第99話 (◯◯◯◯◯◯視点)
最初は友達に誘われ、悪乗りしただけだった
嘘で告白し日陰にいる男子を弄ぶということが悪いことだとは分かったいたけれども、周りの多くに退屈していた私はその話に乗っかった
そして男子を呼び出し、告白をする
相手は名前も知らなかったけれど、見るからに陰キャな風貌をしていた
そんな彼は私の偽の想いを信じ、ぬか喜びをする
そして合図で仲間を呼び出し、彼にドッキリであることを伝える
周りの友達は彼を散々に罵り、嘲笑っていた
これも面白くない、、、そう思ったのに、彼の表情を見た途端にその気持は一変する
だって、悲しむ百瀬くんの顔が、何よりもいじらしく、、、似合っていたから
例えるならば、神父に十字架、新郎に花嫁、桜に橘
帰ってからは直ぐに動いた
彼のありもしない噂を流し、もっと悲しむ顔を見るために努力した
その甲斐あって、他クラスであった彼の教室をチラリと見に行くと、理想通りの顔をしてくれていた
周りからイジられ、助長した噂を離れたところでヒソヒソと話されていた彼
涙目な表情に興奮する
『あぁ、なんてゾクゾクするの!』
退屈だった日々は変わりゆく
壊れて不登校になられては困るので、あれ以上彼を傷つけないように根回しする
しかしこれは彼を守るためではない
もっと私を興奮させてもらうため
暫くして落ち着いた頃になると、趣向を変えて嘘告をさせることにした
別グループのリーダー格の女子を唆し、彼に嘘告をするように仕向けたのだ
するとそこでも彼は、私の理想通りの表情を見せてくれた
それをもう一度してみた時点で、中学生活が終わってしまった
非常に残念なことに、私と彼の進む高校は違っていた
こればかりはどうしようもないと一時は諦めかけたが、百瀬くんにもっと悲しんでもらうことを決意する
他校の知り合いに接触し、嘘告をするよう頼んでみた
流石に他校ということもあり、直接な嘘告は了承してもらえなかった、、、しかし諦めない
そこで私は思いつく
『ならさ、貴方のオモチャに嘘告させたら?』
目の色を変えて、面白そうだと彼女らは食いついた
すると私の指示通り、彼に間接的に嘘告をすることが出来た
表情を見れないのことは残念だけど、彼がどんなふうに悲しんでいるのか想像するのもまた興奮する!
そうして楽しい学生生活を送っていたのに、、、
「カノジョが出来たと聞いて、すごく悲しかったのよ? 百瀬くんが悲しい顔をしなくなるなんて、、、」
でも赦してあげる
だって、百瀬くんの大切な人も一緒に苦しめてあげられるのだもの!
「だから百瀬くんと、カノジョ。 二人共悲しい顔にしてあげる。」
「止めろ!」
途端に彼は怒鳴りつけた
『、、、ん?』
ここで少し違和感を覚える
「噂の対象は俺だけにしろ。 さくらを巻き込むな。」
「ちょっ、先輩⁉ 何を勝手に「お前は黙ってろ。 傷つくのは俺だけでいいんだから。 そもそもこれ以上壊れようがないだろうが。」
え、、、壊れた?
予想外の言葉に思考が停止する
彼は何を言った?
壊れている?
「『壊れた』ってどういうこと?」
「、、、お前に嘘告されてからも、何度も嘘告されたんだよ。」
それは知っている
なぜなら、私が黒幕だから
「そしたらいつの間にか、嘘告されることに対して何も感じなくなったんだ。」
、、、なにそれ、面白くない
つまらないし、興奮しない
他者に嘘告を任せて満足してしまっている間に、彼は壊れてしまったのだという
致命的なミスだ、、、何故このことをあの時の私は思いつかなかったのだろう?
「あっそ、なら良いわ。 帰る。」
「「は?」」
「似合わない顔を浮かべている時点でおかしく感じていたけど、、、まさか悲しくならないようになっちゃってたなんてね。 あ、これ以上貴方に関わる気はないから。」
そう言い残して私は踵を返してその場を去った
あ〜あ、また退屈になっちゃうのかぁ、、、新しい人を探さなくちゃ
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