第28話
「そうなんです。 二次関数が難しくて、、、」
「分かるよ、俺もそうだった。 色々な問題があるが、あまり解の公式に頼りすぎない方が良い。 あれは解の個数を求めるだけだから、万能に使えるわけじゃない。」
「そうなんですね、気を付けます!」
「、、、の、希ちゃんと先輩が凄い仲良くなってる⁉」
ドアの前にいつの間にか教室に入っていた十束が立っていた
「あ、十束。 スマン呼ぶの忘れてた。」
「忘れた⁉ 希ちゃんは私のこと忘れたりなんかしないよね?」
「、、、」
「嘘でしょ⁉ 友達と先輩に忘れられる私って、、、先輩と希ちゃんと仲良くなったことを喜べばいいのか恨めばいいのか、、、」
頭を抱えるほど悩むことなのかよ、、、
「あ〜流石に悪かったよ。 つい話が盛り上がってな。」
「私も、初めはさくらをフッた人って聞いて警戒してたんだけど、話してみたら全然いい人だし、楽しいし。 さくらが好きになったのも納得できる。」
「でしょ‼ やっぱり希ちゃんに話して良かった!」
「2人のこと応援するわ。」
「希ちゃん、ありがとう!」
、、、何故かこの2人の間に百合が咲いてるように見えるんだが、気のせいだろう
また今日も日が暮れる
「で、もう下校時刻だがこれからどうする?」
「私はさくらの家と向きが逆なので、百瀬さんはさくらと帰っては?」
「え? 希ちゃんの家っておn「さくら?」
「、、、あぁ! そうだね! 先輩、一緒に帰りましょう‼」
「分かったから背中を押すのを止めなさい。 それじゃあ万丈、またな?」
「えぇ、さくらもまた明日。」
「またね〜。」
こうして万丈と別れ、十束と帰ることになった
そしてこれは帰り道でのこと
「百瀬先輩。」
「どうした十束後輩。」
「先輩って希ちゃんと雪先輩と仲良くなりましたね。」
「そうだな。」
口には出さないが、あの2人と仲を深められたのは全て十束のおかげだ
仲が深まったことが良いことなのかは分からないが、少なくとも俺はこの喧騒を好ましく感じている
「希ちゃんは『万丈』と、雪先輩は『九重』と呼んでますよね。 私も名字の『十束』って呼ばれてるじゃないですか。」
「別に普通だろ? 恋人関係でもない女性を名前で呼ぶ勇気はない。」
「先輩のチキンさは置いといて、一つ頼み事です。 私を『さくら』って名前呼びしてくれませんか?」
「、、、どうして急に?」
「、、、多分、嫉妬したんだと思います。 2人が先輩と仲良くなって、私と同じように名字で呼ばれていることでさえ、恨めしく思っちゃったんです。 いえ、仲が深まることが悪いとは思ってませんよ? 先輩の良いところを沢山知ってもらうのは嬉しいですし。」
「、、、」
「でも、私があの2人と同じように扱われてることに、少し、モヤッとしました。 『私はもっと仲が良いんだぞ〜』って、、、あはは、言葉にしづらいですね。」
「十束、、、」
「深過ぎて、私も流石にこれはどうかと思いました。 優しい先輩もひくんじゃないかって不安になったんですけど、結局は今の通りです。 先輩には素直でありたかったから、、、」
不安そうな彼女の表情に、万丈といた時の喜びは無かった
「先輩は、どう思いましたか?」
「どうって、、、」
「知っての通り、私は凄い面倒くさい女です。 それでも先輩は、これからも一緒に仲良くしてくれますか?」
そんなの、答えは一つに決まってる
「あぁ、当然だとも、さくら。」
「ふふっ、ありがとうございます! 大好きですよ、先輩♡」
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