神(運営)から【世界を滅せ】って言われたんですけど
道葉 カオル
プロローグ
月が天高く昇り大地を煌々と照らしている。
突如町の端で光の柱が立った。
町の外壁に近い寂れた神殿。
その神殿の広間では戦闘が行われ、たったいま終わろうとしていた。
ピチャン、と傷だらけの床に真っ赤な血がしたたる。
膝をついた紫髪の少年の首に、赤髪の少年が剣を突きつけた。
「おまえの負けだ。潔くスキルを止めろ。」
赤髪の少年が、怒りを隠そうともせず吐き捨てる。
その言葉を聞いて紫髪の少年はのろのろと顔を上げた。
彼の左目はつぶれ、右腕は切られ、左腕は焼かれて炭化している。
全て金髪の少年と、赤髪の少年の背後にいる3人につけられた傷だった。
彼はいまにも死んでしまいそうな状態であるにもかかわらず、赤髪の少年をみて心底楽しそうに、口角を吊り上げて嗤った。
左腕が崩れていくのを、右腕や左目から血が落ちていくのを気にもとめず嗤い続ける。
「アハハハハッアハハハハハハハハ…君の要求は飲めないね……フフッ…そうだね切札は、ちゃんと残しておくものだから。」
赤髪の少年が剣を振り下ろそうとした瞬間、いきなり大地が裂け床が真っ二つに割れた。
「ッ!!【空歩】!!」
赤髪の少年は咄嗟にスキル名を叫んだが、どうしてかスキルは発動しなかった。
誰一人落下を止めず、全員裂け目の中に落ちていく。
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「これで、やっとチェックかな」
裂け目の底で紫髪の少年はつぶやいた。
目の前にはさっきまで自分と戦っていた少年が、植物にからめとられた状態で地に伏せている。
淡い月の光に照らされた紫髪の少年の体には、もうどこにも傷は見当たらない。
ただ服に残った傷痕と、飛び散った血だけがとても痛々しい。
ざわざわと裂け目の底を覆っていた草葉が揺れる。
「レイ、そっちは終わった?」
生い茂った植物の間から3人の男女が現れる。
「早かったね。そっち、百人くらいいなかったっけ?」
レイと呼ばれた紫髪の少年が振り向いて問う。
「トッププレイヤーと言っても、彼等はまだ弱いですから。【意志】も【加護】も持っていませんし」
少女が答える。
「さぁ、レイ早く終わらせよう。後はこれを殺せばレベルが上がるよね?」
最初に声を掛けた少年が手をたたきながら言う。
「それから…」
「分かってる分かってる。出来るだけ残酷に恐ろしく、絶望に叩き落す感じで、だろ」
少年の言葉をさえぎって、早口でまくし立てる。
「分かっているのなら構わないよ」
レイはひょいと落ちていた槍を拾い上げた。
いつの間にか、裂け目は消え、床には大きな深紅の花弁がいくつも落ちていた。
グシャリと花びらを踏みつぶして彼等は進む。
彼等に罵声を浴びせたり、抗議の声をあげる者たちもいる。
彼はそんな奴らには耳も貸さないが、運営に通報する。等とのたまった奴らにはきっとこう返すだろう。
「悪いけど、
これ、運営に頼まれたんだよ」 と
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