ゲームゲット
「アハハ、やっと今日からゲーム解禁だね」
親友の豹哉の家に着いた時から、ずっと顔を赤くして興奮している
ゲームの名前は『フィルシエラ・オンライン』
世界で6番目に開発された、VRMMOである。
1年前にβテストが終了し、売り出されたコレは既に7番目が生み出されたのにも関わらず、圧倒的な人気を誇っている。
最初、玲は豹哉と一緒にβテストから始める予定だった。
しかし、せっかくテストプレイヤーに選ばれたのに、受験勉強をしろ。と豹哉にキャンセルされてしまったのだ。
そしてやっと、受験も卒業式も高校への準備も終えて、入学式までは自由になった。
ゲームをやらせてもらえるのだ!
「ウフッアハハ」
思わず笑い声が漏れてしまう。
「直ぐに1学期が始まるし、2年後にはまた受験もあるんだから、あんまり浮かれ過ぎないほうがいいと思うんだけど…」
「また没収する気!?豹だって滅茶苦茶やり込んでるし、1年くらいは遊んでていいでしょ!?」
豹は呆れたとでも言い足そうな顔をするが、受験まであと1年なのに遊び続けている奴には言われたくない。
それに、豹が遊んでいるなら、俺が遊んでいても余り強く言えないだろうし♪
「……あっ、そうだ。玲?ゲームの事なんだけど。」
「ん〜?」
「玲なら大丈夫だとは思うけど、ちょっと面倒な事押し付けられるかも知れないから。」
面倒?ゲームで?
「?わかったけど…どう言うこと?」
「それは内緒。ここじゃ言えないからね。ゲーム内でかなり重要ってことだけ、伝えとく。まあ、すぐわかると思うよ。」
豹はいつもの穏やかな微笑みを消して言う。
「………ちょー重要。おk。……それでなんだけど、」
「どうしたの?」
もう顔に微笑みが戻っている。さっき見た真剣な表情はもうどこにも見えない。
「豹のゲームのアバターってどんなの?」
「ん~とね、白髪で紫の目。顔はほとんど同じだよ。」
「え、顔って変えなくて大丈夫なの?」
「うん」
「それは…豹のこと特定されたりしないの?」
「髪とか眼の色を変えてると、印象って結構変わるから大丈夫だよ。」
「そ~なんだ、んじゃソフトも貰ったし俺は帰るよ。ゲームの設定とかしてくる。」
早くゲームをしたい一心で話をすぐ切り上げて言う。
多分それを分かっていて豹も一番重要なことを先に言ったのだろうし。
「家まで送らせるよ。」
「うん、お願いする。」
豹がテーブルを叩くと、直ぐに案内の人が入ってくる。
「それじゃ、またね」
豹は椅子に座ったままヒラヒラと手を振った。
「うん。また」
豹の部屋の扉が閉まる。
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