第三章
第24話
重い足取りで、屋上へ続く階段を一歩一歩登っていく
放課後屋上に来るよう、とある女子に頼まれたからだ
まぁでも内容は想像できる
『お待たせしました。 九重雪さん、ですよね?』
『、、、はい。』
屋上には1人の女子が立って待っていた
でも俺は予想している、、、そこのタンクの影に他の女子が隠れて笑っていることを
『何の用ですか?』
『あの、いきなりですが、私と付き合ってください!』
ここで「いいえ」と答えるのは簡単だ
でもイジメられている彼女のため、俺はわざとこう答えた
できるだけ嬉しそうな笑顔を添えて
『はい、喜んで!』
途端に彼女が苦しそうな悲しそうな顔をした
まぁこれも演技なんだろうが、これで確信した
『はいお疲れ〜アハハハ‼』
『騙されてるのダッサww』
はいお出ましお出まし
いかにも陽キャ、そしてギャルみたいな見た目の女が2人出てきた
そのうちの1人が最悪の見下す目で言い捨てる
『残念だね〜陰キャ君。 あんたみたいなヤツがモテるわけないでしょ?』
そんなの何回も前から知ってるよ
『それにしても九重やるね〜。 普段暗そうにしてるのに、いざという時にはやるヤツだったんだわ。』
『今度話題の店行こーよ。』
『あ、ありがとうございます。』
『じゃ陰キャ君はさっさと置いて帰ろーww』
『かいさんかいさーん。 あ、陰キャはもう帰ってもいーよアッハハ♪』
『でも悔しいからってこれからも近づかないでね? 陰キャが
『それ言えてる〜‼ そう思うわよね九重?』
『あ、あはは、、、』
そう言い残して、2人+嘘告した1人の合計3人は帰っていった
先程まで聞こえていた下品な笑い声を風が連れ去り、何の声も聞こえなくなった
既に階段を降りて遠くへ言ったことを確かめた俺は安堵し、独り言を言った
『これであの子はカースト上位へ確定だな。 それにしても本当に何も感じないな。 悔しいとか怒りとか、全然感じない。』
いつからだっけ、、、嘘告されても何も感じなくなったのは
嘘告されることに意義があると悟ったのは7回目、これはしっかり覚えている
でも何も感じなくなったのは、、、5回目?
それとも6回目?
『まぁどうでもいいか。 どうせこれからも嘘告され続けるんだから。』
今までもこれからも、ずっと俺は偽りの想いを吐き捨てられる
蔑み、嘲笑、見下しを受け、魔法使いのまま死んでいく運命なのだから、何も感じなくなった方が俺としても好都合なのだろう
『、、、ハンカチ出して、泣きながら帰るか。』
そうすればあのグループがもっと騒ぎ、よりあの子が陽キャになりやすくなるから
俺は嘘告に愛されている
こんな俺に伝えられる好意なんて、全て偽りでまやかしだ
でももし仮に、、、いやそもそも仮定する時点でありえないのだけれども
仮に本物の告白を受けたならば、俺はどうするべきなのだろうか?
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