第55話
「というわけで、今も俺のために料理を作ってくれてるんですよ。」
話し始めたら興が乗ってしまって、ついつい沢山話してしまった
「、、、そ、そうか。」
あれ、呆けたような呆れたような顔をしてらっしゃる
「どうかしましたか? やっぱり俺の話はつまらなかったですかね。」
「いやいや、話はとても面白かったとも! だが、、、まさか君がそこまで十束後輩にデレデレになるとは想像もしていなかったから。」
「、、、」
うん、今思い返せばずっと惚気話をしてたわ
再会直後は関係がギクシャクしてたが、アイツの明るさに絆されたこと
いろんな事があって、いつの間にかアイツを好きになっていたこと
夏祭りの日、即ち昨日の夜に告白し、結ばれたこと
、、、そして自分が思うより、さくらを想っていること
大半が惚気話だわ
これもまた数ヶ月前の俺が見たら卒倒しそうな様子だな
改めて、さくらは俺を変えてくれたのだと思う、、、勿論良い意味でな
「すみません。」
「全然謝ることは無いさ。 寧ろ君たちのこれからが幸せそうで、私も安心したよ。 まぁ再会の仕方は独特過ぎたが。」
「それは俺も思います。 初めにフッてしまった自分が言うのもなんですけど、もっと他に方法があったと思うんですよねぇ。」
「好意を抱いた相手から想いを断られるというのは、かなりキツいものだ。 その直後とあっては、混乱するのも無理はない。」
「えっと、その後のストーキングについてはどう説明しますか?」
「せ、性癖?」
「、、、」
「が、頑張り給え! それに君がしっかりしていたら、十束後輩もこれ以上特殊な道に歩むことはないだろうしな。」
「改めて知りたくなかった、、、」
そうだよ、アイツは元ストーカーだったんだよ、、、
先輩に言われて気づいたけど、俺たちって特殊な関係なんだよなぁ、、、
「だ、だがそのような面白いところも含めて、君は彼女が好きなのだろう? ならそこまで深く考えずとも良いはずだ。」
「ありがとうございます、、、また困ったら相談してもいいですか?」
「構わないよ。 何時でも風紀委員室に足を運ぶといい。」
やっぱカッコイイな
「だが、不純異性交遊で問題にならないようにするんだぞ?」
最後に風化委員長らしい言葉で締めくくる、、、やっぱり、あまりお世話になりたくない場所ですけどね
こんな感じで千歳先輩と休憩した後、せっかくなのでジョギングに交ざらせてもらった
運動は人並みに出来るので、先輩について行けないみたいな恥を晒すことは無かったが、先輩の走るフォームが素人目線でも綺麗だと思い少し驚いた
ありゃあモテる人だね
面白そうだから出来るだけ先輩のフォームを真似て走ったり、時には周りの景色を眺めたりしていると、爽快感が湧き上がってくる
1人で運動するのはどうしても寂しさを感じてしまうものだけど、隣で一緒に走ってくれる人がいると楽しいものだ
今度さくらを連れて一緒に走ってみるかな
「ただいま〜」
暫く走った後に先輩と挨拶をして別れ、そのまま歩いて家に帰ってきた
良い感じに汗をかいたし、軽くシャワーを浴びて、それから、、、
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、なんとも良い匂いが漂ってきた
そういえば、さくらと母さんが唐揚げを作った時もこんな感じだったな
どんな料理を作っているのか知りたかったが、汗をかいた状態でキッチンに入るのはダメだし、ここは我慢して黙って風呂場に行った
にしてもお腹へったなぁ、、、審査のためにお腹を空かせておくよう2人に言われたから昼は食ってないんだよね
早く食べたい気持ちと、どんな料理が出てくるのか楽しみな気持ち半分ってとこだ
唐突に始まった料理勝負だけど、俺的には得しかないからラッキーと言うべきかもしれないな、、、
真新しい服に着替えて脱衣所から出てくると、さくらがソファーに座ってスマホをいじっていた
母さんは、、、まだキッチンで仕込みしてる
その隣に煮込まれている鍋があるのを見たところ、さくらは下準備の待機中ってとこか
近づいた俺に気づくと、こちらに顔を向けていつも通り話しかけてきた
「あ、先輩シャワー浴びてきたんですね。 私も突入すればよかったです。」
「お前に黙って浴びてきてよかったと心から思う。」
ほんとにいつも通りだな、、、
「彼女だから彼氏のシャワーに突撃するのは当然じゃないですか! なんなら背中の流し合いっこしましょうよ!」
「付き合い始めた日の翌日の行動じゃないだろ。 そういうのはもっと段階を踏んでからするもんだ。」
「つまり、今じゃないけど将来的にしてもらう予定があると?」
「やかましいわ。」
「でも先輩も私のカラダに興味はあると思うんですよ。 私のスタイル、人並み以上だと自信がありますから!」
彼女は腰を軽く曲げ、両手をを頭の後ろに回し、胸を張る、、、所謂セクシーポーズ
そうすることで、確かに平均以上な胸がより強調され、とても扇状的な姿となった
細い腰によってくびれもハッキリとなり、舌を少し出すことで小悪魔的な表情にもなっている
普通なら一目で虜になりそうな姿だ、、、普通の人はな
「そういえばさっき千歳先輩に会ってだな、一緒に軽くジョギングしてきたんだよ。 あ、牛乳少ないじゃん。 ついでに買いに行けばよかったな、、、」
「私の誘惑は少なくなった牛乳より下なんですか⁉」
肩をガクッと落とし、見るからに落ち込んでいるさくら
残念だがお生憎、俺は普通じゃない、、、嘘告され続けて、女性の体に対してそこまで興味を持たなくなった
完全に興味がないわけじゃないが、そういったことに必要以上に興奮しないんだ
それにボッチだから、友人経由でそういった情報が入ることがまず無い
「なんだか負けた気分、、、次こそは絶対に虜にさせますから!」
諦めずに挑戦し続けようとするとこ、ポイント高いぞ
「ハハッ、楽しみに待っとくよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます