第7話 林間学校1日目 桜⁉︎

 林間学校1日目


 今日は山でハイキングだ。

 てか、始業式の次の日が林間学校ってどういうこと? 目的はクラスメイトとの仲を深めるということだ。林間学校って普通、夏にやるものだよね? 今は春ですけどー、というか……桜が咲いてます! お花見登山ですね。桜がたくさん咲いているので楽しいです。


「桜、綺麗だね〜」


「夜風は桜がよく似合うね」

 光輝はニコッと笑った。


「桜が似合うってどういうこと?」

「似合う、似合わないなんてある?」


「夜風が可愛いってこと」

 氷は私をまっすぐに見ている。


 夜風は頬を赤らめた。


「……急になんだよ」


「ほら、照れて顔が赤くなってるとことか!」


 炎は私の頬を撫でた。


「今日も5人の恋は熱いな」


「仲良くて楽しそうだね!」


 レイカとひよりにからかわれた。


 班のメンバーは夜風、イケメン4人、レイカ、ひよりである。


 もうお昼だ。班ごとにレジャーシートを引き、お弁当を食べる。レイカとひよりはレジャーシートの場所を取りに行ってくれた。ということは、イケメン4人と私だけになった。


 ビュワーッ!

 

 風がいきなり強く吹いた。桜がひらひらと舞い散っている。

 髪がなびく。私は桜の木を見た。


「風が強いと、すぐに散っちゃうね」


「散ってる桜も綺麗だけどな」


「ついてる」


 氷は夜風の髪についていた桜の花びらを取った。


「ふふっ!氷もついてるよ」


 夜風も氷の髪についていた花びらを取った。


「俺のも取って!!」


 炎は自ら花びらを頭につけた。


「わさわざ付けたら意味ないよ!」


 そうは言っているが、夜風は炎の花びらを取った。


「……あのさ、4人って喧嘩したことあるの?喧嘩してるとこ見たことない」


「今でもたまに喧嘩してるぞ」

「でも、夜風にバレないようにね」


「小学校の頃は誰が夜風を惚れさせるかっていうバトルしてたんだ。それでよく喧嘩してたな。だけど、夜風は4人全員が好きって言ったから僕たちの目標は達成したんだよ」


「俺たちは今、誰が夜風の彼氏になるかでバトってる!言い換えれば夜風の1番をとりたい!」


「今もまだ……4人全員が好き」

「でも、付き合って!と言われたなら1人を選ぶ必要があると思ってる」


「そんなに気負うことはない。急いで決める必要はない」


「夜風は自分に正直にいて欲しい。1人を選ぶのが大変なら別に選ばなくていい。それは……夜風が幸せになってほしいからだよ。僕たちが1番大事なのは夜風なんだ。1人を選ぶも選ばないも夜風がしたいようにして欲しい」


「分かった。もし4人の中の1番が決まったときは言うけど、今は全員が大好きだよ!」


「そうなんだ〜!やっぱり夜風は4人のことが好きなんだね!」


 レイカとひよりがレジャーシートを引く場所を決めて、戻ってきた。


「いつの間に!」


「今来たばかりだよ。なんか大事な話してたの?」

(大事なところは全部聞いてたけどね! フッ!)


「いや〜別に‼︎」


「ふーん」


「お弁当食べよ‼︎」


「そうだな‼︎」


 私たちは一緒にお弁当を食べている。


「午後は自由行動だね」

 レイカは唐揚げを頬張って、食べている。


「18時に宿、着けばいいんだよね」

 光輝はスイートポテトを食べている。甘党だ。


「うん。行ったこともない宿なのに勝手に行けって無茶だよね」

 私はブロッコリーを食べている。おいしい。


「そうだけど、自由行動楽しいじゃん!」

 ひよりは桜で遊んでいる。桜で遊ぶ? なんだそりゃ?


「まぁね」


 学校はおかしいと思う。この山から宿は近いみたいだが、宿の住所を教えてもらっただけだ。この山を下山して、宿に行かなければいけない。行きはクラスで登山したが、今はみんなバラバラになって分からない。迷子にならないようにしなければ。


「雨か?」


 ポツポツと雨が降って来た。

 私たちは急いで弁当を食べ終えた。


「雨の山は滑りやすいからゆっくり下山しよう」


「そうだね」


 山を降りるとなると、足元が見づらいため、滑りやすい。本降りになってきた。絶対に誰かが転びそうだな。

 気をつけよ。



***

夜風が今回の話で惚れた人は……氷‼︎ 髪に桜の花びらがついていて可愛かった!

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