋に連れ去るなんて面倒なことはしません。だって、寝ている間に鞭で縛ればいいだけですから」
「そういうところが疑われる要因なんだけど、自覚してる?」
『この私を無視して楽しそうに二人でイチャイチャするなんて、あなたたち、覚悟はできているのよね』
「俺たちの会話のどこが楽しそうに見えるんだよ!」
『どこって、鞭で縛ると話していたでしょう』
「あんたもそっち系の女かよっ――――って」
俺は、いつの間にか俺たちの言い争いに入ってきていた女性に目を奪われた。
「イチャイチャって、そんな、私と誠道さんは他人から見るとそんなふうに、縛る縛られるの関係でがっちり結ばれているように見えるんですね」
はぁ。
頬を赤らめながら体をもじもじさせているミライはどうでもいいとして。
「お前……誰だ?」
黒光りする黒革のソファに、色っぽい女性が足を組んで座っている。
綺麗な青色の瞳に、クールなモデル系の顔立ち。
髪は綺麗な銀色で腰のあたりまで伸びている。
極めて女性的な肉づきの体を見せびらかすような布地の少ない(端的に言えば、上は下乳が見えてしまうほど小さい黒のビキニ、下は超ミニの黒タイトスカート)の上から、黒のローブを羽織っている。
青く輝く宝石? のペンダントを身につけ、手には魔法使いが持つような杖を所持していた。
「誰……とは、つれないことを言うじゃないか。今日一日、この私がコンヨクテンゴクを案内してあげたというのに」
「……え、まさか、仲居さん?」
うそ?
全然似ていないよ。
ってかまったくの別人なんですけど!
「ふっふっふ」
自称仲居さんは妖艶に笑いながら、ゆっくりと足を組み替える。
「あの仲居の姿は、私がメイクで二時間かけて変身した仮の姿で」
「そこは魔法で変身しろよ」
明らかに魔法使いっぽいんだからさ、あなた。
「ようこそ、私が魔法で作り出した、服従の間へ」
「これは魔法で作ったんかい」
「私は元大魔法使いにして、現在は不死を司る、悪魔堕ちした魔法使いの」
気がつけば、彼女の座っているソファが氷漬けになっていた。
俺は、ごくりと生唾をのみこむ。
こいつ、確実にヤバいやつだ。
大魔法使いが悪魔堕ちって、クソつよ魔法使いの典型例じゃん。
なんで俺の前には毎回こんな強いやつが現れるんだよぉおおおおお!
「リッチーのマーズ・シィよっ」
「裕福なのか貧乏なのかはっきりしろ!」
そしてどうしてこんなふざけたやつが現れるんだよぉおおおおおおお!
「はっきりしろなんて言われても、私は比較的高収入な家庭で育ってはいるけど、母親が変な宗教にはまったせいで家庭はいつもかつかつで」
「本当に裕福な貧乏人だったっ!」
そんな数奇な人生が本当にあるんですねぇ。
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