数少ない情報から考察出来る人って凄いですよね。私は情報全部知らないと考察出来ないから尊敬しちゃう


地獄に人間が居たという情報の調査を開始してから2日後。私は自身の権能を駆使し、特にこれと言って苦戦することも無く情報を手に入れていた。まぁ、うちの子達がマジで優秀だからね!優秀にしたのは私なんですけど!けど!


そうして私が手に入れたのは、あの人間が地獄に居た理由が事前の推測通り、悪の秘密結社が研究している魔人を作成する為に魔物を確保しているという情報である。


「次は………あっちですわね」


今日の私は久しぶりに、ハ型世界のダンジョンで戦闘を繰り返している。ただし、今日は一つの制約として、攻撃も回避も移動も、私が行うあらゆる戦闘行動の過程を全てスキップして行っている。


これは、過程のスキップの調整が本当に可能であるのかを確認するのと、なんか動きの速いゲームキャラみたいな事が若干楽しいからやっている事である。特に気に入っているのは、刀を振り下ろす動作のスキップだ。上段に掲げていた刀身が、いつの間にか下段へと振り下ろされ切った状態へと変化しているのだ。写真に撮っていても、上段の始まりと下段の終わりしか撮られていないだろう。過程のスキップとはそういうモノだ。


「絶命刃」


話を戻そう。そうそう、魔人の話だった。一体どうやって悪の秘密結社が魔人用の魔物を確保しているのかを調べた結果、方法としては妖精達が魔法少女達にやっているような事を反転させてしているだけだったらしい。


具体的には、魔人に成りたい人物が、魔物に直接こう語りかけるのだ。"自分の身体を使いたくはないか?"と。契約によって魔法を扱える魔法少女と同じように、しかし状況は反転させて、力を持たない存在が力を持つ存在へ交渉を行うのである。


本来ならそんな契約など通用しないだろうが………最近の地獄は、あまりにも魔物の数が多過ぎるのだ。この惑星で人間が、感情エネルギーを発生させる種族が爆発的に増えた事により、現れる魔物の量が増加し、限られた範囲しかない地獄を徐々に埋め尽くしていっているのである。それが溢れ出したのが現在発生している魔物被害の元凶であり、元に戻しようがない原因である。


そんな空前絶後の土地が足りない問題を抱える魔物達に、地獄よりも圧倒的な広さを持つ世界の存在が、語りかけてくるのだ。自力で魔力の元となる感情エネルギーを発生させるだけして使わない種族を依代に、広い世界へ向かう為の切符を買いませんか?と。そりゃあこんな提案をすれば、魔物側だって簡単に契約するだろう。


「次は………あの群れにでも」


まず、地獄ではない現実世界には負の感情エネルギーが充満していない。魔物はその成り立ちから莫大な負の感情エネルギーを消費して生まれる存在だが、逆に言えば肉体の大半が負の感情エネルギーによって構成されている訳である。人間で言うところの水分みたいなもんだろうか。


そんな魔物が現実世界へと向かう際に必須となるのは、転移先をある程度の魔力で覆う事だ。こうでもしないと魔物は肉体を維持出来ずに消滅してしまう。仮に魔力で覆っても、現実世界に溜まっている感情エネルギーは地獄や天国へと流れていく為、元から非常に少ない。そうなると魔物は瞬時に弱体化し、本来の性能の10分の1以下になってしまう。この弱体化現象は転移する魔物が巨大であればある程その傾向が強く、そして魔物は強さに応じて巨大化していく為、強い魔物であればある程に弱体化されやすいのである。


その弱体化も、人間を依代として融合するようになれば万事解決する。何せ人間とは、感情エネルギーを発生させ続けるだけで使おうともしない生き物だ。その無駄を有効活用するだけで、大半の魔物を本来の性能のままに出来るのだ。まぁ、融合率は技術的な不足且つ人間という種族の脆弱さから非常に低く、融合に失敗すると魔物も人間もタダでは済まないが。


「あら危ない」


しかし、ここまで話を聞いて疑問に思ったかもしれない。地獄に居た人間と何処に関係があるのか?と。いやまぁ、ちゃんとした関係はあるのだ。


まず前提として、あの地獄に居た人間は何だったのか。あれは、魔物と融合した人間の成れの果て、魔人であったらしい。まぁそうでなければ人間が地獄に居られる訳が無いので、ここまでは事前の推測通りだ。んで、その魔人が何故地獄に居たのかは、これも事前の推測通り、魔人を生み出す為の材料となる魔物を掻き集める為であった。


