固有名詞が若干違うの覚えにくいんだよな………別に良いけど


『司祭』と『教会騎士』の両方の職業の獲得可能スキルを全て獲得した日から3日後の10月7日。今日も今日とて『草原と死体の闇ダンジョン』に潜る………と思いきや、今日はハ型世界の観光へとやって来ていた。


実はこの3日間、少し忙しくて一度もダンジョンに潜れていないので、じゃあもう折角だから観光するか!ってなったので、こうして観光しに来ている訳である。


「んー、これは中々………」


観光先は地星でも有名な山、『藤山』である。富士山ではない。日本の中でも最も高い山でありながら、その名前通りに藤山は時期になると大量の藤の花が咲き誇り、山一面藤の花に覆われる事で有名な山だ。頂上付近になると流石に藤の花が消えて岩側が見えるものの、だとしても美しい色に染まる山というのは実に見ていて絶景である。


当初は登ろうかとも思っていたのだが、流石にゴスロリドレスの格好で山なんか登ってたら不審に思われるし、かと言ってこの服装から変えるのも面倒なので、こうして湖を挟んで反対にある偉大な山を見るだけになっているのだ。これだけでも割と時間を潰せるから、中々に良い観光地である。電子通貨を利用できるお店の中で見つけたお土産用のクッキーも美味しいし。


いやまぁ、クッキーは大体美味しいけどさ。今回食べてるお土産用みたいなのはしっとり系のクッキーなんだけど、バターの風味がしっかりあって中々に美味だ。アリス達の分は1人一箱分を確保してるから、自分用の二箱のうち一箱はここで食べてしまおう。もう一箱?これはお土産配って一緒に食べる用。いや、目の前で食べられてると自分も食べたくなるでしょ?少なくとも私はなる。だから自分用も確保してるって訳よ。


「美味しいですわねぇ………」


実は観光先を数ヶ所見繕っていたのだが、ここにして良かったかもしれない。他の候補としては、ハ型世界の日本にある水族館か、アメリカの巨大な像か、エジプトの墓か、ロンドンの時計塔か………ちなみに、異世界なのに地名の名前がイ型世界と全く同じなのは、私が勝手にそういう意味の単語なんだと翻訳しているからだ。


本来の地名は全然違うのだが、大陸の形は似ているし、文明のレベルも似ているし、国の印象も代表的な建築物も似ているので、私に分かりやすいよう、異世界の言語を日本語風改竄したものに翻訳しているのだ。その方が私が分かりやすいんだから仕方ないし、話す時には全く問題無いようになってるからええのよ。


中には全く違う感じの国もあるけど、そういう国って大抵が大放出の発生してるダンジョンが多い国なんだよね。しかも中々に強力なダンジョンが数百年前くらいから大放出を引き起こし続けているらしく、人と魔物との争い絶えない地域であるらしい。その分ランクの高い探索者が大勢いるらしいけど、大勢の探索者が居ても未だにどうにもなっていないというのが末恐ろしい。高ランクのダンジョンで大放出が起こってしまってるから、数百年経ってもそう簡単に攻略するのも難航してるらしいし。


科学と魔法どちらも使って防衛では有利に倒せてはいるらしいけど、大放出を引き起こしてる目当てのダンジョンに近づけないんだとさ。銃火器じゃ弾薬が足りない、魔法じゃ魔力が足りない、かと言って接近戦だと体力が足りない、って感じで。まぁ、それもこれもマンパワーでなんとか解決してるっぽいけど。


わたくしならなんとか出来ますけれど………」


多分、私なら何とか出来る。敵が数の暴力を使ってくるのなら、私はそれ以上の数の暴力で対抗するだけで良いんだから。というか、名前付きの子達も総動員したら10分も要らないだろう。あの子達は、私が正式に名を与えた悪魔達だ。元の生物や物質のある子なら元以上の性能にして、元が現象や概念の子には明確な形を持たせず能力に特化させ、逸話が元の子は元の逸話通りの力と形を再現する。こうする事で各分類の生産コストを抑えつつも、コスト以上の性能を発揮出来るようになるのだ。


私は一から完全オリジナルの悪魔を創る事も出来るが、それはほぼやらない。何故なら、かなりコストが嵩むからだ。何かしら元ネタがあれば、元となるエッセンスがどれだけ小さくとも全て掬い上げて骨子にして、そこに追加で色々と能力やら形やら性能やらを付け足していけるので、かなりコストを抑えられ、何より元となる概念に由来する事で性能の底上げも見込めるのだ。完全オリジナルだと骨子から作らねばならず、元が無いので性能の底上げも難しい為、あまりやらない。


ちなみに完全オリジナルの悪魔を作る場合、世界一つを完全に破壊できるような子くらいなら片手間で作れたりするが、概念的には私1人しか知らない存在である為、概念や存在の部分でダメージを受けるとマジで簡単にやられたりする。概念ダメージとは世界の認知度への攻撃であり、私1人しか知らない悪魔だと概念HPみたいな数値が1とかなのだ。クッソ弱いのである。まぁ滅多に概念攻撃してくる奴居ないけど、事前に想定出来る対策を思い付いたなら初めからしておくべきだろ?


