第3話 集合写真⁉︎

 朝礼が終わった。集合写真を撮るために教室で待たされている。ほぼ自由時間である。先生は一旦、教室を出て行った。クラスのみんなはイケメン4人の周りにいる。楽しく話しているみたいだ。夜風は友達のレイカとひより、3人で話している。


「夜風に彼氏が4人もいるとは知らなかったよ」


「なんで隠してたの〜!」


「そもそも彼氏じゃないし!なんでそんなに話が飛躍してんの!」


「何言ってんだ。ボクの彼女だ」


 氷⁉︎ それにバックハグされてる⁉︎ さっきまでクラスのみんなと話していたはずなのに、なんでここにいる⁉︎


「いや、オレの彼女だし」

 

 次は紫音⁉︎ 氷から紫音に変わったのか。横から抱きしめられてるんだけど……。


「俺は夜風のことが大好きだぞ!」


 それはただの告白! これは炎だね。がっちり肩組みされてるなぁ。


「夜風を困らせる人は彼氏なんかじゃない。俺が夜風の彼氏だよね」

 

 頭撫でられてるなぁ。髪の毛ぐしゃぐしゃになるからやめてくれ!

 私は撫でられている手を跳ね除けた。


「誰一人として彼氏じゃないし、彼氏いないわ! 4人のことは仲の良い友達としか見てないよ!」


「どうすれば俺のことが好きになる? 俺はこんなにも夜風のことが好きなのに」

 正直だな炎は……


「じゃあ一番最初に私を恋に落とした人と付き合ってあげるよ」

「誰が私を恋に落とせるかな?」


「何言ってんの? 私が4人を恋に落とす‼︎」

「そうだ! そうだ! 夜風だけと思わないでよ!」

「私たちは4人を狙ってるんだからね!」


 クラスのみんなの熱量半端ねーな。一言、余計だったな。


「俺

 オレ

 僕

 ボクが夜風の彼氏になるんだ!」


 今日も4人は息ぴったりだな〜。同じことを同時に言うのってむずいよね。


 先生が教室に入ってきた。


「共学になった初日から青春してるね〜。楽しそうでなにより」

「じゃあ写真撮るよ!」

「みんな集まって〜!」


 クラスのみんなは自由に並んでいるみたいだ。


 普通、出席番号順じゃね?まぁいっか

 出遅れたから一番端っこにいよう。


「なんで夜風、端にいるの?こっち来て!」


「夜風は真ん中」


 私はレイカとひよりの間に立っている。それもクラス全員の真ん中だ。4人のイケメン達はレイカとひよりを割ってでも夜風の隣に行きたいみたいだ。しかし、4人は夜風の友達を大事にしないと、しばかれると思った。仕方なく夜風の後ろに4人がいる。


「はい、チーズ!」


 パシャパシャッ!


「撮れました〜。ありがとね」


『先生もいっしょに撮ろうよ!』


「本当に? 嬉しい‼︎」

「この学校はケチだからカメラマンもとらないんだよ。まぁ私は教師兼カメラマンなんだけどね」


『そうなんですか⁉︎ カメラマンとかすご〜い!』


「そんなに褒められると照れちゃうよ‼︎ じゃあ、クラス全員が入るように自撮りするよ!」

「はい、チーズ!」


 カシャカシャッ!


 クラスは40人いるけど、全員を入れるのむずくね。


「ありがとうございました!」

「もうこれで今日は終わりです。帰っていいですよ。また明日!」


「また明日!」


 中学のときから思ってたけど最後は普通『さよなら』とかじゃない? まぁ別にいいけど。


「夜風! 一緒に帰ろうぜ!」


「帰ろっ!!」


「一緒になんか帰らないぞ!」← 一緒に帰ろう!


「帰ろう」


「……めんどいことになりそうだけど、家近いし、一緒に帰ろう‼︎」


「「「「ほんとに⁉︎ よっしゃ‼︎」」」」


「レイカ! ひより! ごめん。今日は一緒に帰れないや」


「4人の彼氏と仲良くするんだぞ!」


「彼氏いるなんてやっぱりいいなぁ〜」


「いや、だから! 彼氏じゃないって何回言ったら分かるんだよー‼︎」


 こうしてようやく高校生活、初日が終わった。


 帰り道、私たちは小学校の頃の思い出を話して盛り上がっていた。

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