深海ってどんな感じの光景なのか見てみたくない?
権能の範囲を極端に広げ過ぎて情報量に殺されそうになった日から3日後。私はここ数日続けている
実は内心ではもう一度だけ
だってそれって、私が負けたってことじゃない?
あぁいや、この話は今は良いか。今すべきなのは、目の前のコレの対処だ。
『情報検索:無し。危険度:不明。排除行動を開始します』
私の目の前に立っているのは、1人………人?まぁ人か。うん、人が立っている。目の前の彼………彼女?まぁどちらでもいいが、そんな目の前の人の姿は、もう皆んなお察しだろう。キノコの先端のような形の頭から、数百本の触手がうねうねと蠢いている、有体に言えば普通にキモい姿。
こいつはこのホ型世界のこの惑星を裏から牛耳り、戦闘遊戯なる娯楽を行っているやべー種族。私が"異星人共"と呼んでいた奴らのうちの1人であり、今こうして姿を現した私の目の前で何やら物騒な装置を手にしている奴でもある。強力な放射線を照射して細胞を丸ごと破壊する銃みたいなのを使おうとしているらしいが、普通に危ないし汚染される可能性もあるので使用する前に内部機構を破壊しておく。
まぁ別に肉体攻撃だから防ぐ必要も無いが、万が一を考えて回避というか破壊したのだ。即座に放射線属性の魔法で保護もしたから環境は大丈夫だろうし。検知範囲が広過ぎて放射線銃の側に居るだけで第三アップデートに搭載したガイガーカウンターがめっちゃガリガリ(分かりやすくする為に最近取り付けた音声識別機能による放射線検知音)してるが、まぁこれは仕方ない。
「拘束。んー、しかし何故バレたのでしょう………?」
ぶっちゃけ、異星人共に見つかって襲い掛かられても問題は皆無だ。異星人共は非常に強力な装置を保有しているが、保有しているだけで使いこなせてすらいない。何せこいつらはこれまで生きてきて、"戦闘"という行為をした事がないからな。戦闘の化身みたいなこの私に勝てる訳もない。
こいつらが今までした事があるのは、一方的な蹂躙のみ。母なる惑星から飛び出すまで他種族と出会った事が無かった異星人共は、そもそも争うという事を知らなかった。しかし、異星人共の技術は別惑星の生命体を蹂躙する程のモノだった。文明のレベルが根本から違い過ぎたのである。
故に異星人共は、"戦闘"を知らない。種族的に争った事がなく、惑星を飛び出した後も一方的に殲滅していっただけ。ただ資源採集の邪魔になるからという理由で、障害物を退けるように殲滅したのだ。
だからこそ、異星人共は"戦闘"を知らないのだ。
『対象生命体による拘束。対象生命体の危険度を危険度:中へ変更。対象生命体の解析を開始します』
「あら」
よく分からんが防がせてもらおう。深淵属性の魔法を使えば解析対策も取れるし、一応解析とかの概念やらに対して作用する魔法だからな。相手が科学技術で解析して来ても対策は出来るんだわ。
『エラー。解析ホログラムが機能停止。対象生命体を解析出来ません。エラー』
にしても………いやまぁ、権能で分かってはいたのだが、異星人共がこんな場所に居るなんてなぁ。普通なら宇宙に居そうなもんなのだが………まぁ、科学文明だと空って割と見られるからなぁ。確かにこの場所は理に適ってはいる。資源採集も同時に行なってるみたいだしな。
「まぁ………誰もこんな
この惑星における異星人共の本拠地があるのは、
まぁ私の場合、第六アップデートで普通に暗視出来るし、自分の周囲に存在する海水を全自動で常に回収し続ければ水圧とか濡れる事とか気にする必要ないし、周辺把握なら権能を使えばそれで良いし、なんかもう普通に生活出来そうなレベルではある。まぁわざわざ深海の海底に住み着くような馬鹿ではないので住まないが、出来る出来ないの話なら普通に出来る。
『エラー。対象生命体による拘束を解除出来ません。エラー。対象生命体の危険度を危険度:高へ変更。排除行動を開始します。エラー。拘束が原因による機能不全が発生しています。対処されなければ排除行動を行う事が出来ません』
「んー………」
勢いで異星人を捕まえたのは良いものの………必要か?こいつ。技術だけで言えばもう既に全て抜き取ってるから要らないし、翻訳だってこの世界に来る前に終わらせてある。うーん………もしかしてこいつ………何の利用価値も無い………?