雑に数が欲しい時に作ったり一万体事に創造して技術の修練をさせてる子達も、名前付きの子とは違ってこれと言って特定個体の概念は由来にしてなかったりするけど、"悪魔"っていう広義的な概念を由来にしてるから概念HPみたいなのは名前付きの子以上にあるし。何なら、新しい異世界に"悪魔"の概念があればある程に最大HPが底上げされる仕組みにしてあるから、私が今後幾つもの異世界を巡った後には概念的にめっちゃ強固な軍隊になるぜ?小旅行するだけで私の力が増していく………うんうん、素晴らしいじゃんね。


「ただ………宗教が面倒なんですのよね………」


このハ型世界における宗教は、その大半がダンジョンに関連している宗教である。何なら、世界的に有名な宗教二つで成り立ってるくらいだ。


一つは『迷宮教』。ダンジョンとは神が我々人類に与えた試練であり、乗り越えた者には素晴らしい恩恵を、乗り越えられなかった者には真なる罰を授けてくれる場なのである………とかいう所だ。ステータスも神が与えた恩恵の一つであり、人類を次のステージへ連れて行くためのツールなんだとか。


もう一つは『神宮教』。ダンジョンそのものを神として崇め、我々人類は神の中に入る事でステータスという寵愛を受ける代わりに、神の体内を侵す魔物を狩り尽くす事で神への愛を示す………とかいう所だ。ダンジョン産のマジックアイテムなどを神器と呼んで崇めたりする人達だそうで、魔物に対するヘイトが凄まじく、視界に入った魔物は何であろうと全て殺す、みたいな感じらしい。


ちなみに、ハ型世界の日本という国はどちらでもなく、国教みたいなのが存在していないらしい。強いて言うなら自然崇拝に近く、ダンジョンを含めたこの世界の自然全ては神であり、その全てに敬意を払わなければならない………みたいな考え方が根付いているものの、しっかりとこういう宗教!みたいなのは無いそうだ。

「悪魔が国を救ったとなったら………まぁ、普通に討伐対象ですわよねぇ………」


この世界における"悪魔"とは、多彩な魔術と類稀な身体能力、そして人間並みの知性や幾つものスキルを保有し、一般的にも非常に強い魔物であると認識されている。『悪魔特攻』なんてスキルがあるように、世界のステータスからもバリバリに悪魔認定されているのだ。当の悪魔はそんなん知らんしそもそもステータスの見方も知らんから、ステータスの職業も変えられないらしいけど、それは人間以外の生物全てにも適応されるのでそういうもんらしい。


稀にダンジョンに職業持ちの魔物が出現したりするが、そういう奴は『強化種』と呼ばれ、同じ種族系統の魔物を引き連れて大放出を引き起こしたりするのだ。ちなみに、多分今の私が探索者に看破スキルなどでステータスを覗き見られた場合、バリバリに『強化種』認定されると思われる。だって私、職業持ちの"悪魔"だもの。この世界では悪魔=魔物だもの。色々と弄ったりしてステータス偽装はしているけれど、これで通用してるのかしてないのか分かんないしなぁ。


実は看破スキルを妨害する隠蔽スキルというのもあるが、それは確か盗賊系統の職業の中でも隠密行動に特化した職業でないと獲得出来ないんだよね。やっとの思いで隠蔽スキルを獲得したとしても、スキルレベルが互いに10の看破スキルと隠蔽スキルで対抗してもパラメーターとか保有スキルは見えないようになるけれど、種族とか名前とかは見えてしまうんだよね。スキルレベルに差があれば完全妨害も出来るけど、1番隠したい所を隠せてないんだよな。だから別に要らないや。


「まぁ、バレたらバレたで………」


まぁ、こうして街中にいる限り、そう簡単にバレる事も無いだろうが。何故なら、通常ダンジョンの外で他人のステータスを看破する探索者など存在しないからだ。理由としては、看破スキルはステータスを持つ存在にしか意味が無く、ダンジョンに入った事のある存在以外に使用しても何も起こらないからである。そもそもの前提として、看破スキルはあくまでもダンジョン内の魔物のステータスを把握するスキルであり、他人のステータスを覗き見るスキルではないのである。


そういう、『人に使わない』という当たり前が探索者の中で存在している以上、私のような一般人をダンジョンの外で看破しようとする者は居ないだろう。それに一応、周囲に探索者ギルドが存在していない場所を選んで観光してるし。


それに、バレたらバレたでも良いのだ。私のステータスを看破した存在が私を排除しようとするなら本気で対抗するし、仲良くなろうとしているのならそうしてやるのも吝かではない。何もせずに見なかった事にしてくれるならそれでも良いだろう。指名手配されるなら逃げるし、捕まりそうなら敵を殺す。色々と対策はしているが、いざと言う時はそうするだけである。


「ん………美味しいですわねぇ………」


しっとり系クッキーをちまちまと頬張り、この日は最後まで観光に充てるのだった。










次の日である10月8日。観光は昨日までにして、今日からまたダンジョンでハ型世界式ステータスの育成を再会する事になる。勿論ながら、レベル上げを行うダンジョンは『草原と死体の闇ダンジョン』だ。へっへっへ、うちの緑玉剣ちゃんが血に飢えておるでぇ………!多分血に飢えてるのは私の方だけど………!