魔物はその種族特性上、より強い負の感情エネルギーに惹かれる習性がある。秘密結社はその習性を利用し、彼らが自力で作成した地獄と繋がるゲート越しに特定の波長を持つ負の感情エネルギーを放出する事により、望む能力を持つ魔物を誘き寄せ、そしてのこのこと現世にやってきて大幅に弱体化している魔物へ特殊な魔力による拘束を行い、魔人作成のその時まで強制的に眠らせて保管しているようなのだ。


うちの子の報告を見て最初に思ったのが、こいつらマジで技術力高いな、という部分である。


まず初めに、存在しているのかも分からない異界との空間ゲートを繋げられてるの、凄くね?確かこの世界の常識として、魔物は地獄からやって来る………そう言われているが、実際、具体的には何処からやって来ているのか、と言うのは分かってないんだよな。それなのに地獄の位置を特定して接続してるんだぜ?これ凄いでしょ。


次に、魔人とかいう仕組み。魔物と融合するに至るまでにどんだけ人体実験を繰り返してるのかは知らないけれど、だとしても相当凄いだろ。魔物の生態を知り尽くしていないと、窮屈な地獄から出る為の手段とか言って魔物を魔人の材料にすることも出来ないしさぁ。


最後に、望みの能力を持つ魔物だけを誘引する負の感情エネルギーとか特定出来てるの凄いよね。いやまぁ確認する限り、攻撃特化とか防御特化とか、単純に特化している内容に合わせてしか誘引させられないみたいだけど………そうだとしても凄いよねぇ。しかもゲート越しに影響あるとか。


「絶命刃」


しっかし、色々と情報を精査していて思ったが………なんでこいつら、悪の秘密結社とかやってんだろうな。絶対こんな明らかに悪者みたいな集団に居たらいけない人材が沢山居るんですけど………過去を調べる限り、魔物出現当時には色々あったみたいね………当時の魔法少女達の扱いが滅茶苦茶悪かったのと同じ感じだろうなぁ。


だからって世界を混沌に陥れようとするのはどうかと思うけど、なんか設立当時はもっとマトモな組織だったぽいんだよね、悪の秘密結社君。けれど、設立から40年以上経って初期世代が一気に交代してからは、ただただ世界に混沌を齎すだけの組織に成り果てたみたいだ。よくある組織の腐敗具合でむしろ安心してしまったぜ。


「今度は………あちら」


しかし驚きなのは、これらの情報の大半が、このニ型世界に乗り込む前からデータとしては手元にあったという点だ。うちの子達があまりにも優秀過ぎて私のスペックが足りないんだよな………


私がその事実をどうして知らなかったのかと言えば、それは当然、世界全域の調査資料とか1人で読み込める訳が無いからである。速読とか完全記憶とかが出来たとしても、何千億年かかるのか分かったものではない。それと同時に行われる資源採集だって、基本的にはうちの子達に任せっきりの完全オートだ。世界全域を知覚出来るとはいえ、処理出来るかは別問題なので。


まぁそんなんだから、基本的に異世界の事前調査資料の確認は、主に異世界で活動しようと思っている惑星の、その中でも常識やら当たり前の知識のような部分だけである。惑星全ての情報すら、私1人で精査出来る訳が無いので。せめて最低限、1日で見終わる程度の資料くらいにしてくれないと、読み終わる事も出来ないからな………


「絶命刃」


話を戻すが、悪の秘密結社の情報は異世界突入前から普通にあったモノらしいので、何処で2日もの時間が掛かったのかと言えば………地獄にやってくる人間が本当にいるのか、それを直接確認する為だ。まぁ突入する日時はうちの子達の脳内思考スキャンとか資料の内容コピーとかで丸わかりだったんだけど、それはそれとして実際に確認したかったんだよな。


あわよくば"魔人"って仕組みが何かに使えないかな、と思って。個人的には特に何か応用出来るような技術じゃなさそうだけど、それはあくまでも私目線の話。もしかしたらうちの子達の中の誰かが利用出来るかもしれないし、何なら私の関係者以外に見せる情報としてあっても困るようなもんじゃない。そうする為にも、実物は見ておきたいなーって思ってさ。まぁ、以前の襲撃の時も会ったけど、あれはどっちかってーと敵として見てたし、普通に切り刻んじゃったから………


