第103話 (百瀬零斗視点)


「なんで九重達が、、、」


「私が呼ばせていただきました。 一応の連絡をしなければならない事柄があったので。」


「、、、なるほど、四ノ宮のことか?」


「御名答です。」


 なるほど確かに、あの異状な性格をしていた四ノ宮のことは、他校に在籍しているといえども共有しておくべきだろう


 俺が答えると同時に、九重が申し訳無さそうな表情をした


「、、、ごめんなさい。 また私が居ない場で、あなた達が危険な目に、、、」


「気にしないでくれ。 今回のは完全に予想外だったし、、、もし九重がいたとしても、今のアイツに不用意に関わったら不可侵の言葉を撤回してくる危険性があったからな。」


「そうですね。 正直言ってあの人の言ってることは理解できませんでしたが、、、素直に言葉を信じるならば、もう関わってはこないと思いますよ。」


「、、、ごめんね、役に立てなくて。 あの時だって、あなた達に救けを求めたのに、私は何も出来なかった。」


 暗い表情が変わらない


 何か、彼女の心を明るく出来る言葉をかけれたら良いのだが、、、



「別に気にしなくても、また今度でさくら達の役に立てば良いんじゃないですか?」


 さくらと二人とで悩んでいると、 万丈から言葉がかけられていた


「また今度、、、うん、そうよね。 今は借りが積もっている状態でも、いつか必ずあなた達に返してみせる。 そうしてやっと、、、百瀬くん、あなたと対等に向き合える気がするの。」


「九重、、、ありがとうな。」


 ところで、、、 


「そういや万丈と九重が想像以上に親密な事に驚きを隠せないんだが。」


「私もです。 確かに仲が良かった関係ですが、先程は何かが通じ合っているように見えましたが?」


 心なしか、背景に百合が咲いているんだが


「、、、私が危なかった時にね、助言というか激励というか、、、とにかく助けてもらったのよね。 私の心を。」


「大した事はしてませんよ。 ただ発破をかけただけです。」


「それが救いになったのじゃない。」


「そこまで持ち上げられると恥ずかしいものがありますけどね、、、」


 二人の仲がより親密になった事は明白


 それを見て、隣を見る


「いつの間にか親友を奪られていた気分は?」


「だっ、大丈夫ですし。 親友なのは変わりませんし、雪先輩と希ちゃんが仲良くなるのは嬉しい事ですし、、、だからそのニヤニヤをやめて下さい、先輩。」


 おっと、予想外に面白い現場に出会して笑みが溢れてしまっていたようだ


 真顔に戻して、と


「いや今更変えても遅いですから。 そんな先輩は嫌いです。」


「でも別れたくはならないんだろ?」


「突いてきますね、、、そうですよっ! 少し意地悪なとこもホントは好きです!」


「知ってる。」


 俺たちのやり取りを見ていた九重達は、その頃、、、


「流石、昨夜にお楽しみだったカップルは元気ですね。」


「百瀬くん、さくらに優しくしてあげられたの?」


 昨夜のことでイジってきた


 その時の目が細く、呆れているような、、、


「余計なお世話だわ。 それに昨夜の詳細は内緒にしておく。」


 さくらは既に話しているだろうが、それはもうしょうがない、、、しかし俺が最後の砦として、昨夜の事は話しておかない


 頑なに話さない俺を見て、彼女らの視線はさくらへと移る


「なら、、、さくら? 昨日のお楽しみについて、もっと話してちょうだい?」


 そう言って、二人してさくらに詰め寄っていた




 、、、一線を越えたことで、九重と万丈からの見る目が変わるのではないかと、少し心配していた


 だが実際には、明るく受け入れられ、軽くイジる程度となっている


 そのことを、少し嬉しく思う


 だから助けを求める目で見てくるさくらはスルーしておこう、、、これも必要な犠牲なのだ


 後で謝っとくけどね







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