第8話 林間学校1日目 雷と大雨⁉︎
私たちは雨の中、山を下山している。
「雨ってやだよな」
「雨の日って暗い気持ちになるよね」
ひよりは炎のほうを見た。ひよりの後ろに炎が歩いている。
(雨降ってきてから、炎くん、いつもの元気がない?)
炎に目を取られ、足元を一瞬見なかった。足元にはぬかるんだ泥があり、足を取られた‼︎ 転ぶ‼︎
「きゃあっ!」
ひよりが前に傾いた!
「大丈夫?」
炎は後ろから手を回して、ひよりのお腹を支えて、助けた。ほぼバックハグのような状態だ。ひよりは驚いて、炎の顔を見た。2人の顔が近い!!キス出来るくらい近い!
「怪我してないか?」
距離が近いことに気づいたひよりは慌てて、炎の体を離した。
「わっ!ごめん!どこも怪我してないよ! 本当に助かった‼︎」
「気をつけろよ!」
「うん。ごめんね!」
「だいぶ雨降ってるし一旦、雨宿りでもするか」
「また転ぶことになりそうだしね」
「あそこに屋根付きのベンチあるぞ」
ここら辺は山小屋がない。
「そこで雨宿りしよう」
私たちは屋根付きのベンチで休憩している。
「炎くん!本当にありがとう!危ないところだったよ」
「ひよりちゃんに怪我がなくてよかった」
「よく咄嗟に動けたね」
「炎すごい!」
ゴロゴロ
「雷の音しないか?」
紫音は耳がいい。
「ホントだ。ヤバッ!」
「山での雷は危ないよ!」
光輝は焦っているみたいだ。
「木多いし、雷落ちる」
こんな状況でも、氷は冷静だ。
「どうする⁉︎ これは命の危機じゃない?」
レイカも驚いている。
ひよりは雷が怖すぎて震えている。
「ひより! 大丈夫だ! 俺がいるから!」
炎はひよりの肩を抱いた。しかし、その手も震えていた。
ピカ! ゴロゴロ〜!!
「どうする! 山小屋探すか⁈」
「今はどこにも行けないよ! 大雨だし、動けない」
「ここに落ちないことを祈るしかない」
夜風は不安で挙動不審になっている。
「夜風、落ち着け」
氷は夜風の肩に手を置いた。
「う、うん。ありがと」
「みんなで集まっとこう」
私たちはみんなで丸くなって集まった。
その瞬間! ピカ! ドーン‼︎‼︎‼︎‼︎
地面から響くような音だ。目の前の木に落ちた!
いつもはピカ!という光を見た後に、ゴロゴロ!という音がする。しかし、今の雷はほぼ同時だ。
夜風、ひより、紫音、炎、氷は気絶した。張り詰めていた中で、目の前に雷が落ちたからである。気絶しなかったのはレイカと光輝だけだ。
「みんな、大丈夫⁉︎」
「気絶してるね」
「レイカちゃんは大丈夫?」
「大丈夫、だけど呼び捨てでいい」
「目の前のあの木に落ちた?」
「そうみたいだね」
今、光輝が1番冷静である。その理由は苗字が雷坂だからなんだって! 理由、安易すぎるだろ!
「もう少しで僕たちに落ちるとこだったね」
「本当に危なかった!」
「……あの木、内側から燃えてない?」
「燃えてるよ!急いで逃げないと!」
雷はもう止んだ。しかし、まだ雨は降っている。気絶しているみんなをどうにかして起こそうとしているが、なかなか起きない。火の手が近くまで来た!パチパチと音が聞こえる。
ガバッ‼︎ 一斉に気絶していた5人は起きた。火の音が聞こえたからだろう。
「あれ?ここどこ?」
起きた5人は状況を理解出来ていないみたいだ。
「そんなことより、速くこの山を降りないと‼︎」
「山火事になる‼︎」
私たちは急いで、山を降りた。雨はまだ降っていたが、さっきよりはマシだ。けど、まぁまぁ大雨である。
宿に着いた。今は18時ちょうどだ。ギリギリ集合時間に間に合った。しかし、クラスメイトが誰一人としていない。先生もいない。
「なんで誰もいないの?」
***
夜風が今回の話で惚れのは……炎‼︎ ひよりを助けた姿がかっこよかった‼︎
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます