魔法宿リシ少女達

魔法少女ってなんか良く争い合ってるよね。魔法が法律で縛れないからかな?


ハ型世界を堪能し終えた日から4ヶ月後。第13回目のウロボロスメタル精製が終了し、第14回目の精製が開始している程に時が経ち、最近の学校は冬休み直前みたいな感じで授業がすぐ終わるようになった。しかし、私は来年から高校3年生。進学か就職かを選ばねばならぬ時期がやってきてしまった。個人的にはもうゲーム売ってお金稼いでるしこれで良くね?とは思っているが、家族に何の説明も出来ないので、どうせなら大学とか専門学校とかに行こうかなぁと思ったりしている。


ほら、キャンパスライフ的なのをやってみたいじゃん?別にやらなくても良いけど、折角ならね。大学生活なんて一生に一度………って訳でもないけど、18歳のキャンパスライフは一度だけだし。んー、ミナには数年待っててーって言ったけど、もう数年待ってもらう事も出来そうかな?どうだろ。放課後バイト的なノリなら行くんだけど。


いやまぁ、別に進学出来なくてもお金は稼げてるのでそこまで不安になる必要も無いんだよな。『SRO』は既に数千万台、最近1億台を越えたらしいので、私の手元には一兆円とかいう桁違いのお金が存在している事になっている。収納したものを"お金"という概念で収納し、現在時価に応じた現金にでも電子マネーにでも出来る機能付きのMICCミックを既に使用しているので、私は実質現金で1億円以上稼いでいる事になる。外国の通貨だろうが問答無用で日本円や日本基準の円に変えてるからマジでそんくらいだ。


「A型世界は人気ですわねぇ………」


ちなみに、A型世界とは『SRO』の世界、つまりゲーム世界の事を指している。型番号がアルファベットの世界は全て私が一から作り上げた世界に付けるようにしており、A型世界はその中でもイロ型世界の法則を元に作られている世界となっている。私が行ったことのある世界を真似たりして新しく世界を作っていくつもりだ。例を挙げるなら、ハ型世界を参考にして世界を作る場合、多分名前はB型世界とかになると思う。まぁまだ手とか全く付けてないけど。


「人気なのは良いが、肝心の権能保有者は現れたのかの?」


「いえ、それが全く………」


いや、権能関連の話をふわっとしてる書籍や遺跡に手を付けられていないのかと言われたら、別にそんな事は無いんだよ。てっきり皆無だからゼロなのかと思ってたんだけどね。


例えば、図書館に仕込んであった神の力を仄めかしていた書籍は、所謂考察班と呼ばれる者達が隅から隅まで読み込んで、これは一体何なのかを真剣に調べられたりしている。が、それは世界観に対する調査であり、権能へ繋がりそうな調査ではないようだった。これまた神の力に関する情報が削られたりしてるタイプの遺跡の石板みたいなものも、歴史方向からの切り口では見られているものの、神の力そのものにフォーカスは向いていないようだった。


総称。権能へ至る者は今のところ居ない。


「んー………神関連の書籍類の断片を繋ぎ合わせれば、神の扱う力が技術である、くらいは出てくると思ったんですけれど………」


「それは無理ではないかの?妾達は答えを知っておるから色々と言えるが、知らぬ者にしてみれば所詮は断片的な情報に過ぎんよ」


「はぁ、やっぱりそうですわよね………ですけれど………うーん、直接教えるというのも………」


私が権能というのがどんなものか教えても良いのだが………権能の使い方、自分で見付けないと効果が下がりそうなんだよなぁ。自己の認識、世界の把握、自己の展開、世界の掌握。どれもこれも他人に教えてもらっちゃ不味いだろう。


例えば、私にとっての自己とは"私"に他ならない。故に、権能の起点は何であろうと"私"からだ。


例えば、私にとっての世界とは無限に続く宇宙の端から端、果ては外宇宙も含めた同じ法則で動く一つの箱の中である。故に、私の権能の射程は最低でも"世界"全体だ。


例えば、私にとっての自己の広がりのイメージとは、自分を中心に球体上に広がっていくものだ。故に、私の権能は自分を中心にして球体上に広がっていく。


例えば、私にとっての世界の掌握とは、そんなもの当然の摂理に他ならない。誰のものだろうと関係なく、私の居る場所こそが私の世界だ。故に、私の権能は他者の支配する時空内部でも容易く使用出来る。


「まぁ、あれは自分で気が付かんとダメじゃろうなぁ」


しかし、最近までずーっと『SRO』の無限ダンジョンに篭りきり、私が渡した神様の権能関連の書籍とか情報とかを読み込み、やっっっと四工程全てを理解し、熟達して使えるようになったらしいソフィアは、私とは全く違う認識を持っている。


ソフィアの自己とは血液。ソフィアの世界とは人類の暮らす惑星そのもの。ソフィアの自分の広げ方とは自分自身でもある血液の拡散。ソフィアにとって世界の掌握方法は血液で満たすこと。つまり、ソフィアの権能の起点は血液。最低射程は惑星一つ。血液という媒介を用いて権能領域を広げていき、血の匂いで満たされた場所こそ権能の司る空間そのもの。私とは全く違うが、それでいいのだ。


私には私の権能が、ソフィアにはソフィアの権能がある。それは個々が持つ権能の性質と同じように、個々人によって向き不向きがあるのである。だから私は四工程を自分で見つけるべきだと言うし、そう思っている。誰かに教えてもらった場合、教えてもらった人が四工程を話してしまうだろう?しかし四工程の単語だけ聞いても分からないから、実践しながら例えばって自分の使い方を言ったりするだろう?その場合、教えてもらう側は教える側と似たような使い方になってしまう。それではダメなのだ。ほんの少しでも他人のエッセンスが入るのはやめた方が良い。


私だって、元は自己の認識しかしていないソフィアには、自己の認識しか教えていなかった。出来ているものを教えるのはいいのだ。だってそれは、自分の中に確固たる認識がある証左なんだから。けれど、知らないのはダメだ。絶対何処かに教えた人の認識のエッセンスが混ざる。それは良くない。最初から最後まで、本当に1人で考えて実行するべきだ。


「そうなんですわよね………一応、権能に覚醒したプレイヤーには、理由も含めてちゃんと他言無用って言うつもりですし………」


何ならついでに軽い認識誘導くらいかけるつもりだ。


「お主の自己満足の為に作ったんじゃろ?必要経費ってやつじゃないかの?」


「まぁ、それはそうなんですけれど」


A型世界をゲームと称してイ型世界の人々に売りつけたのは、私が私以外の権能保有者を知りたかったからだ。私が出来たんだから他のやつもいけるじゃろガハハって気分で情報を散りばめて、私が求める結果へ辿り着く為の道筋を僅かに提示して、少しずつ少しずつ………その途中でゲームが売れ過ぎて私が引いてしまったり、プレイヤー達がそこまで私の思うように動いてくれなかったりもしているが………まぁ。ソフィアの言う通り、こんなもの必要経費に過ぎない。


「あぁ、そういえば。異世界の調査が完了したので明日にでも行けますけれど、ソフィアも行きます?」


「お、良いのか?妾が付いていく事で何かしらの不利益を被ったりせんじゃろうな?」


「大丈夫だとは思いますけれど………」


そうそう。新しい世界、見付けちゃいました。名前はいつも通りの連番、イロハまで来たからニ型世界となる世界である。世界の概要としては、今回も現代ファンタジー的な世界であるらしかった。


「確かー、魔法少女がガチで居る世界なんじゃろ?妾達が魔物として処理されたりせんか??大丈夫か??」


「うちの子達が転移しても気が付かれていませんでしたから、恐らく平気だとは思いますけれど………」


そう、次なる世界は『魔法少女』と呼ばれる存在が居る世界である。いやまぁ宇宙的に見ればそんなのが居るのは端っこも端っこの惑星なので魔法少女が居る世界とは言い難いのだが、流石の私も文明のない宇宙の端から端まで全部見るのはちょっとね………後はそうだな、ちゃんと社会に紛れる為にも、イ型世界の人間と同じ形の種族が居るところじゃないとね。流石の私もグレイタイプみたいな宇宙人の文明に侵入は出来ねぇ。


あいや、肉体を変化させりゃ良いんだけれど、流石の私もこの社会に紛れるのは無理だろって分かるからさ。そんなのがしたけりゃドッペルゲンガーでも連れてこいって話だ。いやまぁ、ロ型世界だとドッペルゲンガーって悪魔扱いだから幾らでも作れますけどね。でもぶっちゃけ、その文明に侵入して調べるだけならうちの偵察悪魔君たちの方が何十倍も優秀だから、そんなドッペルゲンガーで侵入!みたいな事はしませんけどね。ふっふっふ、どれだけの科学文明を持とうが権能からは逃れられぬぞ………!


いやまぁ、もしかしたら転移先で権能みたいな干渉されるかもしれないから、権能対策はしてきてるけどね?ただこれ、権能には対抗出来るけれど、権能ってイロ型世界の技術だからね………異世界の未知の技術に対して通用するかは流石に分からん。色んな状況でもどうにかなるように対策は練ってるけれど、ぶっちゃけあるだけだ。どうにもならなかったら奥の手でも何でも使うのに躊躇いはない。


「ソフィアも共に向かう、という事でよろしくて?」


「うむ、妾はそれで良いぞ。どうせ普段から残業せず帰っておるから時間はあるしの。あ、帰りは転移で頼むぞ?」


「はいはい。お仕事が終わったら連絡くださいまし」


別にうちの子に仕事が終わったどうかを監視させてもいいけれど、ソフィアは自分で出来るんだから別に要らないよね。こんだけ自分から異世界に行きたい!って言ってるんだったら忘れないっしょ。忘れたら?まぁそん時はそん時。普通に置いてくが??










次の日、2月21日。仕事終わりのソフィアから連絡を受けて転移で回収した後、私達は特にこれと言ったイベントも無くニ型世界へと転移した。転移先は人里から少し離れた山の中。離れたと言っても人間が歩いて30分くらいの距離なので、ぶっちゃけ私とソフィアの身体能力だとそんなに必要無い。


「おぉう、っと。………ふむ?普段の転移と感覚は変わらんの。ここが異世界………なんじゃよな?」


「えぇ、ここは異世界ですわ。翻訳用の悪魔は?」


「うむ、大丈夫そうじゃ。妾の中にちゃんと居るよ」


翻訳を行う悪魔はソフィアの体内にぶち込んである。そうでもしないとソフィアの単独行動が不可能になってしまうからだ。ぶっちゃけ自力で翻訳してほしいのだが、完全な権能を覚えたてのソフィアには権能の応用による万能性の獲得は少しばかり難しいだろう。そもそも『血液』の権能で翻訳出来るのか?私の権能じゃないから流石に分からん。


あぁでも、牛乳属性の魔法を考えると血液から乳とかくらいなら作り上げられそう。何なら私は出来るし。何なら私も牛乳搾りミルキングを使い続けてたら牛乳のみを精製する魔法から乳製品というか牛乳の入った食品なら精製出来る魔法に成長してたし、多分権能でも乳製品くらいなら作れるんじゃない?何なら肉とかも作れそう。まぁ血液の権能持ちじゃないのでよく知らんが。


「では………この世界の説明でもいたしましょうか?」


「む、そうじゃな、聞いておこう。何度も聞いて困るものではあるまいし」


という事なので、私が調べたこの世界の概要をお話ししようではないか。


「こほん。まず1番重要なのは、この世界における魔力というモノがどのようにして生まれるか、ですわね。この世界では、感情の揺れが激しければ激しい程に魔力を生み出すことができますの」


「ふむ、感情の揺れか。あれか、希望から絶望的なやつか?」


「えぇまぁ、そうですわね」


「孵化器いそうな世界じゃの………」


わたくしもそう思いましたから調べましたけれど、それっぽいのは居ませんでしたわよ」


このニ型世界における"魔力"とは、感情が揺れ動く際に発生する摩擦とも言うべき現象に伴って発生するモノである。つまりこの世界では、老齢で冷静沈着なお爺さんよりも、多感な時期の少女の方が魔力を沢山生み出せる訳だ。ただし、あくまでも魔力の生成量に感情の揺れが関係しているのであって、魔力の貯蓄量に関しては才能に左右されるモノだと思われる。


ちなみに、感情の方向がプラスだろうとマイナスだろうと、少し前の位置からどれだけ離れているかによって生成量が変化するので、幸福の絶頂から絶望の淵みたいな感じで一気に落ちたり、はたまた絶望のどん底から幸せの頂点みたいな感じで一気に登ったりすると莫大な魔力が精製されるっぽい。しかも、それだけの急激な感情の揺れ動きである場合、純粋な魔力量だけで権能の出力すら超える可能性がある事が末恐ろしい。


「次に重要なのは、この世界についてですかしら。なんとこの世界、というかこの惑星、二つの異界が重なってるんですのよ」


「なんと、異界が二つもあるのか」


「えぇ、びっくりでしょう?」


何故かは知らんがこの世界、現実空間とは別に二枚の異界のテクスチャが存在しているっぽくて、片方は正の感情エネルギーで溢れており、もう片方は負の感情エネルギーで溢れかえっているようだ。内部へ侵入して確認もしたけれど、正の感情が流れている異界は所謂天国と呼べるような場所であり、反対に負の感情が流れている異界は所謂地獄と呼べるような場所だった。ただ、どちらも規模は惑星一つ分くらいだったので、そこまで広い異界でもないみたいだ。


………あいや、異界がそこまで広いのも凄い事ではあるんだけどね?異界って基本的に、広さに比例して維持費みたいな魔力とかが必要になるからさ。惑星レベルの広さってなると、大体権能を全力使用し続けられる程度の魔力消費が常に必要になる訳だからね。多分私もそれくらいならいけるし、何なら魔力生成を行う第十アップデートによる永久機関の内部台数を増設すればそれくらい余裕だと思う。余剰魔力があったらどんどん増設してってるし、いずれ世界一つ丸ごと異界にしても問題ないくらいの魔力生成量になるよ。


ちなみに、イロ型世界で最大の異界は悪魔達が住う"魔界"って言って、ぶっちゃけ銀河一つ分くらい広い。そこを悪魔達が陣地取りゲームの舞台みたいにしてるらしくって、無数の派閥が魔界を統一しようと常日頃から争い合ってるらしいよ。ただし、悪魔全員のルールとして肉体の破壊は良いけれど精神への攻撃はダメ、としているらしい。これにより、魔界で悪魔は決して殺されないらしい。まぁ、精神生命体になっても欲望を叶え続けられるなら、だけど。


話を戻すが、私とソフィアがびっくりだと言っているのは、二つの異界が同じ場所に存在している、という所だ。通常の異界でそんな事は起こらない。例え起こるとしても、異界の中に更に小さな異界が存在している程度だ。しかしこの惑星では、二つの異界は重なるのではなく・・・・・・・・混じり合うのでもなく・・・・・・・・・・同じ場所にある・・・・・・・のだ。少なくとも、こんなものは起こり得ない。世界の法則だって重なって存在しているのに、ルールの違う世界が同じ場所にありながら混ざらないし重なりもしない?マジで意味分からん。異世界だからなのかもしれないけどさぁ!