一応、異星人共がナチュラルに使用している情報共有のネットワークは遭遇した瞬間にうちの子がダミーの情報を流してあるので、私が見つかった事はバレていないだろう。うちの子に監視させてるけどそんな兆候が無いし………どうしようかなぁ。
………まぁ、脳内にうちの子を寄生させて帰すか。思考回路の途中全てにうちの子を寄生させれば私の好きなように思考を誘導出来るし、思考の盗聴も出来るし………やってる事が悪魔みたいな所業なのは目を瞑って頂きたい。というか私悪魔だし、そうなると私のやる事は全部悪魔の所業になるし………まぁやるだけやるか。解放するのは一瞬だし。
「えいやっと」
『エラー。エラー。エ、ラー………システム再起動。思考の誘導、認知の改竄、精神の物理的支配の準備が完了済みです』
はーい支配完了っと。ふふふ、手をかざして数秒で生命体の思考回路を奪えるんだぜ?私。催眠術かな?いややってる事は催眠よりも数十倍くらいエグいけどね?だってこれ、脳みその思考回路にうちの子を寄生させて、思考の元である脳内の電気信号を操作しよう!って奴だからさ。
催眠術は受け手側に向き不向きがあるらしいけれど、これにはそんなの無いんだよ。相手に脳みそがあれば問答無用で出来るんだよこれ。あ、勿論思考を電気信号以外でしてても平気だから。ナノマシン技術を応用すればちょちょいのちょいなんで。ふふふ、これは紛れもなく悪魔の所業でしょう?悪魔だから分かります。だって自分のやってる事だしなこれ。
ふー………じゃあ私は深海探索に戻るから………え?何で深海の探索なんてしてるのか、だって?それはね………何処ぞのアリスさんが『深海ってどうなってるのか気になります!行ってみたいです!』とか何とか言っててね………あの人マジで深海行くつもりだったらしくてね………流石に危険だからという事で、私が写真とか動画とか撮ってくるからって言ったら仕方ないですね………って渋々止まってくれたからだよ。
あれだよね………こうして勢いで深海に来てから気が付いたけれど、ぶっちゃけうちの子を遠隔で操作してもらう感じの方がアリスさんの好奇心をより満たせたよね………深海探索するゲームみたいな感じでさ………まぁ、今回ので満足されなかったらそっちのプランで行こう。ついでに深海探索する世界もイ型世界の方が良いかな………ふふ、幾ら自分の性質の内じゃ全能だからってね、思い付かなきゃ出来ないんだよね………もっと思考を柔軟にしないとダメだわ。
まぁ、割と深海の探索は楽しいから、別に良いんだけど。ほら、アニメとか物語の中でもあるじゃん?海底を歩くってやつ。私は今、それをしてる訳なんだわ。まぁ普通に心が踊るよね。これまでファンタジーの妄想だった事を自分で出来てるんだから。後普通にこれまで深海とかこんなハッキリと見たことない(暗闇なのでハッキリ見れるわけがない)から、純粋に未知の世界で楽しいよね。
「まぁ………この程度で良いでしょう」
まぁ、20分程度の動画と深海の様子が分かる程度の写真は数十枚撮ったし、これで満足して貰おうかな………
深海を探索していた日から3日後。私は今日も今日とてホ型世界へやって来ていた。ちなみに言っておくが、アリスさんは20分の動画と数十枚の写真では全く満足されなかったので、うちの子を手元のコントローラーで操作してもらって自由に深海を探索して貰う事になった。まぁ予想してた通りだったな………!
それはそうと、今日の私はとあるイベントを堪能するつもりでこの世界にやって来ているのである。決して
でもなぁ………最終的に
話を戻すが、私は今日、このホ型世界で行われるイベントを堪能する為に来ているのである。そのイベントの名は………大規模生存戦闘。またの名を、バトルロワイヤル。そう。今回私が観戦するのは、異星人共の行っている戦闘遊戯、その延長線なのである。
そう!
「ふふふ………応援準備は万端ですわ!」
見ると良い。これらは全て私が自作(うちの子が材料のいつものやつ)した、
まずは応援団扇。
次にボディシール。
更にはハンドタオルもある。
そして目玉は今来ているシャツだ。所謂絵柄や文字がプリントされているタイプのシャツで、普段来ているゴスロリドレスの上から羽織れるタイプにしてある。絵柄としてはシンプルに、
最後のグッズは抱き枕である。当然ながら
「あっ!
