第11話


「だって百瀬先輩と私って、話したことありますよ? 覚えてないんですか?」


「、、、は? 君と話したことがあるって? いつ、どこで?」


「先輩って、中学3年の時に図書委員でしたよね。」


「そうだが、、、何故知っている?」


「少し待っててください、、、あった、コレだ。 こちらの写真を見てください。 昔の私の写真です。」


 ストーカー女子はスマホで1枚の写真を見せる


 そこに写っていたのは、、、


「これ、本当に君か?」


「はい。 正真正銘、私本人です。」


「、、、見るからにに陰キャだな。」


 写真に写っていたのは、根暗で見るからに陰キャな女子だった


 着ている制服は俺が通っていた中学の制服の物で、眼鏡をかけ、前髪は目が隠れるまで伸ばしている


 、、、この姿、何処か見覚えが、、、あっ‼


「十束さくら! お前、十束だったのか⁉」


「やっと名前で呼んでくれましたね。 はい、私です。 十束さくらです。」




 昔のことを少し話そう


 興味がないだろうが、我慢して聞いてほしい



 俺は中学の頃、3年間ずっと図書委員だった


 人気が無い委員会で、半ば押し付けられるような形だったが、中学の間はずっと務めていた


 昼に友達と遊ぶ予定なんか入っているはずもなく、なんとなく仕事をこなしてはつまらない学校生活を送っていた


 だが2年の時、一人の女子生徒が図書委員に入った


 それが『十束さくら』だ


 初めはなんとも思わなかったが、いつからか良く懐かれるようになって、あいつとのやり取りをそれなりに楽しみながら昼を過ごすようになった


 それが、十束との出会いだったのだろう、が、、、



「いや、これ気づかんだろ。」


 ストーカー女子、もとい十束さくらは、現在において完全なる陽キャの風貌をしている


 眼鏡はコンタクトにし、長かった前髪はオシャレに短くし、陰キャの俺とは対極の存在となっていた


「気づいてくれるかな〜と私は思ってたんですけど、残念気づいてくれませんでしたね。 男子力が低いですよ、百瀬先輩?」


「、、、すまない。」


「謝罪をするより私を信用してくださいよ。」


「断る。」


「と言いつつも、少しは信じる気になったんじゃないですか?」


「グッ、、、」


「図星ですね。 本当にチョロいです。」


 え〜い、やかましい!




「というか、どんな経緯で陽キャになったんだ?」


 まずそれを知りたい


「、、、高校も、初めは中学時代と変わらなかったんです。 でも、雪先輩と再会して、雪先輩が知らないうちに明るい人になってて。 先輩と遊んでたらいつの間にかこうなってました。」


 陽キャって、いつの間にかでなれるものじゃないと思うんだが


 全国の陰の者陰キャが聞いたら卒倒しそうな言葉だな、、、かく言う俺も衝撃を受けたが


「いつも通りグループに混ざって遊んでたら、好きな人を聞かれて、、、という感じですね!」


「大体の事情は分かった。 それで1番知りたいことを聞きたいんだが。」


「スリーサイズですか? まずバストは8jy「ちょっと待て‼」


「君は羞恥心というものが無いのか⁉」


「ヘタレな先輩が! 私を信用してくれるまで! からかうのを! 止めない!」


「謝るまで殴り続けられそうな言葉だな。」

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