「そして、天国と呼ばれる異界には正の感情から生まれた妖精という種族と、地獄と呼ばれる異界には負の感情から生まれた魔物という種族が生息していますわ。一定以上の感情エネルギーが溜まると生まれるようですわね」


「なんか幻想種どうぞくみたいじゃの」


「まぁ多分、似たようなものですし」


「そうなのか?」


「まぁそうですわね。どうして正負で別れてるのかは知りませんけれど」


ただし明確に違うのは、悪魔としての私やソフィアが生まれる際に必要な感情エネルギーのような幻想に、正負は関係ないという部分だ。正の感情でも負の感情でも、誰かに願われたモノが魔力に触れたのなら生み出されるのである。


ちなみに、最近分かったんだけど、キングプロテア・スカーレットってマジで幻想種なんだよね。ソフィアが全人類の幻想から生まれたのなら、キングプロテアは松浦葵1人の幻想から生み出されたみたいな感じらしい。だから、キングプロテアの初期は今と比べて弱かった。対して、ソフィアは全人類の幻想を元に生まれたから、生まれた時から権能一歩手前だったみたい。だからソフィアが私の事を同族って言ってたのはマジだったってワケ。


「最後に重要なのは………分かりますわね?」


「うむ、魔法少女じゃな!それは聞いておるからの!」


「結構。魔法少女とは、正の感情から生まれた妖精達が、この世界において最も魔力を生み出す事のできる思春期の少女達と契約を成し、わたくし達の世界における"権能の性質"のようなモノを軸とした魔法を発現させる事で生まれる存在ですわ。その使命は、異界から溢れ出した魔物を狩る事ですわ」


「ほぉう?魔物が現実世界へ溢れ出しているのは何故じゃ?」


「恐らく………ではありますけれど、現実世界で人類の総人口が急激に増え、それに合わせて負の感情も急激に増えた事による影響だと思いますわ」


「ふむ、つまり世界中幸せになれば魔物は溢れてこんと?」


「後は総人口を半分にするとか、そういう解決法が必要ですわね。多分、マジでそれくらいしないと魔物の出現は止まりませんし」


「無限ループじゃろうしのぉ………」


負の感情が爆発的に増える、それにより魔物が増える、そうすると地獄がパンパンになってしまう、そうなると魔物達はより広い世界である現実へと向かう、現実へと向かった魔物が被害を出す、それにより負の感情が生まれる、それにより魔物が増える………ってな感じの無限ループなので、マジで総人口を半分にするとかしないと解決しない問題である。母数が大き過ぎて供給され続けているから、その母数をどうにかしないとどうにもならないのである。


「ちなみに、魔法少女達は魔物を狩る事で対象の保有している魔力量に応じたポイントを獲得し、そのポイントを使用して色々な魔法アイテムを獲得出来るような仕組みらしいですわ」


「なんかソシャゲみたいじゃの」


「実際、進化素材みたいなのもスキル強化素材みたいなのもあるみたいですし」


「マジか」


ソフィアって驚いた時にのじゃ口調抜けるよね。可愛いけどさ。


「妖精との契約がそういう契約のようですもの。魔物を狩って貰う代わりに、対価を支払うような。まぁ、契約当初の方は魔法の力に覚醒した代償としてポイントが天引きされるみたいですけれど、進化を繰り返す事に天引きも少なくなってくみたいですわよ?」


「マジでソシャゲみたいじゃの?」


まぁそれは私も思ったが、魔法のまの字も知らない少女がいきなり魔物を狩れるほどの魔法に覚醒出来るってのが凄いからなぁ。というか、まず契約1回だけで覚醒出来るの凄いんだわ。しかもそれ、多分権能のように個々の性質に則った属性の魔法なんだよね。


