第67話


「あらあら、百瀬さんはさくらとやっぱりお付き合いを初めたのね!」


 まぁ、私の母だから、、、反対されることなくすんなりと認めてもらえた


 先輩も拍子抜けしてしまったようだけれど、今は安堵の表情を浮かべている


 ちなみにお姉ちゃんはバイト中だった


 知り合いの美容師さんのところで簡単な仕事を手伝っているらしい


 まぁ今は関係ないし置いとこう




「でもこの子とお付き合いは大変よ? 愛はかなり重い方だし、ヤンデレ気味でもあるし、、、まったく誰に似たのかしら。」


「お母さんじゃない?」


 何を言っているんだこの母は、、、お父さんにいつもべったりのくせに


「まぁ、承知しています。」


「先輩も即答⁉ そこは少し躊躇してくださいよ、、、」


「自覚はしてるんだな。」


「えぇ、まぁ、、、」


 先輩が大好きなのは否定したくないし、愛が重いのも知っている


 そんな私でも先輩は受け入れてくれたのだ、、、好き♡


「そんなお前も好きだから、変に心配するな。 行き過ぎたらアレだが、好きって言ってくれることは自体は嬉しいからな。」


「行き過ぎたらアレって酷くないd、、、はっ⁉ 先輩もヤンデレ化してくれれば、過激な愛情表現も問題無いのでは!」


「俺はヤンデレにならん。」


「ふふっ、先輩もヤンデレにならないか?」


 手に平を上にして、先輩に向かって手を差し伸ばす


 某上弦の鬼みたいに勧誘してみたけど、返されたのは呆れたような視線


 その視線は先輩だけでなく、お母さんからも飛ばされた


「あなたって、、、百瀬くんも大変ね。」


「覚悟の上ですから。」


「不束かな娘だけれど、仲良くしてあげて? 結構重い子だけれど一途なのは本当だから、百瀬くんが受け入れてくれなら、幸せにしてあげることが出来ると思うわ。」


「はい、全力で幸せにします。 さくらは既に俺を受け入れてくれた、、、なら俺が娘さんを受け入れないわけがありません。」


 えっ、誰このイケメン、、、私の彼氏です!


「私はあなたの幸せのことを言ったのだけれど、、、お互いに相手のことを想っているって眩しいわね。 早く商二しょうじさんに会いたいわ!」


「、、、あの、さくらのお父様は?」


 あれ、先輩に話してなかったっけ、、、そういえば話してなかったね


「十束商二さん、、、さくらの父で、私の夫です。 海外の仕事に携わっているから、今は国の外へ単身赴任しているわ。」


「えっ、お父様に俺のことは、、、」


「まだ話してないですね。 というか話したくもないですね。」


「え?」


 だって話したら絶対面倒になるし、、、説明を止めた私から引き継ぐように、お父さんについて説明した


「あの、夫は少し娘への愛情が深すぎて、、、所謂親バカというものですね。」


「あぁ、なるほど。」


 そう、お父さんは普通にしてたら良い父親なんだけど、帰って来た時には必ず甘々に甘やかしてくる


 これはその時の回想なんだけど、、、



商『パパが帰ってきたよ〜!』


さ『わ〜い!』


商『お土産は後であげようね。 今回は大きなクマのぬいぐるみさんを買ってきたよ〜!』


さ『パパ、ありがとう! 大切にするね!』


商『ぐっ、、、ウチの次女が可愛すぎる、、、奈津橘は最近冷たいし、、、おぉ可愛いマイエンジェル!』



 、、、単身赴任で寂しそうだったし、なかなか娘に会えない親心というものは納得できる


 でも私はもう高校生、絶賛思春期中の女の子なのです


 小さい頃は私も甘やかしてくれるのが嬉しくてパパっ子だったんだけど、、、まぁそれはそれとして、親バカなお父さんのことだから、私の彼氏、、、すなわち先輩のことで十中八九問題を起こすだろう


 これもまた回想で、私が中1の時の話なんだけど、、、



商『そういえば、さくらは彼氏とか出来たのか?』


さ『そういうのはまだだよ。 男子に話しかけるとか難しいし。』


商『そうか〜、(娘に彼氏とか絶対に認められん、、、)』


さ『お父さん、何か言った?』


商『いや、何も?』



 、、、何故だろうか、既に『私の娘に彼氏だと⁉ 許せん、決闘だ‼』って言ってる姿が想像できる


 お父さんは必ず反対してきそうだから、先輩を狙い始めた時点で考えるのが面倒に感じたから直ぐに頭の中から外してたけど、、、まさかここにきて壁となりそうになっているとは




「話を聞いた感じ、、、大変そうですね。 でもまぁさくらのお父様なので納得と言えば納得ですが。」


「どういう意味ですか!」


「あらあら、、、私は百瀬くんとなら全然構わないのだけれど、商二さん、、、は難しそうよねぇ。」


 お母さんもお父さんが難関であることに検討がついているみたいだ


「まだ話を聞いただけですが、認めていただくのは確かに難しそうですね、、、でも最善を尽くしますよ。 さくらとのお付き合いを必ず認めてもらいます。」


 決意を固める先輩がカッコよすぎる、、、私をキュン死させようとしてるんですかね、この人は


「次に商二さんが帰国なさるのは何時頃ですか? 電話でのご報告は失礼でしょうし、対面でお話したいですね。」


「次は11月の中旬よ。 大変だろうけど、応援するわ!」


 先輩が覚悟を決めたようだ


 お母さんも応援してくれるみたいだし、勿論私も全力で認めてみせる


 お父さんには厳しいけど、娘は独り立ちの時だと教えてやる!


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