第8話 2人からの誘い……さて、どっちを選ぶ?

 無事に修羅場をくぐり抜け、大石おおいしにも許してもらえて、最高な気分で制服のままベッドにダイブする。


 昨日はずっと大石に何を言えば許してもらえるかを考えていたため、気を休める暇がなかった。

 そのため、あまり寝れていないし、心身ともに疲れているのだ。


「はぁ……よかった、許してもらえて」


 何でも言うことを聞くと言って、宮崎の存在を話すために過去のことから全て話すことになったが、結果的に許してもらえた。

 それだけで大満足である。


「……ん?」


 反射的にスマホの電源を入れると、一通のメールが届いていた。

 先程連絡先を交換したばかりの大石からだ。


『突然メールごめんね! 大石瑞希おおいしみずきです!

 さっきの約束のことについてだけど、今週の土曜日はどうかな?』


 さっきの約束というのは、恐らく2人でどこかに行きたいってやつだろう。

 今週の土曜日は特別な用事もないため、大石に承諾のメールを送ろうとすると、再び違う相手からメールが一通届いた。


『今度の土曜日、一緒に遊ばない?』


 簡潔な文面のメール。

 このメールの送り主は宮崎みやざきだ。


「…………」


 非常に困った。


 何でも言うことを聞くと言って、休日に遊ぶと約束をしてしまった大石。

 そして復讐相手である宮崎。


 復讐相手からの遊びの誘いは貴重だ。

 この遊びの誘いに乗れば、きっと復讐成功にも一歩近づくだろう。

 でも、僕は宮崎の遊びの誘いを断らなければならない。


「悪いが土曜日は予定がある。来週の休みなら大丈夫だ……っと、送信」


 つくづく勿体ないことをしているのかもしれない。

 しかし、もう大石と約束をしてしまっているからには、また宮崎と遊ぶために断ることなどできやしないのだ。


 日曜日に遊ぶ手もあるが、既に日曜日は妹と映画鑑賞をするという予定が入っている。

 そのため予定が空いているのは、平日か来週の土日しかないのだ。


 宮崎に断りのメールを送ると、すぐに返信された。


『わかった。じゃあ来週ね』


 メールでは相手の感情を読み取ることが出来ない以上、宮崎がどう思っているのかは分からない。

 変に誤解されてないといいけど……


 そう思いながら、宮崎とのトークルームを閉じ、大石とのトークルームに戻る。


「大丈夫だよ。どこに行こうか? ……っと」


『私ショッピングモールで買い物したい!』


 大石も宮崎と同様、返信したらすぐに返事が来る。

 返信速度が尋常じゃない。


 女子って皆こんななのか……?


 女子怖い女子怖い……と思いながらも、その後もベッドに寝転がったまま大石との連絡を続けたのだった。

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