だから、今回は捕縛するぞと意気込んだ。そしてあっさり捕まえられた。その魔人の元となった男性はまぁ別に良いとして、重要なのはどのような魔物との融合体なのかだったのだが………なんと、ドラゴンだったんだよね。


魔力障壁による強靭な防御、大抵の金属を越える強度を持つ鱗、空を自在に飛ぶ強力な翼、強さの象徴のように額から伸びる1本の角………などと、外部に露出している特徴から見ても、十分にドラゴンだと分かる程度には分かりやすかった。捕縛後に体内の機能も調べたけれど、人間ではあり得ない異常な筋肉と骨とか、どんな物を食べても平気な内臓とか、常に魔力を生成し続ける私の悪魔炉心みたいなのとか、見てるだけでも色々と凄かった。


まぁ、どれだけ肉体の性能が高かろうが、うちの子達にかかれば対象の捕縛なんてお茶の子さいさいってもんよ。何なら今はもう、そいつが持ってる情報の全てを抜き出し終わったから、高耐久且つ再生能力の高い実験用のモルモットとしてうちの子達に預けたしね。ぶっちゃけこの肉体性能なら私も権能で無限に作れるけど………ふふ、悪魔以外の存在に色々試したかった事がいっぱいあったんだよねぇ。 


いやぁ。裏社会の人達ならうちの子がどんだけ拉致して来ても誰にも文句を言われないってのが素晴らしいよね。 警察に届け出も出せない訳だからさぁ………ふふ、裏社会の人間なんて、社会の癌だもの。ちょこっと削っても文句は言われないよね?本格的に邪魔なら全摘出すれば良いだけだし、人体実験が必要な時に簡単に集められるから便利だよねぇ。


「んー………あちらの方が楽しそうですわね?」


ちなみに、ドラゴンの魔人がわざわざ危険な地獄に居たのは、とある仕掛けを配置していたからだそうだ。地獄に居ても平気なのが強力な魔人であるドラゴンの魔人しか居なかったからこそ、地獄で1人だけだったらしい。まぁ1人だけだったから捕まえやすかったけど。


そのとある仕掛けというのは、なんと、魔物の魔力に反応して地獄と現実世界を繋ぐ転移ゲートを作成する装置だそう。地獄と現実世界は位置情報が一致している為、現実世界で魔物の襲撃を発生させたい地域にその仕掛けを取り付けると、魔物がそのゲートに接近した瞬間にゲートが開く事になる訳だ。


それだけでも厄介なのだが、なんとこの仕掛けによって魔物が現れた場合、魔物注意報が鳴るのが非常に遅くなる。具体的には、その地域一帯が破壊されてしまうこともあるくらい、対応が遅れてしまうらしい。


これだけ聞くと凄い仕掛けに見えるのだが、一度ゲートを繋いだ後は即座に壊れるし、魔物が近いた時にゲートが開かれるだけで魔物が現実世界へ向かうかは運任せだし、そもそもどんな魔物が現実世界へ向かうのかすら運任せだし、事前の魔力放出がほぼ皆無なので魔物が相当なレベルで弱体化してしまう………などなど、課題が非常に多い仕掛けのようだ。技術的には凄いんだが、目的を達成する可能性が低いんだよなぁ。


「絶命刃」


まぁ、魔人の話はここまでにしておこう。どうせドラゴンの魔人は私の手中だ。それだけではあるが、悪の秘密結社側としてはドラゴンの魔人は地獄の強力な魔物に殺されてしまったと判断していて、同じような性能を持つ魔人も居ないから、今までと同じように地獄での工作は出来ないからな。如何に自分達の活動のアドバンテージが地獄での活動が可能という部分に集約されていたのか、思い知るがいいわ。


ふふふ、この私に目を付けられたのが運の尽きだ。惑星一つ破壊するのに手間取っている小悪党如きが、世界一つを余裕で相手取れる悪魔に勝てる訳が無い。そうだな、正気を削る邪神が目の前を一瞬だけ通過したとでも思うと良い。何、完全に壊滅させる気は無いから安心してくれ。それをするのはこの世界の人々の役目だ。何せ、私は何処まで行っても別世界の住人で、何処まで行こうが傍観者の立場なのだから。


