第5話 お薬と医療用麻薬

 ところで、痛み止めには大きく分けて三段階あるって知ってますか?

 まぁ、私もこんな病気にならなかったら全然関係なくて、知るはずもなかったんですが。


 一段階目は、薬局で手に入るような痛み止め。あと、病院で普通に出してくれる、カロナールとかロキソニンとかボルタレンなんかも、そう。


 二段階目は、非麻薬系ではあるけれども、ある程度の依存性をもつ、より強い薬。

 トラマドールなどがそれに当たります。

 これは、モルヒネ1回分の15分の1くらいの痛み止めだそうです。

(モルヒネって聞いたら、「うわぁ」って感じですよね~)

 このレベルのお薬は、癌の痛みの初期などによく使われるようです。


 三段階目は、医療用麻薬。

 先ほど出てきたモルヒネもそうですね。あと、咳止めに微量に入っているコデインなんかも麻薬なんですよ。びっくり。

 あと、アヘンとかもあったりして、捕まりそうな物ばかり。(麻薬ですもんね)

 これらは、手術用の麻酔として使われたり、癌患者の痛みの後期の痛み止めとして使われたりするそうです。


 私は、この二段階目。それとプレガバリンという神経障害性疼痛の薬を飲んでいます。

「が、もう効かなくて、どうする? ヤバいぞ、この上、医療用麻薬しかないぞ?」

 という状態。

 今の主治医(若い女の先生。可愛くて癒やされる)が、

「麻薬は使いたくないもんねぇ?」

 って言う。


 勿論、使いたいわけないじゃないですか。

 あと何年生きるかわかんないのに、ずーっと麻薬漬け?

 人生も身体もボロボロにしかならないイメージ。


 それでも、その時期が来ちゃったら、使わざるを得ないんでしょうね。

 なかなか厳しい選択です。


 失礼極まりない言い方だけど、

 癌の痛みの後期、最期の手段で使われるようなお薬を飲んだあと、患者さんは命を引き取る。

 けれど、私達は、それを飲みながらも生きていくしかできないんですよ。

 何故なら、「痛いだけ」だから。


 まあ、余りの痛みに、治らないことの虚しさに、自分で命を終わらせてしまう人も少なくないんですけどね。


 私?


 私は生きていきますよ。

 まだまだやりたいこともいっぱいあるし。

「生」を諦めるには早すぎる。

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