第45話
パンッ
「アハハハ! 先輩の弾、全部外れてるじゃないですか!」
「うるっせ、ならお前もやってみろよ。 あと半分弾残ってるから。」
「しょうがないですねぇ、情けない先輩に後輩の勇姿をみせてあげます。」
パンッ
「あれ? この弾も外れて、、、」
パンッ
「アーーッ!」
「お前も全弾外れてんじゃねえかよ。」
「これは孔明の罠です!」
「なんでや孔明さん関係ないやろ。」
「残念だったね、はいコレ。 おまけのお菓子ね。」
「うぅ、、、次こそは勝ってみせます!」
「お、来年も来てくれるのかい? 楽しみに待っとくよ!」
「お願い金魚さん、そのまま動かないでね。 そのままそのまま、、、あっ、完全に破れた。」
「またスカってるし、、、お前金魚に嫌われてるんじゃねえの?」
「金魚さんに悪い事した覚えは無いんですけどね、、、それより先輩は? 先輩も0匹ですよね⁉」
「外した仲間を増やそうとするなよ、、、ホラ。」
「え、、、5匹も獲ってる。」
「俺は誰かさんと違って金魚に嫌われてないみたいだな。」
「なんで嫌われてる前提なんですかぁ!」
「、、、嬢ちゃん元気出しな? ほら、確定の1匹だよ。」
「ありがとうございます、、、」
「元気出せって。 次は何処に行く?」
「次は、、、」
「俺は、、、3等か。」
「3等はこの箱ね。 好きな物を選んでちょうだい?」
「じゃあ、このトランプを貰います。」
「ほいよ。」
「、、、ふっふっふ。 各々の技能に関係なく、ただ己の運のみによって左右されるこの試合、、、先輩には悪いですが、勝たせていただきます!」
「いつから勝負は始まった?」
「狙うは1等! 私が引くのは、、、コレだぁぁ!」
「、、、結果はどうなった?」
「、、、」
スッ
「え〜4等ね、、、この箱の中だね、、、」
「、、、このポケットティッシュでお願いします。」
「、、、が、頑張りなよ!」
「、、、グスン」
「、、、行くぞ。」
射的、金魚すくい、そしてクジ引き
祭りの定番とも言える屋台を回ってみたは良いものの、私は尽く失敗した
戦利品は、お菓子、ポケットティッシュ、そして全力で袋から逃げ出そうとしている金魚、、、散々たる結果だ
「はぁ、、、」
人混みから離れたベンチに座り、ひたすら落ち込んでいる私の姿がそこにはあった
「そんなに肩を落とすなよ。 本気で商品とかを狙いに来たんじゃないんだろ?」
「はい、分かってはいるのですけれど、、、全て失敗すると虚しいですね。」
「、、、少し待ってろ。」
先輩は人混みの中に入っていった
、、、好きな人に放っていかれる
色々と失敗したことよりも、これが1番心が痛い
せっかく浴衣を着て、メイクもしてきたのに、、、
「先輩の、バカ。」
小声で先輩を罵ってから1分くらい経った頃、チャラそうな大学生の3人組が近づいてきた
「ねぇ君1人?」
「めっちゃ可愛いじゃん。 俺、君みたいなコがタイプなんだよねぇ。」
「1人でいるより俺たちと一緒に遊ばない?」
、、、なんてテンプレなナンパなんだ
「すみませんが、連れがいますので。」
ぐだぐだ相手をしてしまうと、こういう奴らはしつこくなる
ハッキリと断るのが1番だよ
「でもそのツレいないじゃん。」
「放って置かれたのかな?」
「ッ⁉」
「お、図星ィ? ならそんな冷たい奴こそ放っておいて、俺達と遊ぼうよ!」
「ホラホラ、こっちおいでよ。」
調子に乗ったナンパは私の腕を掴んできた
引っ張る先は、、、林の中だ
「嫌っ、離してください!」
「だいじょーぶダイジョーブ、ちょっと遊ぶだけだから。 ちょっとだけだから、ネ?」
「だ、誰かっ!」
失敗の悲しみを癒やすために、敢えて人混みから遠くのベンチを選んだのが仇となった
救けを求めて声を上げるが、人混みからの遠さと祭りの音にかき消され、誰にも届かない
「俺らもこの前カノジョにフラれちゃってさぁ。 傷心者同士、慰め合おうぜ?」
「もしかして初めて? アガるわぁ、優しく教えてあげるから、、、なっ!」
「きゃっ!」
急に引っ張る力を強められ、私は大きくバランスを崩してしまった
そのチャンスを逃すはずなく、ナンパは私を引きずっていく
「嫌、いやっ! 誰か救けて! 誰か、、、先輩‼」
「先輩? 無駄だって。 誰も来ないの、君も予想してるでしょ?」
「先輩! 先輩‼」
「ちょっと、そこまで嫌がられれると俺たちも、、、高ぶるだろ?」
、、、たすけて、せんぱい
「俺のカノジョに何してるんですか?」
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