第7話
「その、先程は取り乱してすみませんでした。」
悪いと思ってるなら渡したハンカチを洗濯してくれ
あと遅刻した問題をなんとかしてくれ
、、、って口に出せないからモテないんだよなぁ
「じゃ俺は行くから。」
これ以上関わったら碌なことにならない
ただでさえ嘘告してきた女子なのに、出会って泣かれるとか波乱の予感しかしませんなぁ
「話を聞いてくれるんじゃ、なかったんですか?」
まだ半泣きじゃねぇか、、、
ここでカッコよく去る様な真似が出来たらモテてたんだろうなぁ
ま、ボッチでモテない陰キャの俺には無理難題の六波羅探題だが
「分かった分かった! 話くらいは聞いてやる。」
「ホントですか⁉︎」
あっ、嫌な予☆感
「先輩は、何で告白の途中で帰っちゃったんですか?」
「は?」
お前がしてきたのは嘘告だろうが
「変に誤解されてると思うんですけど、私は先輩を好きになったんです。 それで勇気を出して告白しました。」
「で?」
「私はフラれました。 でも、変に誤解されたままでこの恋が終わるのは嫌でした。」
「それであの奇行に移ったと。」
「そういうことです。 勝手な行動で迷惑をかけたことを謝罪します。」
ふむ、きちんと謝罪はするのな
ぶっちゃけ頭がこんがらがってた
だってそうだろ?
いつも通り嘘告だと思ってたコクハクが、当人から本物だと言われたんだ
『冴えない』『モテない』『ボッチ』の陰キャ三要素全て兼ね備えた俺が好きだと?
おまけに相手からストーキングされていただと?
状況がわけわかめ
ラブコメの主人公じゃあるまいし、ここで華麗に対応するスキルなんて持ち合わせておりませぬ
、、、いや、そもそもこの状況が演技なのでは?
どちらにしろ、あの九重雪にコクハクしろって言われたんだろ?
ならこのコクハクは信用に値しないな
おそらく九重に伝える時に怪しまれて、もう一度行ってこいと命令されたんだ
だってそうじゃないと可怪しい
この俺が好意を持たれることなんて、ありえないのだから
、、、それに、『好き』って言った四ノ宮は、最悪の形で去りやがったしな
そうと決まれば、早速フォローと謝罪を入れよう
「OK。 なんとなく分かった。」
「本当ですか⁉」
「あぁ、今度は俺が泣いている写真を撮って、それを九重に見せればいいから。」
「全然分かってないです‼」
「ちょっと待ってて。 今から泣くから。」
小さい頃見た悲しい映画のワンシーンを思い出せ、、、うわぁぁん!
パト◯ッシューー!
「OK。 涙が出てきた。」
「えっ凄い、、、じゃなくて!」
何だというのだ、せっかく泣けたというのに、、、
「ホラさっさと写真を撮れ。 バレないように、自然に撮ったと思われるように撮るんだ。 そして早く高校に行かせろ。」
「、、、もう良いです。 今日の放課後、第3多目的室に来てください。 そこで話の続きをしましょう。 では!」
そう言って走り去っていった
残されたのは泣いている男子、、、通りすがりのママさん達がヒソヒソ話しながら通り過ぎて行った
ま、傍から見れば学校サボっている男女が破局したシーンだしな
、、、いやちょっと待て、風評被害が酷い
高校に遅刻するわ、ご近所さんに誤解されるわで、もう災難だわ
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