第83話


 あの時感じた背後からの不自然な視線、そしてさくらのストーキング技術


 それらを加味すれば、あの場面をさくらが目撃していたということは自ずと推察できる


「あってるか?」


「、、、はい。 あの日、先輩が黙って行くのを不安に思ってしまって、気付いたら跡をつけていました。 いえ、先輩が誠実で浮気をしないような人であることは知っていますよ?」


 そんな人物であると信じてくれていた分、彼女に黙って行動したことが今更悔やまれる


「理屈で分かっていても感情は止められませんでした。 でもやっぱり先輩が浮気なんかしないだろうと思って、雪先輩にメールで電話で尋ねたんです。」


 あ〜尋ねちゃったか、、、


「そうしたら雪先輩が色々と誤魔化してきたので、疑念がずっと大きくなっちゃって、、、」


「本当にごめん。 カノジョであるお前に何も言わずに女子と外出とか、、、不誠実だよな。」


「希ちゃんのときは私からお願いしましたし、外出することも知っていましたから、、、でも、今回は何も知らなかったです。 それがこんなにも悩ましくて苦しいことなんて、、、」


 話し続けるたびにどんどん肩を落としていくさくらを見るのが辛い


 彼女は何も悪くない、、、全て俺の浅慮な行動が原因だから


 でも、今ここで誕プレのことをバラしていいのか?


 彼女の誕生日までまだ日が空いている


 今バラしてもサプライズとして成立するのか?


 葛藤する俺を置いて、さくらは遂に自己否定へと移った


「やっぱり私って、ウザいですし重い女ですし、、、先輩のお気に召さなかったんですね、、、」



「そんな事言うな!」


 さくらが俺の彼女であることを、誰よりもさくら自身が貶すことなど許さない


「お前は魅力的な女性だ。 優しくて明るい性格で、料理ができて可愛くて、、、人を一途に好きになれる誠実さも、全て最高だよ。」


 矢継ぎ早にさくらの長所、すなわち良いところを挙げていく


 一単語ごとに、恥ずかしさでさくらの顔が赤く染まっていくのが分かる


「だからごめん。 そんな素敵な女性であるさくらを不安にさせてしまって悪かった。 不誠実な行動を迂闊にしてしまって。」


「先輩、、、」


「お前を不安にさせてしまうくらいなら、今言うよ。 実はさくらの誕生日の相談をしていたんだ。」


「っ⁉」


 もう隠しても意味ない、というか明かす以外に円満な解決策がない


「サプライズで渡そうと思ってたけど、止めだ。 どうせお前に隠し事とか意味無さそうだし。」


「そっ、それは、、、確かに今言ったら意味がなくなりますけど、本当に言ってよかったんですか? 色々と考えがあったでしょうし、、、」


 さくらの言う通り、俺は脳内で色んなプレゼントの渡し方を考えていた


 だがそれらを犠牲にしてでも、、、


「大切な女性を不安にさせるのは、男として駄目だろ? これくらいは『彼氏』でいさせてくれ。」


「、、、カッコいい。 かっこよすぎですよせんぱい。」


 俺を見るさくらの目が熱い


 単に俺の失態でサプライズが失敗しただけなのだが、どうやらさくらの目にはカッコよく映ってしまったらしい


 喜べばいいのか、勘違いに恥ずかしがればいいのか、、、まぁさくらが喜んでるならそれでいいか


「ま、今明かしてしまった分、誕プレは期待しておいてくれ。」


「言いましたね? なら期待させていただきますから!」




 結局、サプライズは行う前から不発になってしまった


 だがさくらの不安を取り除き、また彼女の笑顔を見ることが出来た、、、それだけで十分だよ


「次からは軽率な行動を控えるようにする。 お前を不安にさせてしまって、本当にすまなかった。」


「いいんですよ。 最終的には疑念も晴れましたし。」


「後で九重にも説明しとかないとな。」


「私も謝らないと、、、雪先輩を慌てさせちゃいましたし。」


「2人で謝ろうか。 文化祭デートのお土産を持って。」


「っ! はい、勿論です!」


 ふぅ、これで一件落着


 文化祭デートの約束も再度取り決めたし、これで、、、ん?


 カフェ内の全員からの視線を集めている


 ま、2人だけの間とはいえ軽い騒動を起こしたわけだから、そりゃあ悪い目で見られるわな


「、、、百瀬さん。 カフェ内でイチャイチャするのはお控えください。」


 万丈の目が怖い、、、それよりも、イチャイチャ?


 てっきりうるさい奴らだと思われているのかと、、、


「さくらも。 だらけてないで早く仕事しなさい。」


「は、はいっ!」


「ん、じゃあ俺も帰るよ。」


 いつの間にか飲み干していたコーヒーの代金を支払い、カフェから離れようとすると腕を掴まれた


「せ、先輩、、、明日は文化祭、楽しみましょうね?」


「あぁ。 だから今日はお仕事頑張れよ。」


「はいっ!」


 初めの硬い表情に変わり、柔らかい笑顔だった


 本当に、仲直り出来て良かったな、、、

















<GameMan>


 いやもう投稿が遅れて本当にすみませんでした!

 テストの追い上げの時期なので書く時間を全くと言っていい程取れず、ストックもみるみる無くなっていって、、、おまけに暫く投稿できそうにありません、、、

 7月の下旬には投稿再開できますので、生暖かい目で気長に待って頂けると幸いです

 それでは私の作品を読んで、皆様が少しでも楽しんでいただけますように



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