入る度に変化するダンジョンって現実だったらかなりエグいと思わない?私は思う
『巫女』の職業のスキルをコンプリートした次の日の10月12日。今日は時間がかなりあるので、さっさと『聖女』もスキルをコンプリートして極級職を出したいと思う。『巫女の極意』のスキルで経験値効率が10倍近く上がっているからな。それじゃ『聖女』にジョブチェンジ、っと。
「ステータスオープン」
───────────────────
【個体情報】
階位 : 0
名前 : キングプロテア・スカーレット
種族 : 悪魔
年齢 : 17
職業 : 聖女
【パラメーター】
生命 : 6,666
魔力 : 6,248
体力 : 6,666
筋力 : 6,666
耐久 : 6,666
敏捷 : 7,410
器用 : 20,000,000,000
精神 : 10,650
抵抗 : 6,666
幸運 : 6,666
【ポイント】
技術 : 0
【保有スキル】
職業:僧侶
職業:司祭
職業:教会騎士
職業:女教皇
職業:聖騎士
職業:巫女
───────────────────
ちなみに、今日も『荒野と死体の風ダンジョン』にやって来ている。なんせ、『草原と死体の闇ダンジョン』はまだまだ大掃除の最中だからだ。あそこは最下層まで80階近くあるので、掃討には中々の時間を要するのである。長くて2週間だ。なっがい。当然ながら数日で終わる事なんて稀なので、私は今日もここに来ている訳である。効率的にはこっちの方が良いが人が来る可能性があるとか色々あるので、ぶっちゃけどっちで戦っても良いのだが。
「聖女………まぁまぁまぁ、これは職業ですし………」
紫悠とかに聖女呼ばわりされたら普通にキレるけど、これはまぁ職業だしな………キレる必要が無い。というかイロ型世界の実績に【聖女】があるしな………言い逃れできないってのが本音かもしれん。
「スキルギフト」
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【スキル獲得】
現在の技術 : 0
【獲得可能なスキル一覧】
『消費技術:10』
階位奉仕Lv1 : 階位奉納で更に物理性能を100%上昇
階位奉公Lv1 : 階位奉納で更に物理耐性を100%上昇
階位奉行Lv1 : 階位奉行で更に魔術耐性を100%上昇
階位奉安Lv1 : 階位奉納で更に精神耐性を100%上昇
階位奉加Lv1 : 階位奉納で更に異常性能を100%上昇
生命加算Lv1 : 生命値の能力補正値+5
魔力加算Lv1 : 魔力値の能力補正値+5
精神加算Lv1 : 精神値の能力補正値+5
幸運加算Lv1 : 幸運値の能力補正値+5
全能力増加Lv1 : 全能力値の能力補正値+3
『消費技術:20』
物理耐性Lv1 : 物理攻撃に対する10%の耐性
魔術耐性Lv1 : 魔術攻撃に対する10%の耐性
精神耐性Lv1 : 精神攻撃に対する10%の耐性
異常耐性Lv1 : 全状態異常に対する10%の耐性
階位吸収耐性Lv1: 階位吸収に対する10%の耐性
経験吸収耐性Lv1: 経験値吸収に対する10%の耐性
『消費技術:30』
階位増加Lv1 : 階位奉納の効果を100%上昇
同時奉納Lv1 : 階位奉納の対象+1人
時間奉納Lv1 : 階位奉納の効果時間+1分
共鳴奉納Lv1 : 味方全体に階位奉納の10%を付与
伝搬奉納Lv1 : 敵全体に階位奉納の10%を反転付与
『消費技術:40』
生命超回復Lv1 : 生命の回復速度を200%上昇
魔力超回復Lv1 : 魔力の回復速度を200%上昇
聖女の術理Lv1 : 対精神生命体戦闘における術理
聖女の心得Lv1 : 特攻、特防効果を100%上昇
『消費技術:50』
慈愛の祈りLv1 : 味方全体の経験値獲得量を10%上昇
愛情の祈りLv1 : 対象1人の経験値獲得量を10%上昇
恩寵の祈りLv1 : 味方全体の獲得経験値を10%上昇
慈悲の祈りLv1 : 経験値吸収を10%の確率で発動
聖女の祈りLv1 : 階位吸収を1%の確率で発動
『消費技術:60』
人身御供Lv1 : 生命消費毎に経験値獲得量増加
贖罪の山羊Lv1 : 魔力消費毎に経験値獲得量増加
身代り地蔵Lv1 : 体力消費毎に経験値獲得量増加
経験補正Lv1 : 階位%の経験値獲得量増加
聖女の器Lv1 : 経験値獲得量を100%上昇
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これが『聖女』のスキル一覧なのだが、やはり『巫女』と同じように新しいスキルが非常に多い。そして何より、マジで『階位奉納』による超強力バフ特化職業なんだな………この職業、自分で戦うのはとことん苦手っぽいけど、その分だけバフの効果が物凄過ぎる。
まず前提として。『聖女』のスキル説明に幾度も表示されている『階位奉納』だが、これは『司祭』で獲得可能なスキルとなる。『聖女』及び『聖人』という職業は、この『階位奉納』に特化したスキル構成なのだ。『司祭』の段階で関係する三つのスキルを獲得可能で、その三つだけでも階位を10消費して対象1人の魔術の性能を最大で20000%上昇させられるのである。この超絶バフは自分にも他人にも使用可能なのだが、『司祭』のままだと複数人への同時使用は出来ない。何よりこのバフ、効果時間がそこまで長く無いのだ。長くても1分くらいである。
しかし、『聖女』のスキルで『階位奉納』は更に強化されるのだ!まずは『階位奉仕』『階位奉公』『階位奉行』『階位奉安』『階位奉加』の四つである。これらは元々魔術の性能のみを強化するだけの『階位奉納』に、更に物理性能、そして物理、魔術、精神、異常への耐性も与えられるスキルとなっている。つまり、階位10消費で物理及び魔術性能、そして四種耐性の全てが20000%上昇するのである。あまりにもとんでもない。
更には『階位増加』により最大30000%までを実現し、『同時奉納』により一度の使用で最大で11人までバフを付与可能となり、『時間奉納』により効果時間が最大11分となり、『共鳴奉納』により味方全体へ『階位奉納』の効果を最大10%までを付与し、『伝搬奉納』によって敵全体へ『階位奉納』の効果が反転したものを最大10%まで付与する事になる。なんかもう色々とあってこんがらがるが、とにかく『階位奉納』がとことんまで強化されているのだ。
「経験値関係のスキルめっちゃありますわね………?」
経験値に関係するスキルが多く存在しているのは、恐らく『階位奉納』で失ったレベルを素早く補充する為のものなのだろう。何なら、消費技術ポイントが50以上のスキルは全て経験値関係だし。
『〇〇の祈り』系スキルは五つか。慈愛は味方全体のの経験値獲得量を100%上昇、愛情は選択した1人の経験値獲得量を100%上昇。そんで恩寵は味方全体の獲得経験値、つまり味方が討伐した事によって発生した経験値そのものの量を最大で100%増やすスキルで、慈悲は相手から経験値を直接吸収する確率上昇か。最大レベルなら100%吸収になるな。そして聖女は階位吸収、つまりレベル吸収か。最大でも10%だが、10%もあるなら割と吸収出来るのでは?
消費技術ポイントが60のスキルも中々に凄いな。まず、『人身御供』『贖罪の山羊』『身代り地蔵』の三つは、生命、魔力、体力を何かしらで消費している時に経験値獲得量を増やすスキルらしい。つまり、ピンチの時であればあるほどに経験値を獲得しやすくなるスキルって訳だ。実にわかりやすい。『経験補正』もレベルに応じた経験値獲得量増加だし、最後の『聖女の器』は『巫女の極意』と同じ、経験値獲得量を最大1000%まで上昇してくれる効果らしい。うーん、これ全部獲得したらめっちゃ経験値貰えるな?普通にこれ凄いのでは?
そんで、階位吸収と経験値吸収に対する耐性スキルもあるし、『退魔の心得』と同じように特攻、特防の効果を上昇させるスキルと、そして『聖女の術理』くらいか?新しいスキルは。『退魔の術理』は対魔物戦闘全般の術理だったけれど、『聖女の術理』は対精神生命体戦闘の術理なんだよなぁ。あれか、魔物でなくても精神が主となる生命体全てに対して効果ある感じか。それはそれで良いスキルだな。
「んー………スキルは最後に全て獲得致しましょう」
効率の為に経験値獲得量増加系のスキルだけでもチマチマ獲得しようかとも思ったが、それをすると合計戦闘時間が減るのであまりやりたくないかも。どうせ最後にスキルコンプリートするんだし、出来るだけ長く戦っていたいし………まぁ多分、レベルが上がり易くなっても戦い続けますけどね。
それに、極級職って個人個人でスキルコンプリートに必要な技術ポイントがかなり違ってるらしいんだよね。レベル180にすると1,440ポイント貰えるんだけど、スキルを全て獲得するのに最低でも1,440ポイント必要って感じで、あくまでも最低だから余裕で1,440ポイント超えるらしいし。これまでの最高が確かー、5,000ちょい?とかだった筈。極級職の消費技術ポイントは大抵が100とからしいので、まぁ大体50個くらいスキルあったんだろうなって。
スキルの数が多いように見えるが、上級職のスキルだって30とかそんくらいだ。それが全て技術ポイント100の消費になれば、まぁそんなもんなのだろう。この世界のシステムとか割とどうでも良いし、なんか重大なデメリットがあるなら権能使って解体して捨てるだけだし。あくまでもこのステータスってシステムはこの世界で敷かれている法則であって、私の世界に敷かれてるもんじゃない。だったらやりようは幾らでもある。
まぁそれに、割と深く調べる為にアリスとかいうチート使って解析してみたけれど、このハ型世界式ステータスは別に危険なものでもデメリットも無いらしいし。強いて言うなら、別世界だとステータスを影響を殆ど受けられないって事くらいだろう。術理系スキルで覚えた技術は普通に使えている辺り、ステータスによる直接的な効果が使用不可能ってだけらしいが。
後、別世界で死亡した生き物をハ型世界に連れてきて、『蘇生魔術』や『再誕魔術』で蘇生できないのかと言うのは、今のところイロ型世界のどちらでも可能であるらしい事を確認している。一体どういう仕組みなのかと魔術そのものを解析した所、蘇生及び再誕魔術とは、肉体に残っている魂魄の残滓を辿る事で失われた魂魄を肉体に召喚、定着させる術のようで、その定着と同時に肉体の完全再生が行われる仕組みになっているらしい。言わば、私の異世界転移と似たような方法である。
私の異世界転移には、莫大な魔力と時空への適性、そして向かう先との縁が必須となる蘇生及び再誕魔術が似ていると思ったのは、魂魄の残滓が必要という所だ。これが言わば私の異世界転移で言うところの縁であり、これがなければ失われた魂魄を召喚出来ないようなのである。しかし、肉体に残った魂魄の残滓は死亡後24時間(ハ型世界基準)で消滅してしまうようで、その為に24時間以内の使用で無ければ駄目だったらしい。ちなみに、解析には
ただこの蘇生方法だと、肉体に魂魄の残滓が残らないような世界だと意味が無いというか効果が無い。故に万能とは呼べない蘇生方法ではあるが、それであっても充分に便利なのは変わりないので良しとしよう。そもそも死者の蘇生が24時間限りでも可能な時点で使わない手とか無いし、今のところイロ型世界はどっちでも使えるっぽいし。
「そろそろ………くふっ、くふふっ」
おっと、
いつも通りのスーパーハイテンションになりつつも、以前よりも少ない時間でレベル180になってしまった事をしっかりと認識出来ていた。が、まぁなんかもうレベルアップが早くなってもそれ以上に戦えば良くね?みたいな思考回路になってきたので特に困ることは無かった。
「新しい職業出してさっさと続きを………」
当然レベルは180、スキルは完全コンプリート。もうステータス画面で確認するまでもないが、一応見ておくか。
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【個体情報】
階位 : 180
名前 : キングプロテア・スカーレット
種族 : 悪魔
年齢 : 17
職業 : 聖女
【パラメーター】
生命 : 61,926
魔力 : 41,708
体力 : 52,746
筋力 : 27,366
耐久 : 48,966
敏捷 : 46,110
器用 : 20,000,000,000
精神 : 46,110
抵抗 : 48,966
幸運 : 36,726
【ポイント】
技術 : 0
【保有スキル】
職業:僧侶
職業:司祭
職業:教会騎士
職業:女教皇
職業:聖騎士
職業:巫女
職業:聖女
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うんうん、保有スキルに『職業:聖女』がちゃあんと入ってるし、レベルもピッタリ180だ。にしても、本当にステータスが凄い数字になってくるなこりゃ。極級になったら更に増えるんだよなぁ………よし、私の極級職をさっさと拝もうか。
「ジョブチェンジ」
───────────────────
【職業変更】
変更先の職業 : 聖女
『能力補正値』
生命 : 307
魔力 : 195
体力 : 257
筋力 : 116
耐久 : 237
敏捷 : 216
器用 : 115
精神 : 195
抵抗 : 237
幸運 : 165
『ポイント上昇率』
技術 : 6
『変更可能な職業一覧』
戦士 : 肉体戦闘に秀でた初級職
魔術師 : 魔法戦闘に秀でた初級職
盗賊 : 探索に秀でた初級職
僧侶 : 援護に秀でた初級職
司祭 : 浄化、治癒魔術に秀でた中級職
教会騎士 : 防御、補助魔術に秀でた中級職
女教皇 : 聖浄、再生、回復、蘇生に秀でた上級職
聖騎士 : 防壁、強化、付与、耐性に秀でた上級職
巫女 : 演舞に秀でた上級職
死竜殺し : 死竜を殺し続けた者が至る究極
───────────────────
おぉちゃんとあるじゃん『死竜殺し』ってやつが!なんでこんな名前なのかは知らな………くはないし心当たりしかないけど、とにかくあるじゃん!
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【職業変更】
変更先の職業 : 死竜殺し
『能力補正値』
生命 : 8
魔力 : 10
体力 : 8
筋力 : 9
耐久 : 8
敏捷 : 10
器用 : 10
精神 : 9
抵抗 : 8
幸運 : 10
『ポイント上昇率』
技術 : 9
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おぉヨシヨシ、詳細を確認してもちゃんと極級職の能力補正値になってる。さーて………これ、どんな職業だろう??
そう、そうなんだよ。初級、中級、上級まではネットに情報があるんだよ。どんな組み合わせだろうとどっかの誰かがやってるからさ、スキルの詳細も職業の詳細も、ちゃんとネットの情報に載ってる訳よ。でも、極級職は個人個人で全く違う。例え同じ上級職を辿っていたとしても、個人の才能やそこに至るまでの過程で全く変わってくる。同じ職業になる事はあり得ないし、例え同じ職業になっても同じスキルの構成になんかならない。それが極級職。故に、どんな職業なのかは私が調べるしかないのだ。
と言う事で、さっさとスキルを確認しましょ。
「スキルギフト」
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【スキル獲得】
現在の技術 : 0
【獲得可能なスキル一覧】
『消費技術:10』
生命乗算Lv1 : 生命値の能力補正値+10
魔力乗算Lv1 : 魔力値の能力補正値+10
精神乗算Lv1 : 精神値の能力補正値+10
幸運乗算Lv1 : 幸運値の能力補正値+10
『消費技術:100』
全能力乗算Lv1 : 全能力値の能力補正値+10
竜息吹耐性Lv1 : 竜種の息吹に対する1000%の耐性
腐敗耐性Lv1 : 腐敗に対する1000%の耐性
衰弱耐性Lv1 : 衰弱に対する1000%の耐性
麻痺耐性Lv1 : 麻痺に対する1000%の耐性
物理耐性Lv1 : 物理攻撃に対する1000%の耐性
魔術耐性Lv1 : 魔術攻撃に対する1000%の耐性
精神耐性Lv1 : 精神攻撃に対する1000%の耐性
異常耐性Lv1 : 全状態異常に対する1000%の耐性
風属性耐性Lv1 : 風属性に対する1000%の耐性
闇属性耐性Lv1 : 闇属性に対する1000%の耐性
全耐性Lv1 : 保有している全ての耐性+1000%
死竜爪牙Lv1 : 魔力値に応じた筋力補正
死竜血統Lv1 : 魔力値に応じた生命補正
死竜翼Lv1 : 魔力値に応じた敏捷補正
死竜鱗Lv1 : 魔力値に応じた耐久、抵抗補正
死竜炉心Lv1 : 魔力値に応じた全能力補正
死竜特攻Lv1 : 死竜へのダメージを1000%上昇
死竜特防Lv1 : 死竜からのダメージを1000%軽減
死竜の術理Lv1 : 対死竜戦闘における術理
死竜阻害Lv1 : 死竜の再生阻害効果を1000%上昇
死竜集中Lv1 : 死竜からの標的効果を1000%上昇
死竜殺しLv1 : あらゆる死竜系スキルの効果を10倍
──────────────────
おぉおぉ、同じ消費ポイントのスキルがこんなに並ぶ事無かったから若干見辛いけど、まぁそれはいい。耐性系と補正系のスキルも変わらんから特に説明されなくても大丈夫そう。『全耐性』ってスキルはちょっと特殊だけれど、私が持ってる耐性系スキルの効果を増やすってだけでしょ?多分これスキルレベル10になったら10000%増加とかいう感じになるけど。んで、そのスキルから下はほとんど知らないのばっかりだ。一応、術理系と特攻、特防系はまぁ分かる。こっちも10000%になりそうだけど効果内容自体は今までのと変わってないし。
それ以外はネットにも載って無かったスキルだ。内容自体は分かるよ。魔力値に応じた各能力の補正と、死竜、つまりアンデットドラゴンの自己再生能力を阻害するスキル、そんでアンデットドラゴンから狙われ易くなるスキルと、死竜系スキル………多分、"死竜"って単語がスキル名に使われてるスキル全ての効果を倍化する、って事だよね?だとしても10くらいありますけど?
