第102話 (百瀬零斗視点)
夢を見ている
桜色の液体の中に落ち、沈みゆく夢を
液体は俺の身体に絡みつき、下に下に運んでいる、、、引きずり込むように
なのに変なんだ、、、全くと行っていい程苦しさを感じない
寧ろ温かい心地よさを感じてすらいる
俺は底なしの『それ』にどんどん落ちていって、そこで、、、
「、、、んぁ。」
目が覚めた
見慣れない天井に一瞬だけ困惑するが、胸に抱える温もりで状況を直ぐに把握した
俺は今、、、一人の女性と共に、一枚の布だけに覆われている
そして俺も、女性も、身に何も纏っていない、、、生まれたばかりの姿だ
しかし気恥ずかしさを覚えない、、、その理由は、昨夜にこれ以上の姿を見せ合ったからだろう
昨晩は、、、本当に凄かった
恥ずかしいので多くは語れないが、アイツは何度も何度も求めてきて、俺はそれに全て応えたとだけ言っておく
おかげで寝たのは夜遅かった
だが疲れで寝入りが良く、またそれを上回る幸福感で満たされていた
そして今も、、、
「先に起きてたんですね、先輩。」
声のした方を向く
目を覚ました彼女、、、さくらがそこにいた
やはり昨晩での出来事があるので、普段なら身を隠す格好でも、俺の前だけなら素のままでいてくれる
そのことを嬉しさを感じながらも、魅惑的な姿に耐え難い欲求が湧いてしまう
彼女は察したのか、ニヤリと笑いながら身をさらに寄せてくる
温かいだけでない
柔らかさも感じる
「朝から元気、ですねぇ。 朝からですけど、付き合ってあげましょうか? 昨夜みたいに♡」
わざわざ耳元に口を持ってきて囁くものだから意地が悪すぎる
麗しく魅惑的な美少女が、裸で、柔肌を押し付けてくる
興奮しないわけがない、、、だが
「今何時か確認してないが、そろそろ出ないと駄目だろ。 なるべく早く帰った方がお義母さんも安心するだろうが。 あとお義父さんも。」
そう言って上体を起こし、片付けの準備を始めた
「早くも『お義母さん』と『お義父さん』とは、覚悟が決まってますね。 そんな先輩にご褒美です♡」
口に柔らかいものが触れた
昨日はもっと激しいキスもしたのだが、今のような軽いものも、また幸せを感じる
その幸福に少しの間浸っていた
「あれ、早めに出るんじゃなかったんですか?」
、、、まったくコイツは
お前からキスしてきたんだろうに
まぁ、そんな不意打ちしてくるところも悪戯好きなところも、、、好きなんだが
「おかえりなさい。 昨日は楽しかった? 優しく出来た? ちゃんと送ってあげたの?」
「やっぱりしつこいよ、母さん。」
帰って早々に詰め寄られ、それやそれやと昨日のことを訊いてくる
あの夜のことは、俺とさくらの記憶だけに留めておきたいので無視を決め込んでいると、より一層しつこくなる
なんか、、、さくらと会ってから変わりましたね、母さん
その変化を、嬉しくも少し哀しく思いますよ、、、
「息子がやはり辛辣になってるわね。 これが反抗期というものなのね。」
「、、、単にセンシティブなことを訊かないでほしいだけ。 じゃ俺は部屋に戻るk
「待って。」
そう言い残して部屋に入ろうとすると、後ろから声をかけられる
「その、、、ずっと大切にしてあげてね、さくらちゃんのこと。」
あ、、、
、、、
「言われなくても。」
少し休憩した後、またさくらの家へ向かう
だが再びイチャイチャしたいから行くわけではない
どうしたのか、さくらから呼び出しがあったのだ
電話の口調からして荒事や大事ではないと思ったのだが、、、一体何だろう?
玄関に向かうと、穂積さんと奈津橘さんが迎えてくれた
「こんにちは。」
「こんにちは、零斗くん。 昨日はさくらがお世話になったわね。」
「で、どんな感じだった? あの子を気持ちy「止めなさい。」
言いかけた奈津橘さんを、穂積さんが頭を軽く叩いて止めた
ありがとうございます
「余計なお世話かもしれないけれど、、、あの子を幸せにしてあげてね。」
「でも帰ってからのさくらってば、見るからに幸せオーラを醸し出してるけどね。」
あっ、想像通りだったんですか、、、
「ささ、あの子達が待ってるわ。」
そう言って家の中へと導いた、、、『達』?
「こんにちは、百瀬くん。」
「昨日は楽しめましたか?」
「、、、九重に万丈⁉」
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