第22話


「私の方がさくらの先輩よ!」


「落ち着け九重!」


「だって私の方が、、、」


「分かった、分かったから!」


 争い事かと思って教室に入ってみれば、百瀬先輩に掴みかかりそうな勢いで睨んでいる雪先輩がいた


 うん、この光景だけだったら今直ぐに止めたほうが良いんだろうけど、、、


 言い争ってる内容がイミフすぎる


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「そうよ、さくらに決めてもらいましょう。 ねぇさくら、私の方がアナタと親密よね?」


「はい⁉」


「あー今の九重に真面目に対応しようとしても意味ないぞ。」


「先輩何やらかしたんですか⁉」


 もうわけが理解わかりませんよ




 1分後


「、、、落ち着きましたか?」


「ごめんなさい。 ちょっと熱くなっちゃってたわ。」


「ならいいですけど、、、どうして言い争ってたんですか?」


 未だに状況が理解不能であります


「実はね…」


 あ、回想シーン入りま〜す





 私が教室を出た直後のこと


『、、、まずは謝罪させて。 ごめんなさい、あなたの心を傷つける真似をしてしまって。』


『十束から大体の話は聞いてるよ。 顔を上げてくれ。』


『でも、百瀬くんは、、、』


『確かに俺は拗らせた。 今となっては、外にいるアイツ十束の好意も信じれなくなった。』


『、、、』


『でもな、だからって恨んでるわけじゃないんだよ。 俺がこうなったのは九重、お前だけのせいじゃない。』


『けど、、、』


『あぁ、お前は責任を感じるだろうな。 でも本当に俺はどうでもいいんだ。』


『それなら私は、、、どうすればいいの!?』


『知らん。』


『知らんって、、、』


『これが俺に出来る精一杯だ。 本来なら俺は此処に来なかったはずだ。』


『ッ⁉』


『嘘告したお前にもある程度の信頼を持てたのは、十束がいたからだ。 十束と再会してなかったら、、、例え今回の件でお前が俺を呼び出したとしても俺は来なかっただろうよ。』


『、、、私もさくらと話したから、己の過ちにちゃんと向き合おうと思えたの。 あの子が私を信じてくれたから、、、』


『そして俺は、九重を信じた十束を信じた。 見事にアイツの思惑通りだな。』


『悪い言い方ね。』


『アイツはあぁ見えてかなり腹黒だからな。 俺しか知らないと思うが。』


『フフッ、そうかも。』


『まぁとにかくだ、俺はお前の今後に口出ししない。 お前が決めろ。』


『、、、私は、百瀬くんと友達になりたいと思ってる。 今更言ってもだけど、、、』


『ならそうすれば良い。 残念なことに俺は後輩にもボッチと認められてしまっているからな。 お前と仲が良くなることは望ましい。』


『なら、、、これからどうぞよろしくお願いします、百瀬くん。』


『あぁ、よろしく九重。』





 回想シーン終わりま〜す


 話を聞いた限りだと、どこもおかしくない様に感じるんだけど


 あと先輩、私を腹黒扱いしたこと覚えておいてくださいね、、、


「何故そこから言い争いに発展したのでしょうか?」


「友達という関係になり、まずは雑談として十束の話でもしてたんだが、急に九重がキレだしたんだよ。」


「だって百瀬くんがさくらの先輩みたいな感じで話すから、、、私の方がさくらの先輩なんだって意地はっちゃって。」


「なんですかその理由は。」


「ごめんなさい、、、」


「お二方どちらも大切な先輩ですよ。 優劣なんか付けれるはずないじゃないですか。」


 どちらも大切な人だからこそ、私は今回動いたのだ


 結果的に2人が和解してくれて嬉しい



「さくら、本当にありがとう。」


「俺からも、ありがとうな。」


「百瀬先輩が感謝した、、、これは明日雪が降りますね。」


「うるっせぇまだ6月だよ!」


「アハハハ!」


「フフッ」



 うん、やっぱりこの雰囲気が好き


 余計なお世話かと思って不安だったけど、、、百瀬先輩と雪先輩が仲良くなってくれて良かった‼

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