「というかこれ、アンデットドラゴンを殲滅してたのが原因みたいなスキル構成ですわね………」
アンデットドラゴンのウリは、劣化しているとはいあドラゴンという生物に備わっている身体能力と、鱗の防御と魔力の防御を失った代わりに手に入れた強力な再生能力、そして、巷ではドラゴンブレスと言われるドラゴンの一撃こそが、アンデットドラゴンの主な性能である。しかしこの職業のスキルを全て獲得した場合、その全てに対抗出来るようだ。
まず、強靭な身体能力。これはこちらもドラゴンの力で対抗してやるぜ!と言わんばかりに魔力に応じた能力補正系のスキル群と術理系とスキルがそれにあたるのだろう。爪、牙、血統、唾、鱗、そして炉心の六つ。炉心は恐らく【悪魔炉心】と同じノリで行くなら心臓になるのだろうか?あぁ、あとは物理、魔術、精神、異常の四種耐性も似たようなものか。
次に再生能力。これは『死竜阻害』で確実にメタって来ている。私は元から緑玉剣の悪魔を使っているから別に無くても困らないが、それを使わないとアンデットドラゴンの再生能力はかなり早い。早送りで再生してるのかってレベルで早い。マジで早いので、それを阻害出来るってだけでかなりのアドバンテージだ。
最後にドラゴンブレス。これは、完全に耐性系でメタっている感じだろう。『竜息吹耐性』なんかもうそのまんまだ。更に、『草原と死体の闇ダンジョン』のアンデットドラゴンは闇属性なのでデバフ特化だと言ったが、これはドラゴンブレスにも適応され、闇属性ダンジョンのアンデットドラゴンのブレスには複数の状態異常付与効果が存在している。まぁ、それら全てに耐性を獲得出来るらしいが。腐敗、衰弱、麻痺の耐性があれば闇属性ダンジョンのアンデットドラゴンだろうと怖くないだろう。
あ、なるほど。闇属性耐性は分かるけど風属性耐性は何で?って思っていたけれど、これあれか、『荒野と死体の風ダンジョン』でもアンデットドラゴンを狩ってた影響なのか。マジで私のこれまでを参照して職業出るんだ………すげー、イロ型世界式ステータスの実績みたい。あれは一個人の歴史とその逸話みたいなもんだけど。
「………あ、これ、レベル180じゃ足りませんわね」
極級職のスキルコンプリートに必要な技術ポイントは職業でかなり違うとの事なので雑に計算してみた所、なんと、本当にレベル180では足りないらしい。必要な技術ポイントは2,340ポイントであるのに対し、レベル180で獲得できる技術ポイントは1,440ポイントである。レベル一つで獲得出来るのが9ポイントだからー………スキルコンプリートに必要なのは、大体レベル260くらいか。合ってるかは知らん。いやまぁ第五アップデート経由でスマホの計算機使ってちょっと計算してみたけど、そもそもの計算式が間違ってる可能性もあるしな………まぁそん時はそん時。必要になるまで戦えばいいだけである。
それに、必要レベルが伸びるのは別に悪いことじゃない。事前に『聖女』の職業で獲得経験値にブーストが入っているので戦闘時間が減るなーと思っていたが、これなら大丈夫そうだ。レベルは100毎に必要経験値が馬鹿みたいに増える方式であるので200の大台後半というレベルは中々に遠いが、そんなもの私には壁ですらない。むしろカタパルトみたいなもんだろう。これまで以上に討伐し易くなったアンデットドラゴンを狩り尽くす………うんうん、良い、とても良いな………楽しそう………だけど、ねぇ。
「んー………そろそろ、更に難易度の高いダンジョンに行っても良いですわね………」
アンデットドラゴンは飽きてきた。が、対アンデットドラゴン性能が上がっているのかどうかは把握したい………ので、ノーマルなアンデットドラゴンではなく、アンデットエルダードラゴンなどの上位種が出現するダンジョンを探しておこう。多分だけれど、アンデットドラゴン系統ならスキルも普通に通用するだろうし。
エルダーアンデットドラゴンはアンデットドラゴンの進化系というか、上位種に分類される魔物である。通常のドラゴンでもエルダードラゴンが存在しているので、それのアンデット個体とでも言った所だろうか。
