第七章
第74話
幸せの後は不幸が訪れると昔からよく言われているが、、、
「ざ〜んねん♪ 最近1年の女子と話してるみたいだけど、アンタみたいな陰キャがモテるわけないじゃん!」
「調子乗んじゃねーよ、陰キャな2年。」
「じゃ、言いたいことは言ったから私らもう行くわ。」
「ストーキングしてきたらコ◯スかんな。」
「ないない! 陰キャにそんな勇気あるわけ無いじゃん!」
「ウケる〜アッハッハ!」
「キャハハ!」
嘘告が終わってなお、俺を罵りながら去っていく高3の女子たち
やっぱ怒りとか悔しいとか、そういった感情が全く湧かないわ
寧ろあの陽キャグループの中が深まったようだし、陰キャとして貢献できたようだ
これで11回目、、、いや、さくらのは本気だったから、これが本当の10回目の嘘告
俺の誕生日をさくら、母さん、九重そして万丈が盛大に祝ってくれた日の翌日、放課後に屋上へ呼び出された俺はなんとなく予感しながらも足を運んだ
そこには美人だけど性格が悪いことで有名な高3がいて、演技で告白してきたから断ると、いつものように周りからぞろぞろとお仲間さんがやって来て俺を罵る
案の定嘘告されたわけだが、先程述べたように再度嘘告されて俺が何を感じるのかという検証も兼ねてみた、、、でも結果は
『何も感じない』
俺は嘘告に傷つき疲れたから、何も感じないようになったと予想していた
だから、さくらとの幸せな日々を送ることでその傷ついた心を癒やすことが出来ているのかもしれないと予想して来たのだが、、、可愛い彼女と幸せになったところで俺の狂った部分は治らないらしい
まぁ、それならそれで別にいい
今が幸せで、隣で信じてくれている人がいる、、、それだけで十分さ
その幸せが続くためならば、何度嘘告されても構わない
なので今回の嘘告はさくらに言わない
今更、嘘告のせいで今の幸せを崩されたくないし
余談だが、あの3年たちは口が悪かったけど、見た感じ変な噂は流さないようなタイプだろう
つまり四ノ宮の場合みたいな出来事は怒らないはず
、、、そういえば、四ノ宮のことについて長らく思い返してなかったな
まぁアイツはあれだ、、、その、、、百瀬が四ノ宮に襲いかかったっていう噂を流したんだよ、中学の時に
かなり醜悪なやり口だったが、幸いと言うべきか問題になってないし、アイツは別の高校に行ったし、もう会うこともないだろう
というかなんでアイツのことを思い出してるんだっけ、、、そうか、俺ってば嘘告されたんだったわ
さて、じゃあ用事も終わったし帰りますかね
「あ、今日お前の家に行ってもいいか?」
「カラダを洗って待ってます♡」
「違うわ。」
もう何回もお邪魔しているのに、どうして毎度それに繋がるんだよ、、、
「ほら昨日のケーキって穂積さん監修なんだろ? だからお礼を言いたくてだな。」
「なんだ、、、てっきり先輩が覚悟を決めたのかと思いましたよ、、、」
「はいはいそれはまた今度な。 で、行っても問題無いか?」
「はい、構いま、、、あれ?」
「ん、どうした?」
途中で言葉を区切り、首を傾げるさくら、、、そこで止められるの怖いんだけど
「その、家を出る時にお母さんが何か言っていたような、、、早く先輩をつけるために急いで出て行ったので、上手く聞き取れなくて、、、」
そこまで俺をストーキングしたいの⁉
「じゃあやっぱ行かない方がいいかな。」
「いえ、大丈夫だと思います。 多分『いってらっしゃい』の言葉でしょうし、問題ないですよ!」
「そ、そうか、、、ならお言葉に甘えさせてもらう。」
「言葉だけじゃなくて、全身で甘えても良いんですよ♡ 今なら彼女の柔らか膝枕コースが無料です♡」
スカートの裾をを少しだけ上げ、腿をぽんぽんと叩いて、、、分かりやすい誘惑だ
「、、、最近は露骨に誘惑するようになったな。」
さっきもカラダを洗って待つとか言ってたし、誘い方が直接的で寧ろ清々しい
「ヘタレな先輩にはこれくらいじゃないと靡かないと知ったので。 ヘタレな先輩には! ヘタレな先輩には!」
「悪かったな彼氏がヘタレで‼ というかヘタレを連呼するな!」
「まぁとにかく、先輩が私に何を望んでも、全て受け入れる覚悟だってことだけは知っておいてください。」
、、、ここで真面目になるのはズルいぞ
しかも全てを受け入れる覚悟とか、、、コイツ本当に女子高生か?
俺より何倍もカッコいいんですがそれは
「、、、考えとく。」
「なる早でお願いしますね。 心で繋がっているのも嬉しいのですが、実際に行動へ移すこととは別です。」
「まぁ、一理あるっちゃあるな、、、」
「それに、、、先輩が私から離れられなくなるでしょう♡」
ペロリと舌を唇に這わせ、片手を頬につけ、妖艶な表情を見せるさくら
この前見た誘惑の顔よりもずっと情欲を掻き立てられる
恋人のそんな表情を見て、不意に心臓が跳ねた
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