番外編3話 バレンタイン当日⁉︎

 バレンタイン当日!

 夜風はいつも通り、4人と一緒に小学校に向かっていた。


「今日の体育、楽しみだなぁ」

 4人にいつチョコ渡そうかな。


「授業でサッカーするんだろ!」

(夜風、チョコくれるかな)


「夜風ってサッカー習ってないのにすごい上手だよね」

(夜風からチョコ欲しいなぁ)


「でもほぼ力ずくって感じだけどな」

(チョコ欲しい)


「力ずくでサッカーするほうが難しい」

(……チョコ)


「そうなんだよ。技術がないから習ってみたいんだよね。だからサッカー部がある女子校に行くんだけどね」


『中学から夜風とは違う学校になるのか……』

 4人は小さい声でボソッと言った。



◆ ◆ ◆


 昼休みだ。みんなチョコを渡している。私はチョコを頼まれたしゅんとリョウ、クラスの男子にあげた。ものすご〜く喜んでいた。私は「義理チョコだよ‼︎」と念を押して言った。4人は私のほうを見て、チョコが欲しそうな顔をしていた。しかし、昼休みにはあげなかった。


 クラスの男子にあげてるのになんで俺、オレ、僕、ボクにはくれないんだ。

 4人ともしょぼくれている。



◆ ◆ ◆


 放課後だ。私たち5人は帰宅途中である。


「あのさ、渡したいものがある」


 そう言って夜風は4人分のチョコを手にした。


「いつも仲良くしてくれてありがとう」

「4人が告白してくれたとき、私は友達としてか見れないって言ったよね。でも、今は……友達じゃなくて好きな人になった」

「4人が好き……」

「4人は私のことが好きなのに、私は4人全員が好きなの」

「ズルくてごめん」


「はい、本命のチョコあげる」


 夜風は4人にチョコを渡した。クラスの男子に渡していたチョコクッキーとは違く、小さいハート型のチョコが何個か入っていた。4人は受け取った。


「オレたちのことが好きって言った?」


「うん」


「これ現実?」


「そうだよ、どうしたの?」


「現実なのか信じられないくらい嬉しい!」


「……嬉しい」


「でも4人全員が大好きなんだけど……」


「前までは俺たちのことを友達としてか見てくれてなかったのに、好きって思ってくれた」

「次は4人のうち誰のことが一番好きになるかだね!」


「一番はこのボクだ」


「それはオレだ!」


「俺!」


「……本当にありがとう」


「中学生になったらみんな、違う学校になっちゃうけど、これからもよろしくね」


『おう‼︎』


 こうして小6のバレンタインは夜風が4人に告白して終わった。



 4人のうち誰のことが一番好きになるのかは分からない。それは高1になってもまだ、変わっていない。夜風は4人に「付き合って!」と言われて、それに応えるために、4人のうち1人を選ぼうとしている。4人もそのうちの1人に選ばれたいと思っている。でも!夜風は4人のことが大好きだ!1人だけを選ぶなんて出来ないとも思っている。未来は誰も知らない。

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