代わりに、というか当たり前だが、傍観者ではなく当事者であるイ型世界とロ型世界で見つけた悪辣な人間は、例え犯罪者で無くとも私が手当たり次第に捕縛して、人体実験用のモルモットにしている。


人体実験と言っても解体してバラバラにするとか………は、まぁほんの数十人と少しだけしたが、それ以外は基本的に人間に使用する薬の投薬実験用だったり、性技などの相手に人間を必須とする技術の修練用だったり、まぁ基本的にそんな感じの使用用途である。エロ、グロ、何でもござれ。それが技術なら全て身に付けると言わんばかりに片っ端からうちの子達にやらせてるからな。人間が作り上げた技術の大半に人間が必要になるので、人間は割と消耗品なのだ。


「次、絶命刃」


ちなみに、人間以外の知的生命体からも技術は蒐集しているが、人間文明であまり使う事は無い。これは、人間文明と比べてオーバーテクノロジーになってしまいがちなのもそうなのだが、そもそもの話、その技術が人間に合っていない技術ばかりなのだ。


分かりやすいのは椅子だろうか。四脚の足に背凭れ、と言うのが一般的な椅子のイメージだろう。しかし、これが異星技術産の椅子となると、これとは全く違った、恐らく構造的に足が数十ある事が前提のような椅子やら、人間が触れたら放射線で死ぬ事になる椅子やら、なんかもう使い勝手とかそういうのではない所で使い物にならないのである。


そもそも技術とは、その文明を作り上げた存在だけがより便利になるように作り上げたモノなので、初めから別文明の存在が使う事は想定に無いのだ。むしろあったら怖い。そうきう理由もあって、私はわざわざ別文明の技術は蒐集しているものの、使う事はほぼ無いのである。


何を隠そうこの私もこの惑星に住まう二腕二脚一頭の人間がベースとなった悪魔なので、別文明の技術があっても普通に使い辛いんだよな。何だよ経口接種したらレーザー砲みたいな一撃を吐き出せるようになる薬って。しかも1発で惑星一つくらいなら焼き切れそうな威力だしよぉ。その分というかなんというか、別に自爆用でも何でも無いのに内臓全部融解するんだから、もう別惑星の文明過ぎて………


ただ、別文明の技術をそのままではなく、その技術に使われている理論やら何やらを元に、人間達でも使えるように理論を構築し直したりは良くしている。稀に基礎から人間では扱えない技術もあるにはあるが、それはそれで利用方法を本来のモノから変更すれば使えたりもするのでそこまで困らない。まぁ本当に人間が扱えるようになったかを調べる為に人間が必要になるので、こういう部分でも人体実験が必要になるんだよな。


「次………っと、そろそろ時間ですのね………」


次の獲物を探そうとしていたら、事前に定めた制限時間が既に終了していたので、この辺で今日の戦闘はお終いにする。こうでもしないと無限にやり続けて日常生活に支障が出るからな………本音を言うなら、別にずーっとやり続けても文句は無いんだけど………ただそうなると、人間としての生活に支障がね………世界同士の時間の流れを上手い具合に調整出来ればもっと居られるんだけど………ちょっと、今の私じゃ無理そうなんだよねぇ。


何せ私は、元から時間属性に適性が無かったからな。未だに"時間"という概念を正確にイメージ出来てない。今こうして異世界同士の時間が同じなのは、擬似時間属性を使ってイ型世界の時間と同期させてるだけである。その同期を上手くズラせば良い感じにはなると思うけど………ちょっとでも失敗したら、異世界間で500万年分くらいの差が生まれたりとか普通に可能性あるんだよな。だから今は私が作り上げた異界で実験中だ。まぁあんまり上手く行って無いけども………


そもそも、今の私の"時間"のイメージは時計なんだよ。一眼見るだけで今の時間が分かるし、複数の時計があっても基準の時計を元に時計の針を調整すればいい、みたいな。個人的にはこれだけ出来るなら良いのだけれど、このイメージだと時間の停止とか遡行とかは無理だ。時計の針を止めたところで世界の時間は止まらないと思っているし、時計の針を戻したところで私が過去に行く訳じゃない。


