第85話
15分ほど待った後、遂に俺たちの番がやってきた
教室のドアをくぐり抜けると、明かりが消されいて窓には紫のビニールが貼られているので紫の日光が薄暗く差し込んでいた
どこか神秘的な雰囲気を感じる
「かなり凝ってるんだな。」
「話によると、オカ研が懇意にさせてもらっている占い師を招いているそうです。 その方の占いはかなり当たるそうですよ。」
「それは楽しみだ。」
垂れ幕を横にずらし、導かれたスペースに入る
そこには真っ黒なベールで顔を覆っている占い師が座っていた
占い師と言えばの水晶玉はなく、机の上にはタロットカードのみが置かれている
「、、、どうぞお座りください。」
女性か男性か分からない微妙な声で許可をいただき、俺とさくらは席に座った
「、、、まずは、お二人の前世から見させていただきます。」
そう言うと占い師はタロットカードを色々いじくり、十数秒後に俺達の前に一枚ずつカードを置いた
「、、、男性の方は、前世で不運な出来事に苦しまれたようです。」
おい、早速不安になってきたんだが
「、、、女難の相、それも悪質な、、、前世のあなたは美人局に遭い、散々な目にあったようです。ご愁傷様です。」
前世の俺、大変だったんだなぁ、、、というか占い師さん、気遣いが苦しいんで余計ですよその言葉
「女性の方は幸せな人生を、、、あぁなんと不思議なことでしょう!」
だから不吉なこと言うの止めてもらえます?
「男性の前世の方は美人局に遭い財産を失った後、女性の前世の方に一目惚れされ救われています! 貴方達の運命は複雑に絡み合っているようですね。」
「えへへ、前世でも私達はカップルだったんですね♡」
「じゃあお前に救われたのはこれで二回目なんだな。」
ただの占いだし、あくまで占い
真に受けるのも馬鹿らしいと一蹴するのは簡単だ
だが、前世でもさくらと結ばれていると言われて、、、悪い気はしないな
「というか、前世の先輩も女性絡みの問題に巻き込まれてたんですね、、、可哀想です。」
「俺の嘘告も前世からの宿縁だと考えたら納得できるような気がしてきたよ。」
いやほんと、10回の嘘告って何かの超常現象が関わっていないとありえないくらいの事柄だからな、、、もしくは何者かの意図が混ざっているのか
「、、、それでは続いて、お二人のこれからの運勢を見ていきます。」
再び占い師はタロットカードを俺達の前に置く。
「、、、女性の方は、これからも幸福が訪れるでしょう。 想い人に一途である限り、貴方は常に強く在ります。」
『想い人』『一途』という単語を聞き、彼女は嬉しそうにこちらを見た
その視線が熱っぽく、、、これからも彼女に溺愛される予感がする
「、、、男性の方は、、、またもやご愁傷様です。」
ねぇ、もしかして占い師って俺に恨みでもあるの?
さっきから俺に不穏なことしか言ってないんだが
「、、、近々、貴方は身に降り掛かった災いと向き合う出来事が起こるでしょう。 いえ、向き合うというよりも、遭遇するといった言い方のほうが正しいですね。」
災い、、、嘘告のことか?
「、、、それは試練と成り得ますが、乗り越えた場合、その後の貴方は素晴らしい幸せに満ちていることでしょう、、、」
教室を出た俺たちは階段に一旦座り、緊張をほぐした
「なぁ、あの占い師ってなんか俺に恨みでもあるのか? 嫌なことしか言ってこなかったんだけど。」
「先輩は大丈夫ですよ。 私が守るから。」
「ここでネタに移るなっての、、、まぁ占いだし、深く気にしても意味ないか。」
何故かモヤモヤした結果となった占いだったが、文化祭の終りが近づいてきた
体育館で後夜祭を行うため、生徒達は少しずつ体育館に集まっていっている
そろそろ俺たちも移動するかなと思っていたら、さくらがガッと腕を掴んできた
「どうした?」
「、、、先輩、見せたいものがあるので来てもらえますか?」
「別にいいけど、、、え、何、怖い。」
怯えながら手を引っ張られ、着きましたはさくらの教室
喫茶店の営業はもう終わっており、数人が片付けに残っている程度だった
さくらはその残っている1年の元へ行き、少し話してから幕の裏へと消えていった
代わりにその1年がやって来る
「さくらから伝言です。 5分後に幕の裏へ来てほしいと。」
そう言って彼女も幕の裏へ消えていった
5分経ち、言われた通りに幕の裏へ入ってみる
なんとそこには、、、
「おかえりなさいませ、御主人様♡」
メイド服を身に纏い、美しいカーテシーを決めるさくらがいた
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