第13話


 宵の口の空の下、二人の若者が歩いていた


 一方は嘘の告白に愛され、好意を信じられなくなった男


 もう片方はその男に好意を抱くが不本意な形で終えた告白に納得できず、その男の跡をつけた女


 そんな歪な関係だった二人が、まさか共に帰ることになろうとは、神様仏様イエス様でも想像できなかっただろう


 、、、まぁ、俺が1番驚いてるんだがな




「まさかストーキングしていない状態の君と帰ることになるとはな。」


「一生モノの黒歴史を掘り返さないでください。 あとストーキングがデフォじゃないんで勘違いしないで下さいね? でも百瀬先輩も悪いと思うんですよ。 事情は把握しましたが、だからといってあんなに決めつけなくても、、、」


「10回も騙され続けてたら、そうなるのも可怪しくないと思わないか?」


「笑えない冗談なんですけど。」


 十束は苦笑いをした


「自分の中では最高級のジョークなんだがな。」


「高級すぎて手に負えないレベルですよ。 ところで先輩、一つ許可がほしいのですが。」


「ん、何だ?」


「先輩を騙したクズ女共に天罰を与えてきていいですか?」


 いや怖ぇよ


「、、、そのクズ女の中には、先輩の九重雪がいるんだぞ。」


「背景があったと言えども、先輩を傷つけたことは赦せません。 たとえ雪先輩であったとしてもです。」


 目が怖いんだけど、、、目がぁ! 目がぁ‼


「もう一度言うが、本当にもう気にしてないし、これからも気にすることもない。 だからお前が変に目立つ必要はないんだ。」


「ですが‼」


「十束。」


「、、、分かりました。」


 しぶしぶといった感じで譲歩してくれた


 そこはすぐに譲ってくれよ、、、




「それで、これから君はどうするんだ?」


「どう、とは?」


「俺の事情は話した。 俺は君のことを信用するが、お前の好意を信じられない。 お前の言う通り、拗らせてるんだろうよ、、、だからこそ、だ。」


 俺は十束の好意に応えられない


 未来永劫、どうやってもだ


「君は、どうするんだ?」


 俺のことを諦めるという賢明な選択も、このまま俺を好きでい続けるという愚かな選択も、どちらを選ぶも十束の自由だ


 口出しはしない


 さて、どう答える?



「、、、フフッ。」


「何が可笑しい?」


 台詞に笑う要素なんかあったか⁇


「先輩、忘れちゃったんですか?」


「何をだ?」


「私ってば、なんですよ?」


 、、、ククク


「フッ、、、アハハ‼︎ そうだったな!」


「笑うなんて酷いです!」


「アッハハ、、、スマンすまん。」


「もう、む〜〜。」


 膨らんだフグかっての!


「なら、これからもよろしくな?」


「はい、末永くお願いしますね。」


「それは分からん。」


 というか、ここでふざけられたら、真面目に答えた俺が馬鹿みたいなんだが


「そう思えていられるのも今のうちです。 嘘の告白をした人たちのことなんか忘れさせて、必ず先輩を私の虜にしてやりますから!」













 陰キャで根暗でボッチな俺の人生


 幾度も嘘告され、他人の好意を信じられなくなった俺の人生


 拗らせた結果として、嘘告で奉仕できると考えた挙げ句、それはチョロすぎると後輩に指摘される始末


 、、、だが明日からはほんの少し、騒がしくなりそうだ













<GameManより>


 『「〇〇しないと出られない部屋」で学園の黒聖女と七日間暮らすことになった』という作品も書かせていただいています


 もし良ければですが、是非そちらにも足を運んでいただけると幸いです



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