だからきっと、私なら悪魔に関連する魔法少女になるんだろうし、ソフィアなら血液に関連する魔法少女になるんだと思う。まぁどう考えても権能みたいな出鱈目能力にはならないだろうけど、進化ってのを繰り返していけば権能レベルの出力に近づいてくんじゃない?別にそこまで知らないけどさ。そもそも根幹の思想が違うし。


「後は………そうそう、魔法少女達は大抵、国に所属しているようですわね」


「ほー………妾達って本当に大丈夫なのかの?」


「さぁ?大丈夫なんじゃありません?」


「おぉい、雑過ぎんか?」


「いやだって、色々と調査して予測は立てましたけれど、別に全部正しい訳でもありませんし………」


一応、地獄と現実を繋ぐ転移門的なのに反応する結界みたいなやつと、周辺で発生した登録していないタイプの魔力を感知して魔法少女達の本部に報告する結界みたいなのが街中の主に電線に張り巡らされている事くらいしか分かっていない。前者の転移門感知みたいな結界は私の転移の悪魔による転移は感知しないのは事前に調査したし、後者のものは体内での魔力使用ならば反応しないのが分かっている。故に血液の権能による魔力生成を胎内で行っているソフィアは引っかからないし、第九アップデートである魔力蓄積保管アップデートによる副作用で魔力を感知されにくくなっているので大規模な魔法でなければ大丈夫だ。


「でもまぁ、外部に魔力を漏らさなければ大丈夫ですわ。魔物扱いもされませんし、新しい魔法少女扱いもされません………多分」


「それなら良いがのー」


そんな感じで世界の説明を挟みながら歩く事30分。やっと………でもないけど、こうしてニ型世界の人の居る場所に生身の身体でやって来たのは初めてだ。どんな世界観なのかは把握しているが、具体的な世界の様相は流石に調べてないからなぁ。さーてどんな所かな………いやまぁ、自然に近い街だから割と田舎寄りではあるんだけどね?


「おーおー………イ型世界とそこまで変わらんくね??」


「今のところ、わたくしが行った事のあるファンタジー世界は一つだけですわ。残り三つの世界観も、まぁ似通ってますわね」


「科学の発展した世界は全てこうなるとでも言うのじゃろうか………?」


そんな事は………ないと思うけど、どうしよう。ちょっと自信無いかも。


「とりあえず、都心に向かいましょうか。魔法少女や魔物は………まぁ、運が良ければ見られるくらいですわね」


「おーおー、唯一のファンタジー要素がそれで良いのか?」


「こればかりは時の運でしょう?それに、ファンタジー要素を求めて来てるだけじゃありませんし」


これでも一応、ハ型世界ではイ型世界に無い考え方とか、似通ってて微妙に違うみたいな工芸品とか、そういうのもたまーに見かけたりしたから、今回もそういうその世界独自の技術とか作品に出会えたら良いなって考えではあるし。それに、別に魔法少女関係のイベントは最悪無くても困らないし、そもそもこっちの事を看破されたりするかもしれないからあまり不用意に近づきたくもないや。


「まぁそうじゃな。自分から魔法少女を見に行くのは、ちょいとつまらん」


「同感。魔法少女が出動しているという事は即ち、厄介ごとである魔物が出現しているという事ですもの。出歯亀しに行ったら魔物に襲われ、その対処をしていたら魔法少女達に見つかる………とかも普通にありえますもの」


「中々に具体的じゃが、そういうのもあるかもしれんのー………ちなみに、妾達って魔法少女に見つかった場合、どんな扱いをされると思う?妾は女王様系レズ魔法少女に顎クイされてメチャクチャに惚れてから性処理とか言われてぐちゃぐちゃに陵辱されたいんじゃが」


「願望垂れ流してんじゃねーですわよ。あー、そうですわねー、とりあえず白髪の魔法少女に傅くとかはしてみたいですわね………」


異世界に来た所で私とソフィアの関係性や普段の会話の内容が変わる訳でも無く、いつも通りの雰囲気のままなのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る