第69話
カーテンは閉め切られ、部屋の中には電灯の明かり一つだけが残されている
そんないかにも怪しい部屋の中、怪しい二人組が机を挟んで話し合っていた
でも両者ともにゲン◯ウポーズを決めていることで、シリアスな雰囲気を見事にぶち壊している
『それで首尾はどうなっているのかしら?』
『大丈夫です。 お二人の予定を確認したところ、問題無さそうです。』
『仕事が速いわね。 後は私達がそろそろ準備を始めるだけよ。』
『先輩、きっと驚くでしょうね、、、その驚いた顔が早く見たいです。』
『私も楽しみにしてるわ、、、ふふふ。』
『ふふっ♡』
「え〜体育大会が近づいてきました。 1年生はまだ分からないことが多く大変でしょうが、先輩たちから教えてもらって楽しい体育大会にしてください。」
そっか、もう体育大会か、、、最近は色々と動いているから近づいてることに気が付かなかった
「ではまず選手決めをします。 まずは100m走から……」
う〜ん、運動は苦手ではない
寧ろ得意な感じはある
でもリレーに選ばれるほどではないから、障害物競走とか借り物競走とかにしようかな、、、先輩はどうなんだろ?
最近運動し始めたって言ってたけど、意外とリレーに選ばれたり、、、いや陸上部がいるし、それは難しいか
放課後にでも訊いてみようかな
で、実際に帰り道で訊いてみた
「ん、出る種目か? 一応障害物競走とかに出るつもりだけど。」
「私も同じ感じですね。 あと借り物に出ようかなと。」
「借り物か、、、お前が出るなら俺も出てみようかな。」
「借り物はワ・タ・シ♡ なーんちゃって!」
「、、、」
「ちょ、ちょっと、無言で歩くスピード上げるの止めてください!」
少しからかっただけなのだが、先輩にはお気に召さなかったようだ
寒いし古いネタだと分かってはいたのだけれど、どうしてもやってみたかった
「お前なぁ、、、そんな都合のいいお題が都合よく俺に当たるかよ。」
「そこは私のヒロインパワーと、先輩の主人公パワーでなんとか、、、」
「人を勝手にラノベの登場人物にするな。 というか今どき『好きな人』みたいなお題は出さないだろ。」
まぁそうですよね、、、お題が古すぎましたか、、、ん?
私は仮のお題を『好きな人』とは言っていない
なのに先輩が私のことを『好きな人』だと言った、、、これは先輩が私のことを『好きな人』だと間接的に、認めている、ことに、、、
「お、顔赤くしてどうした? 熱か?」
「先輩のバカ。」
「急に彼女が辛辣⁉」
まったくもう、、、頭は良いのに変なところで抜けていると言いますか、、、彼が私のことを好きなのは承知している、、、それでも間接的に認められるというのは、また違った味を出していてドキドキした
しかし私は負けたわけではない!
普段のからかいとイジりでプラマイゼロです!
私がヘタレな先輩に負けることなど、許せないぞ〜!
「なんか失礼なこと考えてないか?」
「気のせいですよ、気の所為。」
、、、これまた変なところで鋭いのも気が抜けないなぁ
場面は変わって冒頭に出て来た暗い部屋の中
「それでさくらちゃん、ケーキの方はどうしようかしら?」
「そうですね、、、出来るならば手作りが良いのですけれど。 和恵さんはケーキの製作は出来ますか?」
「残念だけど、ケーキの方に手を出したことはないわね、、、」
「なら私のお母さんがケーキ作りが趣味なのですが、、、お母さんも混ぜた全員で作ってみるのはどうでしょう?」
「良いわねそれ! ご挨拶のついでにご教授願おうかしら。」
「賛成してくれて嬉しいです! では私の方からお母さんに伝えておきますね。」
「、、、今更だけど、零斗に何も伝えなくても大丈夫なのかしら。 いやサプライズ案に賛成した私も私だけれど。」
「ようやっと先輩の誕生日を堂々とお祝いできるようになったのです。 先輩の心に残る素晴らしいお祝いにすると彼女の私が決めたのですから、彼に文句は言わせません!」
「すっかり『彼女』ね、、、さくらちゃんがそこまで言うのなら私も覚悟を決めるわ。 零斗を驚かして、必ず楽しいお祝いにするわよ!」
「お〜‼」
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