第84話


<GameMan>

 連載再開しました!と言いたいところなのですが、夏に入ったことで私の事情が大きく変化しました。

 投稿ペースがガクッと下がるかもしれません、、、ですが完結させる予定ではありますし、未投稿期間が一週間は空くことはありませんのでご安心を。

 この『嘘告』も終幕が近づいていますので、これまた気長に待っていただけると幸いです。

 それでは続きをお楽しみください!












「先輩との文化祭デート♪ 今日は楽しみましょうね!」


 仲直り?をした日の翌日


 約束を守るべく、今日はちゃんと2人で文化祭を回ることとなった


 すっかり機嫌を直し、楽しそうな雰囲気を醸し出すさくらを見ているうちに、自然とこちらも気分が上がってくる


「夏祭りのときは色々と失敗しましたが、今回は違います。 買って、食べて、楽しむ!」


「テンションが凄いな。」


 ここ数日の間は全くと言っていいほど接点がなかったし、その反動と言えば納得はできるのだが


「もちろん先輩の奢りで。」


 くるりとこちらを向いて、真顔でそう宣言した


「流れるように奢らせるな、、、と言いたいとこだが、今回は奢らせてもらうよ。 諸々の謝罪も込めて。」


「まぁ雪先輩と遊びに行くくらいなら私も目くじら立てませんけど、今回は秘密裏に動いてたらしいですからね。 雪先輩がはぐらかしていたことで疑いが強くなってしまったことも含んでいますから。」


「いや本当にごめん。 やっぱサプライズとか慣れないことはするもんじゃねぇな。」


 話によると、さくらは俺の誕生日のずっと前から計画していたらしい


 さくらは長い時間をかけて成功したのに、それを見て『俺もやってみよう』と浅はかに考えてしまったのが愚かだった


 彼女は沢山頑張った結果として俺を喜ばせることに成功したというのに、短い期間で、それも考案にかけた時間を全く取っていなかった俺が無事にサプライズが成功する可能性は低い


「先輩は変な所でおかしくなりますからね。 シンプルに想いを伝えてくれる方が良いと思いますよ。」


「だな。 やっぱ似合わんことは避けた方がいいな。」


「、、、でも、サプライズで喜ばせようとしてくれていたことは嬉しいです。」


 、、、ったくコイツは本当にもう、、、とことん俺の心を暖かくする


「よし、今日は可愛い彼女に目一杯奢ってやる!」


「そ、そこまで意気込まなくても、、、流石に限度は守りますからね? あと、私だけでなく先輩も楽しんでください。 これは文化祭デートなんですから!」


「、、、いや、もう、可愛すぎるだろ。」


「っ⁉」


 気遣いもできて、且つ自分も楽しもうとしているとか、、、


「屋台全部奢ってやりたいくらいの心持ちなんだが。」


「溺愛が過ぎますよ! 、、、奢ってくださいと頼んだ私が言うのもあれですけど、やっぱり割り勘にしません?」


「まずは定番のクレープからだな!」


「って話を聞いてください!」


 どうやら数日疎遠になっていたことに対する反動は、俺の方が大きかったらしい


 やっぱり、彼女が横にいてくれるだけで視界がクリアになる


 昨日通ったはずの廊下が、比べて明らかに色づいている


「ん、どうも俺はお前に堕とされていたらしい。」


「やっと気付いたんですか。 依存、、、とはちょっと違いますけど、もっと甘えてくれてもいいんですよ?」


 両手を広げ、甘い誘惑を囁く姿はとても魅力的だ


 何度も言うが、コイツと出会う前の俺だったら、こんな姿を見せることは無かっただろう


 変わった、いや変えられたのは俺だ


 ほんと、堕とされてるな




 そして一時間後


「ふぅ〜もう食べられません〜」


 クレープ、唐揚げ、焼きそば、たこ焼きと出し物を回っては食べ、回っては食べを繰り返した果てにお腹を満たした俺たちがいた


「沢山食べたな、、、夏祭りのときより食べてないか?」


「まぁあのときは色々ありましたし、、、にしても文化祭って楽しいですね。 廊下を歩いている時間も、非日常でワクワクしました。」


「俺は、、、去年はあまり楽しめなかった。」


 基本は教室で裏方をし、休憩時間も一人で回って何かを食べるだけだった


「でも今は、お前がいるから楽しいよ。」


「、、、えっと、先輩のお役に立てたのなら嬉しいです。」


 照れくさそうに笑うさくらの向こうに、とある行列が出来ているのを見かけた


「ん、あの行列はなんだ?」


「あそこは3年生の占いですね。 私達も並んでみますか?」


「まぁ腹を満たしたし、気分転換に並んでみるのも悪くないな。」


「それでは行きましょうか。」


 俺は立ち上がると、彼女が片手を差し出していることに気がついた


「この手は何だ?」


「手を繋いで行きましょう?」


「この距離だぞ?」


「私が先輩と繋がっていたいんです♡」


 、、、まったく、可愛い奴め


 呆れ半分愛しさ半分で、そっと出された右手を握った


 、、、心から、彼女と文化祭を楽しめていてよかったと思うよ



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