番外編2話 チョコクッキーを作ろう⁉︎

 夜風は4人にチョコを作っていることがバレた。


「これはクラスの男子にあげるチョコだよ」

「別にお前らのチョコじゃないし!」

 テンパりすぎて自分でも何を言っているか分かんなくなっている。


(紫音と同じような、あまのじゃくになってる?)

(それならチョコ貰えるかな?)


「一緒に作ろうぜ!」


「え?」


「俺たちもチョコ作るの手伝うってこと」


「本当に?」


「クラスの大半の男子にチョコを作ないといけないんだろ」


「そうなんだよ。多すぎて困ってたとこだからありがとう」


「夜風はモテるな」


「なに言ってんの。氷なんて明日何人からチョコ貰えるだろうね。夜風が今回あげる分よりも多いでしょ」

「4人はいつもバレンタインのときたくさんの人から貰ってるじゃん」


「……オレらはたくさんの人から貰うより夜風から貰いたいんだ」

 そっぽを向きながら、紫音は言った。


「え?」

   

 あげるからそんなに焦るなって!

 オレじゃなくてオレらって言うところが優しい

 しょぼんとしている紫音も可愛いなぁ


 夜風は嬉しい気持ちでいっぱいだ。


「なんでもないよ。チョコ作ろ!」


「う、うん」

 一緒に作ってくれるなんて嬉しいなぁ


「どんなのを作ろうとしてるんだ?」


「チョコクッキーでも作ろうかと思ってる」


「俺も一緒に作っていいか?」


 夕夜は付き合ってる彼女と一緒によくお菓子を作っているため、なんでも知っている。中3だ。


「じゃあ、お願い」



◆ ◆ ◆

 

私たちは夕夜を中心にしてチョコクッキーを作った。多めに作ったため、クッキーを6人で食べている。


「おいしい!」


「なんでクラスの男子に渡すだけなのにチョコクッキーなんて作ろうと思ったんだ?」


「もし、買いに行くとなると金がかかるし、材料は家にあったから作ろうと思った」

「で、クッキーにした理由はチョコをわざわざ溶かして固めるなんて気持ち悪いことしたくなかったから」

 個人の意見です。違う作り方もあると思います。


「夜風」


 夜風は氷に顎クイされた。


 え? なに⁈


 氷は夜風の口元に付いていたクッキーを取った。


「付いてた」


 ちょっと〜! 少し期待しちゃったじゃん!


「夜風!ここにも付いてる」


「あ!ここにも」


「ここも!」


 私は全員に顎クイされた。不意に顎クイされると、キュンとなるものだが、何回もされるとなんか面白かった。


「何だよ!そんなに付いてないでしょ!」


 そんなことを言っているが、嬉しかった。


「4人にあげたいものがあるんだ!ちょっと待ってて!」

 

 そう言って、夜風は部屋を出て行った。部屋には4人と夕夜(夜風の兄)だけになった。


「今年は夜風に本命チョコ貰えるといいな」


 夕夜は4人の恋の相談相手であった。


「去年は義理チョコって言われた」


「4人はモテるから夜風以外の子からたくさん貰うでしょ」


「貰うけど、夜風以外はいらない!」


「そう思っても貰っときな、その子がかわいそうだから」

「それに今年は夜風が本命、作るかもよ」


『本当に⁈』


 夜風が戻って来た。


「これ!あげる!」


 夜風が持っていたのは5人でよく遊んでいるカードゲームのレアカードであった。


「ダブってるからあげる!」


「ありがとう!」

  

(けど、今欲しいのはカードじゃなくて、チョコ!)



 だいぶ時間が経っていた。もう帰る時間であった。4人は家に帰った。



「4人にはいつもお世話になってるから、クラスのみんなとは違うチョコにしたい」

「夕夜、一緒に作ろ」


「じゃあ作るか!」

(4人ともよかったな!)


「ありがとう」


 こうして私と兄は4人のためのチョコを作った。明日はバレンタインデーだ!

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