「おぉ!あの方がお母様御執心の方ですか!んー………私はそこまで好みじゃありませんね!」
「リリスちゃんは確か………ショタコンだったわね。それなら………あの子とかの方が………良いのかしら?」
「おぉ!そうですね、私はあんな感じの幼い男の子が1番好みです!」
「キャー!
「テアは………随分と、惚れ込んでるのね。そんなに彼の事が………好き?」
「当然ですわね!
「ふふ………テアが楽しそうで良かったわ」
「そうですね!お母様が楽しそうで嬉しいです!」
私は今回、邪樹の悪魔の1人たるリリスと、冥府神の悪魔たるヘカテーと共に、
流石の私もバトルロワイヤルの開催日を変更する事は出来ないし、こればかりはどうしようもない。だってこのイベント、かなり随分と前から予定されてたらしいからさ。具体的には私がこの世界に来る前から予定されてたっぽいんだわ。それを変えようとするとなると過去改変の必要があるんだけど………過去改変は、ちょっと。
いやさ、過去改変はマジで管理が面倒なのよ。ほんのちょっとの些細な行動で現在の状況が馬鹿みたいに変わるのよ。分かる?時間系の干渉に耐性の無い存在の記憶は当然のように変わるし、干渉された物質の位置やら何やらもぜーんぶ変わるの。空気の流れが違うだけで今が変わる可能性もあるんだよ?誰がそんな究極に面倒な事するかってんだ。
ちなみにだが、私は時間系の干渉に対する耐性や防御は完璧だ。完璧というか、兎に角大丈夫だ。例え過去改変の手段として私が産まれたその瞬間を狙われたとしても、マジで全く問題は無い。何せ自分の過去とは、私は権能の使い手にとっては己の逸話そのものだ。故に、今の自分が己を強固に保っていれば、過去は決して変わらない。ちなみに同じ理屈でイロ型世界の神にも過去改変は通用しない。やってる事は割と凄いので褒めて欲しい。
いや今はそれはいいんだよ。そんな事より今の私にはやるべき事があるんだ。
「
「ふふ。良いわね………こういうテアも。子供みたいで可愛らしいわ。………あぁ、リリスちゃん。紅茶を注ぎ出してくれる?」
「お任せください!」
今回行われる大規模生存戦闘………バトルロワイヤルの概要としては。
・ランダムな100箇所を繋げた専用大規模マップで開催。
・このイベントで死亡してもイベントマップ外で完全蘇生。
・上位10人に入れば特殊なアイテムを貰える。
まぁ、元の文章を大雑把に要約するとこんな感じだ。これ以外のルールとかは特に存在していない。何なら、最近良く見かけるバトロワゲームみたいな範囲が狭まっていく仕組みなども無い。強いて言うなら、イベントが開催されると生存者は死ぬか勝ち残るかしないと外に出られない事くらいだろうか。
一応脱落者は蘇生されてイベントマップから即座に出られるらしいが、意図的な自殺は出来ない仕組みになっているらしいので、まぁ外に出たいならどちらにしても戦闘は必須となる訳だ。ついでに言うと、時間経過は普通にリアルと何ら変わらないので、何ヶ月もこのイベントをしていると、普通に普段の生活が出来なくなってしまうという弊害がある。異星人共はそういう所に気が効かないんだよなぁ。
まぁちょっと可哀想なので、イベント空間の1時間が外では10分くらいになるよう細工しといた。これ以上早くすると異星人共に細工された事を気が付かれるのである。いや、実は異星人共の使ってる時空間生成の装置って、異星人共に寿命が無いからなのかは知らないけど時間設定が割と雑でね………この程度の時差じゃ違和感も覚えないんだよ。
まぁぶっちゃけ私も時間に関するイメージは付いてないというか、時計を見ないと時間感覚が雑魚なので、あんまり異星人共の事は言えないんだが。そもそも今回してるような時空間毎の時間経過をズラしてるのも、どっちかと言えば空間系の技術から引っ張って来てるものなんすよねぇ。時間と空間って同じモノらしいけれど、概念的には別物だからさ。その応用って感じ。
「あっ始まりましたわ!良いですわね良いですわ!
「あら………あの黒髪の女の子、とても強そう………」
「おぉ!あっちの銀髪の男の子凄いですよ!このイベント最初のキルを達成してます!良いですね!頑張ってください!」
「リリス!クッキー取ってきてくださいまし!」
「はーい!しっとりで良いですね?」
「お願いしますわ!」
「はいどうぞ!」
「むぐ、むぐ………!」
あっこのクッキー美味い!流石はうちの子達だな!これドンドン持って来といて!
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