アンデットドラゴンとの相違点は幾つかあるが、まず一つは身体能力。元のアンデットドラゴンは死体と化して腐敗により性能の劣化が発生していたものの、エルダーアンデットドラゴンにもなると身体能力の劣化が発生しない。ノーマルのアンデットドラゴンだとドラゴンの6割くらいの身体能力しか発揮出来て居なかった所が、エルダー個体となると10割丸ごと使用してくるんだとか。しかも元が強力な魔物なので、ノーマルなアンデットドラゴンと比べると段違いの身体能力を発揮してくるらしい。
次に防御能力。ドラゴンは元から魔力による防御、スキルで言う『死竜鱗』みたいな能力を持っているらしく、物理攻撃も魔術攻撃も通用し難いのがデフォルトなんだそうだ。アンデットドラゴンはその能力が失われる代わりに強力な再生能力を得ている魔物である為、ノーマルなアンデットドラゴンにその防御能力は無い。しかし、エルダーアンデットドラゴンにはそれがある。しかも、強力な自己再生能力はそのままだ。防御能力自体はアンデットではない普通のエルダードラゴンよりも低いものの、元が強力な魔物だ。こちらも非常に厄介な点である。
まぁ、分かりやすい相違点はこれくらいだろうか。他にもドラゴンブレスが強化されてるとか魔術を積極的に使って来るとかはあるが、別にどっちも元から使って来るし。いつもは使わせないように一撃で殺してるから気にならないけど。ちなみに、これまでのアンデットドラゴンの平均ステータスは7,000ちょいだとしたら、エルダーアンデットドラゴンの平均ステータスは10,000とからしい。レベルゼロ時点のステータスだと少し危ないかもしれないが、それはハ型世界式ステータスだけで私を見たらの話だ。
私は元から異界の存在。魔術だけではなく、本来私が得意とする魔法を使えば余裕も余裕である。しかも、ダンジョン内部はどれだけ破壊しても24時間で完全に再生するので、私の過剰威力な攻撃魔法もぶっ放して良いのだ。人も居ないのが分かっているし、ダンジョンそのものはどれだけの過剰威力だろうが完全破壊は出来ないのは既に確認してある。宇宙に揺蕩っている適当なダンジョンの内部でうちの子経由して全力の魔法を内部でぶっ放したけれど、それで空間の破壊とか破損は起こらなかったし。まぁ外から撃ち抜いたら普通に消滅させられたけど。
「今日は………ここで出来る限り戦ってから帰りましょうか。新しい所へ行くのは次回に………」
まぁ、エルダーアンデットドラゴンが何処に居るのとか知らないから、事前に調べる必要はあるけど。エルダーアンデットドラゴンって名前だけはアンデット系統の魔物を調べてる時に出てきてたから知ってたけどね。あぁでも、基本的にAランク以上のダンジョンで現れるんだっけ?まぁAランク以上ってSランクとUランクくらいしか無いけど。
Sというランクは基本的に探索者には使用されず、ダンジョンにのみ使用される基準である。明らかにAランクとは隔絶したダンジョンこそがSランクダンジョンであり、最低でも極級職を持っている探索者でなければ挑むことすら不可能というレベルらしい。稀に探索者にもSランク認定される時があるらしいが、それはめちゃめちゃにイレギュラーなんだそう。実際、Sランク探索者はこれまでに10人くらいしか居ないそうだし。
Uランクダンジョンは、Sランクの上………ではない。UランクのUはUnknownのUである。つまり、未知のダンジョンを示すのがこのランクのダンジョンなのだ。ダンジョンのランクは探索者ギルドが決定しているが、その内部をしっかりと調べるまで、この世界のダンジョンにランクなんて便利な指針は設定されないのである。基本的にAランク以上の探索者には、依頼としてUランクダンジョンの調査依頼が出るんだとか。まぁ、報酬がめっちゃ高い代わりにかなりの危険とも隣り合わせなのでそこまで幅広く人気のある依頼でもないらしいが、使役系や召喚系職業の探索者には人気である。まぁ、使役とか召喚した奴を逐次投入すればいいからな。私でも出来る。
「さぁ………ふふふっ、戦いましょう………?」
この日、私は最終的にレベル194にまでなったのでした。
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