第4話 満員電車⁉︎

 今日は始業式。入学式と同じようなことをする。めんどいなぁ。


「いってきまーす!」


『いってらっしゃい〜』


 夜風の家族構成は父、母、3歳上の兄(大学1年)である。兄とは仲が良い。


 私は家を出た。


「……なんでここにいる?」


 家の目の前にはイケメン4人が待っていた。


『おはよ!』×4人


「小学校の頃も一緒に学校行ってたし、まぁいっか」


 私たちは最寄り駅まで歩いた。電車は満員である。いつも私は押し潰されていた。痴漢とかはなかったけど、満員だと知らない人と密着して嫌だった。電車の扉が開いた。


「今日も人多いね。嫌になるわ」


「もう夜風には電車で嫌な思いはさせない」


「夜風を他人に触らせねぇ」

 あ! 紫音が裏になってる!


「ボクら以外の誰かが夜風を触ったら(当たっただけでも)殺すぞ」

 物騒だな。


「夜風を守るぞ!」


 私は暗殺されるの?


 電車に乗った。4人が私を囲っていて、知らない人との密着は無くなった。ありがたいけど! 4人が私と密着している。どうにも出来ないことだから仕方ないけど、これはこれで……。4人は私のほうを向いている。私より身長が高いから、全員に見下ろされいて、すげーやだ。


「お前らこっち見んな」


「満員電車なんだから仕方ないだろ」


 けどなんかドキドキする。そりゃぁイケメン4人と密着して、ずっと私のことを見られていればドキドキするよね。これは動悸じゃないかって? なんかの発表するとき、みんなの前に立って視線感じるじゃん。これはその緊張のほうだと思う。あーそうだ。あのときはすごい緊張したなぁ。


 【小6の始業式の日に4人から1人ずつ告白された。しかし、私は4人のことを友達として好きなだけで、恋愛での好きというものが分からなかった。4人のことは親友と思っていた。告白の返事は来週に言うと、4人に言った。私たち5人は受験なんてせずにそのまま公立の中学校に行くつもりだった。しかし、私は一旦、中学生の期間、4人と距離を置けば、私以外の人のことを好きになって、普通の友達の関係に戻れると思っていた。


 そして一週間が経った。私は4人を呼んで、5人で話をした。


「夜風は4人のことを友達として大好きで、親友と思ってる。けど、恋愛としての好きというものが分かんない。4人は私のことが好きなのに、それに応えられない。本当に恋というものがよく分かんない。ごめん。夜風が未熟で、4人が大人ってことだよ」

「……お前らのことが大事なんだ。だから……お前らの心を弄びたくない」

「別に4人が悪いわけじゃない。夜風が悪いだけだから。一旦、みんなと違うところに行く」

「中学受験して女子校に行くことにした」

「中高と違う学校になる。それでも私のことを好きでいてくれたら、そのとき考える」

「でも夜風じゃなくて違う人を好きになってほしい。だって恋というものを理解、出来ないと思ってる。もし4人が自分じゃない他の子を好きになったら、夜風とは友達としてまた仲良くして欲しい」

「まだ6年生は始まったばかりなんだけどさ、一年間はこれからも友達として仲良くしていい?」

「わがままでごめん」


「なに謝ってんだ。夜風は悪くない。ボクこそ、これからも仲良くしてくれるの?」

 ありがとう。氷


「僕らが夜風に告白して、こんなにも考えてくれていて、嬉しい。でも、その分だけ夜風に負担をかけていたということに気づかなくてごめん」

 そんなことないよ。私が悪いだけだから。

 

「いつまでも待つよ。夜風が俺を好きになるまで絶対!」

 炎、ごめんね。


「夜風が女子校に行くならオレも男子校に行く。まだ夜風のことを諦めてない」

「共学に行って、他の女に俺のことを好きになられても、俺は夜風のことしか好きじゃないからその子を悲しませることになる」


『俺、僕、ボクも男子校に行く』


「紫音は自分に自信があるね」


「まぁな!」


「じゃあこれだけは言わせて!これからもよろしく!」


『こっちこそよろしくな!』


 本当に4人は性格がいいな。 】



いや〜あのときはマジで緊張したわ。遠回しに言ってるけど直接的に言うと「友達としてしか見れない」「一旦、距離を置こう」「でも仲良くしてくれる?」(もう私のことは諦めろ)ってことだ。ひどいね。よく言ったわ。今は本当に目の前に4人がいて嬉しい。


「ありがとう!」(また私と一緒にいてくれてありがとう)

 

 4人は過去回想していないので夜風を囲ってくれてありがとうって意味だと思っている。そして夜風は気づいていないが、4人は背が高いから上を見ている状態になっているから上目遣いになっている。


 ズキューーン‼︎ (可愛い‼︎ なんて可愛いんだ!)


 4人は順番に夜風のおでこにキスした。


(え?)

「おーーーい!何やってんだ!」


『夜風が可愛いかったから』


 こうして満員電車で過ごしている時間はすぐに過ぎ去った。学校の最寄り駅に着いた。これから始業式が始まる。 

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