第68話


「では先輩、遠慮なく私の膝の上にダイブしちゃってください!」


「落差よ。」




 場所は変わってマイルーム


 先輩が対お父さん戦を決意したようですが、真面目な雰囲気だけだとつまらないから甘々パートに移行しようと、先輩を私のふとももへ誘った


 途端にキョドる先輩がカワイイ、、、先程までのカッコよさとのギャップが萌える


 『萌え』という言葉は女性や可愛い物に対して多く使われたりするけども、先輩に対して使っても反対なんかされないレベルでカワイイ


 これはクマのお人形が可愛いとかじゃなくて、いじらしくてカワイイ感じだけどね



 おっと話が外れてしまいましたね


 とにかく今は先輩を膝枕してあげようと誘っている


 来る途中に話した『甘やかしてあげる』という言葉を思い出してほしい


 あまやかす、、、甘やかすと言えば膝枕だよねっ♪、、、ということで実践


 私も初めての経験で緊張しておりまする


「じ、じゃあ、失礼して、、、」


 先輩も勇気を出してくれたようで、おずおずとベッドへ体を横にし、頭を私の膝の上にゆっくりとのせた


 人の温かみと重さを感じ、どことなくそわそわする


 それに対して先輩は落ち着いたようで、顔は外側に向けているので表情は分からないが、息遣いがゆったりとしている


 私はドキドキしてるのに、何故か平然としてる先輩にムッとしたから、仕返しとばかりにからかってみよう!


 顔を彼に耳に近づけ、そっと甘〜い言葉を囁く


「どうですか、私のふとももは♡ 柔らかくて温かくて、、、気持ちいいでしょう♡」


 流石の先輩もビクッとしたようで、顔を赤くしながらこっちを睨んできた


「お、お前なぁ、、、」


「ふ〜んだ。 先輩も恥ずかしがればいいんです。」


「それお前も恥ずかしかったって言ってるようなもんだぞ、、、」


「そんなことより感想は? 私、カラダには自信があるんです。 固すぎず、柔らかすぎず、、、程よくむっちりとしているでしょう♡」


「、、、」


のがしませんよ?」


 恥ずかしさがオーバーヒートしたのか頭を起こして逃げようとしたので、ガッと頭を包んで逃げられないようにする


 逃げられないという状況を理解したのか、先輩も抵抗を止めて再び顔を外に向けた


 勝った、、、計画通り!


 この状況、完全に私が優位に立っている


 なのでこのまま大人しく頭を撫で続けてあげますね♡



 先輩の髪って少し硬いんですね、、、でも綺麗に整えられてるところを見るに、元々の性質かな?


 イタズラ心でほっぺを軽く押すと、もちっとした弾力で押し返された


 カワイイ


 ここで先輩が寝てることに気が付いた、、、これ以上プニプニすると目を覚ましちゃいそうだから、残りはお預けで


 、、、でも先輩が寝てるってことは、今なら何を言っても問題無いよね


「、、、先輩、愛してます。 あなたは天然にデレてしまっていたことを恥ずかしがっていましたが、とてもカッコよくて、私は嬉しかったですよ?」


 でも私の心臓に悪いです、、、とは面を合わせて言えませんが


「愛が重いことを自覚してます。 そんな私を受け入れてくれた先輩が大好きです。 ずっと、一緒にいて下さい、、、」


 彼を起こしてしまわないように、ほんの少しの間の、まるで小鳥がついばむかのような子どものキスをする


 それが逆にこそばゆかったのか、ゴソゴソと動く先輩


「ひゃっ!」


 彼の髪やほっぺが私のふとももをこしょばしてきて、ゾクゾクして変な声をあげてしまった


 慌てて口を抑えるが、、、よかった、まだ寝てるみたい


「、、、この変態さんめ。」


 ここでも無意識に私をドキドキさせるのですかっ!


 先程仕返ししたばかりだというのに直ぐに、しかも無意識にやり返してくるだなんて、やはりなんと恐ろしい人なのでしょう


「まったくもう、、、先輩には敵いませんね♡」


 起きている間は真面目で私の誘惑に頑張って抵抗しているのに、寝ている間はこんなにも無防備で、、、それが私への信頼の度合いを表しているようでキュンキュンする


 先輩を甘やかすという名目で膝枕へ誘ったけど、私の方こそリラクゼーション効果があるのかもしれない


 彼を優しく撫でながら、そう思った




 長い間寝させてしまうと、夜に眠れなくなってしまう


 とても名残惜しいが、そろそろ起こしてあげよう


「先輩、そろそろ起きてください。」


 彼はゆっくりと目を開けた


「、、、どれくらい寝てた?」


「45分くらいですね。 途中で私もウトウトしちゃいましたし。」


 先輩は上体を起こし、私の足を不安そうに見る


「そっか、、、足は痺れたりしてないか?」


「大丈夫ですよ。 意外と痺れや痛みはありませんね。」


「ならよかった。 俺はかなりリラックスさせてもらったのに、お前が疲れてたら申し訳ないし。」


「何を言いますか。 こちらこそ先輩で癒やされましたよ。」


「、、、何もしてないよな?」


「何かしたに決まってるじゃないですか‼」


「いやそんな両眼を開いて凄まれても、、、まぁお前のことだし、頬をつついたとかじゃないか?」


「さぁ、どうでしょうか♡」


 当てられていることを顔に出さず、反撃とばかりに妖艶な笑みを送ってみる


 先輩も察したのか、苦笑とともに諦めのため息をついた


「なら秘密ということにしとく、、、まぁなんだ、その、お陰で色々悩んでいたことが吹っ切れたよ。 ありがとう。」


 照れていると一目で分かる雰囲気が、彼の感謝が心からの言葉だということを理解させる


 いつもなら軽口の一つでも返していたところだけど、何故か言葉が出ない


 ただ、私の心臓の鼓動が速まっていた

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