第31話
「あっいたいた、百瀬くん!」
校門が見えてきた頃、九重が走って寄ってきた
朝早くに、それに校舎側ってことは俺たちを待ってたってことだよな
「九重どうした?」
「うん、実はね。 はいコレ。」
「これは、、、アイスの無料券? どうして急に?」
いきなり現れたと思ったら、某アイスクリームチェーン店の無料券を渡してきた
しかもこれは新作のアイスだったはず、、、
「この前福引で当たってね。 一緒にどうかなって。」
「いただけるのは嬉しいが、本当に俺でいいのか? 友達とかと行かないのか?」
「ううん、百瀬くんがいい。 友達として仲良くなりたいし、それに、、、」
あ〜そういうことか、、、仲を深めるという意味もあるが、俺への謝罪の気持ちも含まれているのだろう
しかし本当に嘘告されたことは気にしていないし、無理に謝罪の代わりをしてほしいとも思わない
だが友達としてなら、、、
「分かった。 ありがたく行かせてもらうよ。 それで今日の放課後か?」
「うん、校門前で待ってるから。 それに2枚渡してあるから、百瀬くんの横で真顔になってる子も連れて来たらどうかな?」
「そうさせてもらう。 それじゃ、また放課後に。」
「またね〜」
そう言って九重は教室の方へ行った
さて、怖いが隣のコイツにも反応してやるか
「さっき聞いてただろ? お前も一緒に来てほしいらしいから、その真っ黒な目を止めてくれ。」
「雪先輩が、、、まさか伏兵が潜んでいたとは、、、これは油断できない。」
伏兵じゃねぇよ?
「初めは歪んだ関係、、、でもそこから発展する2人だけの特別な仲、、、」
「だから、友達としてだからな? 風紀委員長の時にも誤解してただろうが。」
ハッと気づいたような表情をして、急に安堵し始めた
「そうですよね! 雪先輩にも失礼なことをしちゃうとこでした。」
「俺には失礼だと思わないのかな?」
「アイスクリーム楽しみですね。」
「オイ無視するな。」
「私はバニラの新作をご所望します!」
「は? バニラは俺がいただく。」
「よかろう、ならば戦争ですよ先輩。」
何気ない朝の校舎前で『アァン?』とメンチを切る俺たちの姿があった
その時、横を通り過ぎる人がそっぽを向いていたことを俺たちは知る由もない
睨み合いを止め、校門から続く道を通りながら話の続きをすることにした
「ところでお前ってバニラ好きだったんだな。」
「嫌いな人がいると思いますか? いや、いない!」
「反語形使ってまで強調しなくても、、、まぁ人それぞれだが、大体の人は嫌いじゃないんじゃないか?」
「先輩もバニラ民でしたか。 ようこそバニラ教へ。」
「宗教の自由、、、にしてもこういうことなんだろうな。」
「バニラ教のことですか?」
「ちげーよ昨日言ったことだよ。 お互いのことを沢山知っていこうってやつ。 今もお前の好物を知れただろ?」
ここまで盲信しているとは想像もしていなかったが
「あー確かにそうですね。 ふむふむ先輩の好きなアイスの味はバニラと、、、ちなみにバニラの次は何が好きですか? 私はイチゴです!」
「俺は抹茶かな。 イチゴはあの微妙な酸味が苦手で、、、」
「かく言う先輩は渋いですね。 抹茶て! お爺ちゃんですか⁉」
、、、
「絶対バニラは俺が貰うからな。」
「許してください、なんでもしますから。」
「え、今なんでもするって?」
「言ってないです。」
「、、、十束、女子でこのネタ知ってんのはマズイ。」
「そんなことないと思いますけど、、、あと名前呼びで!」
「、、、分かったから次からそのネタ使うなよ、さくら。」
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