約束の終わり:お題『来る』

 黒衣の魔女と白衣の魔法学者が二人並んで空を見上げていた。

 どこまでも広がる空は抜けるような青色で、形を変えながら流れる雲は白だけでなく灰色もあって、太陽の日射しは赤ではなく黄色に近い。

「あの日、ここに来れてよかった。こんな素敵な光景を知れたんだもの」

 今ではもう見慣れてしまった晴天は、いつだって同じ情景をしていない。

 魔女は隣の幼馴染みへ笑いかける。

「ありがとう。約束を守ってくれて。貴方を信じてよかったわ」

 天邪鬼な幼馴染みの珍しく素直な言葉に学者は目を丸くした後で、小さく微笑み返す。

「いつかまたここに来るか。俺らの知らない景色が、まだたくさんあるからな」

「次の約束よ。今度も守ってちょうだいね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モノクロの魔法使い 吹雪舞桜 @yukiuta_32

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