第35話


 さくらがどちらが好きなのか分からなかったから、キノコとタケノコ、両方を買う羽目になった

 

 だがこんなところからでも、アイツの好みを知れたら良いと思う


 だって俺は、アイツの想いにからな、、、




「ただいま〜、、、なんかいい匂いする?」


 揚げ物を作っている時の、あの良い匂いが玄関まで漂ってきた


 もしかするとさくらは既に帰ってしまっていて、母さんが晩御飯を作っているのかもしれない、、、だとしたら割と悲しいが


 どちらにしろお菓子をキッチンに置かないといけないので、リビングに行く前にキッチンに寄ろう



「、、、は?」


 手に持っていた荷物を驚いて落としてしまった


「あら、さくらちゃんって料理上手なのね。」


「一般的な家庭料理だけですけどね。 中学校の頃、暇な時間に母から教えてもらっていたので。」


 なんで母さんとさくらは一緒に唐揚げを作っているんだ?


「今度さくらちゃんのお母さんにも会わせてくれないかしら?」


「勿論良いですよ! 母も友達が増えて喜ぶと思います。」


「イヤちょっと待て‼ 楽しげなのは嬉しいんだけど、そこまで仲良くなってんのかよ⁉」


 母さんと仲が良くなってくれればいいなとか考えてたよ?


 でも初対面でお料理教室開く程とは思ってもいなかったわ‼


「和恵さんってとても優しい人ですね。 私の料理を褒めながら、手際が悪かったところを静かにサポートしてくれたり、アドバイスしてくれたんですもの。」


「あらら、バレちゃってたのね。」


「流石に私でも気づきますよ。」


「お料理も気遣いも出来て、優しくて、そして可愛い! そんな子が息子の友達で嬉しいわ!」


「既に母さんは堕とされていたのか、、、」


 ヤバい、この調子だと我が家にまでコイツさくらが日常的に侵入する可能性が、、、しかも親が許可出したら合法的に、、、なんとかしなければ


「か、母さん? 楽しそうなのは結構なんだけど、もう暗くなる時間だしさ? 俺が送るからそろそろ帰った方がいいのかなーと思うんだけど、、、」


「夏が近づいているし、まだ辺りは明るいじゃない。 それにどうせならご飯も一緒に食べましょう?」


「はい!」


「、、、親御さんにに連絡はしとけよ。」


 もう、俺には止められないようだ




 さくらが作った料理に3人で食卓を囲み、2人はとても楽しそうに食事していた


 気になる料理の味は、、、美味しかったよ


 またさくらの料理を食べたいと望むくらいには、な


「先輩、私の料理は美味しいでしょう?」


「、、、美味しいよ。」


「せ、先輩が素直になってる、、、冷◯ピタ急いで買ってきます!」


「ヤメロ。 熱なんか出してないし頭は正常だよ、、、ったく少し言っただけでもすぐに調子乗る、、、」


 途端に顔を真っ赤にした十束後輩、、、お前の方が熱出してんじゃねぇの?


「だって先輩のデレる回数が最近増えてきて嬉しくて、、、私の心臓バックバクですよ。 触ってみます? 私のm「マジで一旦黙れ。」


「そして母さん、目の前でずっとニヤニヤしないで。」


「うふふ。」



「、、、ハァ、本格的に暗くなり始めたからそろそろ帰らせるわ。」


 飯も全員食べ終わったしな


「え? 泊まっていけばいいじゃない。」


「さくら、帰る準備をしてくれ。 できるだけ早く、ASAP!」


 この時の俺は多分、人生で1番凄みのある顔をしていたと思う


「わ、分かりました、、、」




 別れの時には、母さんが玄関の外にまで来てお見送りしようとしていた


「今日は来てくれてありがとうね。 息子の話も聞けたし、何よりさくらちゃんと話せて楽しかったわ。 また来てちょうだい?」


「こちらこそお母様と話せて嬉しかったです。 また来ますね!」


「零斗、さくらちゃんをしっかりと送り届けなさいよ。」


「分かってるよ、、、」


 どうやらさくらは母さんに気に入られ、これからも家に来る予定らしい、、、遂に家にまで、、、いや、でも自室にまで入られてないし、まだセーフか?


 セーフだよな⁉


 誰かセーフだと言ってくれ、、、

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