しかし疑問に思った者も居るだろう。魔法の適性とは明確なイメージならば、"時計"というイメージを持っている私も時間属性に適性があるのではないか?と。だが、そうならないのがロ型世界の魔法の適性だ。そも、私が『擬似時間属性』と言っているモノは、私が明確なイメージを持っている契約属性を基盤として、原理的に理解可能な時計を作っているだけのモノに過ぎなく、これを明確なイメージというのは少し違うだろう。


例えるなら、小麦粉で作ったパンと米粉で作ったパン、という例えだろうか。本来作るべきなのは小麦粉で作ったパンなのだが、手元には米粉しかないので、米粉で小麦粉を代用してパンを作る………みたいな。擬似時間属性のイメージとしてはそんな感じで、だからこそ正規の時間属性はどうやっても得られないのである。そもそもの材料が根本から違うのだから当たり前だ。


「んーっ………ふー、久々に身体を動かしましたわー………ふーむ………もしかして、ジムでのトレーニングとはこういう感じなのでしょうか………?」


イメージ。そう、イメージだ。イロ型世界では、明確なイメージさえ出来れば、後はそれに必要なエネルギーを何処かから捻出するだけで、神様だろうが化け物だろうが、果ては人間だろうが生み出せる。やろうと思えば死者蘇生も可能ではあるだろう。


………ただし、生み出される存在はイメージした以上の機能を持たないので、内臓の位置や形、果ては細胞の並びまでイメージしなければならない。死者蘇生も似たようなもので、蘇生された死者の人格や性格は、蘇生を行なった人物の記憶やイメージ以上の性能や記憶を持たないモノになるだろう。だって死んでいるのだ。既に以前の人物ではなく、以前の人物を一から創造しているだけなのだから。


そして不老不死だが………これは、イメージだけでは難しい。不老は必要なエネルギーさえあるなら、人間でも再現可能だが………不死は、未だに私が再現出来ていない程度には、その構成に意味が分からない。いやまぁ、言っている事は分かるのだ。何なら身近に不死身の吸血鬼が居るし、ニ型世界にも不老不死の魔法少女が居る。………こう考えると私の知り合いに不老不死多いな………?


いやまぁそこはいい。問題なのは、不死の仕組みだ。私はそれが未だにイメージ出来ない。だって意味分かんないだろ。何でソフィアもイモータルも肉体の全てを消滅させられても蘇生出来るの?質量保存の法則とやらは何処行ったんだ。これって私が科学世界の住人だからこうなってるのか………?半端に知識があるから駄目なのか………?そうなると新機軸の不死を考えないといけないんだが………?


あぁ、もう不死について考えるのはやめよう。多分、きっと、いつか、良い感じのアイデアが浮かんでくる筈だからな。


「さて………この後は………」


確かこの後の予定は………普通に学校だったな。授業を受けるというか、誰かから学ぶのは別に嫌いじゃないから素直に学校には行くんですけど………なんか、ね。特に体育の授業がね………いやさ、悪魔の時の肉体と、人間の肉体で、性能に差異があり過ぎてね………ここ最近はずーっと、暇な時さえあったらずっと悪魔の身体だったから、割と違和感が………


一応、器用さだけは悪魔の時と変わらないから、最近はずっと器用さ頼りだけども。………というか、改めて考えるまでもなく、割と前から自分の器用さでゴリ押ししてる時あったよなぁ。やっぱり、自分の魂に刻まれた性質からは逃れられないのだろうか。最近もガチャで悪魔系のキャラクターしか出てこないし………私が欲しいのは別のキャラなのに。


そう考えると正直、権能があった時と無かった時でそこまで生活の差が無いんだよな………いやまぁ、自分の魂に刻まれた性質なんだからそりゃそうなんだけど。そうでなければ権能の由来となった性質の事を"魂に刻まれた性質"と呼ぶものかよ。私は行き当たりばったりだが、こういう物事の命名は割と考えてしているぞ。オリジナル魔法の〇〇アップデートとか分かりやすいでしょ?分かりやすいと言え。


「あ、やべ」


そういや戦闘が終わってからもゆったりと思考の海に身を任せていたが今何時なんだろうと時計を確認すると、そこにあったのは授業開始前20分前の時刻。私は最低でも10分前には教室に居て安心したいタイプの人間なので、これは不味いと急いで準備をするのであった。


………追記としては、まぁ遅刻だけはしなかったとだけ。

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