17

「…ごめんなさい。捨てちゃって、もう無いんです」


「どうして?」


「…喧嘩、しちゃって。ちょっとした事なんですけど、それが、茉莉ちゃんが居なくなる前の事だったから…。それで、私」


「いいのよ。辛いことは、無理に言わなくても」


きっと、その喧嘩が原因で、友達が居なくなったと思ったのだろう。


あざみは、何度も、自分の事を責めたに違いない。


「茉莉ちゃんは、いつも、こんな感じの手紙は書かないんだよね」


その事を秋乃も察したのか、話題を変える。


「はい…。でも、茉莉ちゃんが使ってた手紙だし、それに、彼女、お花が好きだったから」


「確かに、色々な花の名前が書いてあるわね」


「だから、茉莉ちゃんが書いた手紙に、間違いないんです」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る