とりあえず、これが今の私のステータスである。


「ステータスオープン」



───────────────────

【個体情報】

階位 : 0

名前 : キングプロテア・スカーレット

種族 : 悪魔

年齢 : 17

職業 : 女教皇


【パラメーター】

生命 : 6,666

魔力 : 6,230

体力 : 6,666

筋力 : 6,666

耐久 : 6,666

敏捷 : 7,410

器用 : 20,000,000,000

精神 : 10,650

抵抗 : 6,666

幸運 : 6,666


【ポイント】

技術 : 0


【保有スキル】

職業:僧侶

職業:司祭

職業:教会騎士

───────────────────



今回私が選んだ『女教皇』は聖浄、回復、再生、蘇生に秀でた上級職で、『浄化魔術』『聖浄魔術』は魔法で再現可能だから兎も角、『治癒魔術』『回復魔術』『再生魔術』『蘇生魔術』は確実に確保しておきたい魔術である。故に、こうして優先する事にしたのだ。


特に『蘇生魔術』。これ一つあるだけで、私の取れる選択肢はかなり違ってくる。失われた命を24時間以内に限り蘇生する魔術など、素晴らしいにも程がある。死亡直後24時間に限って死亡した肉体に留まっている魂魄を肉体に留め、それと同時に死体の損壊を完全に元に戻す魔術だぞ?魔法じゃ再現不可能な領域の力だ。欲しいに決まっているだろう。絶対強い。


そしてこれが、『蘇生魔術』を更に強化する事が出来る『女教皇』で獲得可能なスキル一覧である。



───────────────────

【スキル獲得】

現在の技術 : 0


【獲得可能なスキル一覧】

『消費技術:10』

純化魔術Lv1  : 真なる浄化を齎す魔術

魂魄魔術Lv1  : 真なる癒しを齎す魔術

状態魔術Lv1  : 更なる回復を齎す魔術

再誕魔術Lv1  : 更なる蘇生を齎す魔術

生命加算Lv1  : 生命値の能力補正値+5

魔力加算Lv1  : 魔力値の能力補正値+5

敏捷加算Lv1  : 敏捷値の能力補正値+5

精神加算Lv1  : 精神値の能力補正値+5

全能力増加Lv1 : 全能力値の能力補正値+3


『消費技術:20』

物理耐性Lv1  : 物理攻撃に対する10%の耐性

魔術耐性Lv1  : 魔術攻撃に対する10%の耐性

精神耐性Lv1  : 精神攻撃に対する10%の耐性

異常耐性Lv1  : 全状態異常に対する10%の耐性

闇属性耐性Lv1 : 闇属性に対する10%の耐性

光属性耐性Lv1 : 光属性に対する10%の耐性

純化強化Lv1  : 純化魔術の効果を10%上昇

魂魄強化Lv1  : 魂魄魔術の効果を10%上昇

状態強化Lv1  : 状態魔術の効果を10%上昇

再誕強化Lv1  : 再誕魔術の効果を10%上昇

魔術強化Lv1  : 魔術の効果を10%上昇

光属性強化Lv1 : 光属性の効果を10%上昇


『消費技術:30』

闇属性特攻Lv1 : 闇属性へのダメージを50%上昇

闇属性特防Lv1 : 闇属性からのダメージを50%軽減

光属性攻撃Lv1 : 攻撃時、光属性の追加ダメージ

光属性防御Lv1 : 防御時、光属性の反撃ダメージ

清廉潔白Lv1  : 精神汚染無効化、汚染無効化


『消費技術:40』

回復の心得Lv1 : あらゆる回復の効果を100%上昇

蘇生の心得Lv1 : あらゆる蘇生の効果を100%上昇

生命超回復Lv1 : 生命の回復速度を200%上昇

魔力超回復Lv1 : 魔力の回復速度を200%上昇


『消費技術:50』

全力浄化Lv1  : 精神値に応じて浄化の効果を上昇

全力治癒Lv1  : 精神値に応じて癒しの効果を上昇

全力回復Lv1  : 精神値に応じて回復の効果を上昇

全力蘇生Lv1  : 精神値に応じて蘇生の効果を上昇


『消費技術:60』

複写術式Lv1  : 魔術の効果対象+1

並列術式Lv1  : 同時行使可能な魔術+1

上位術式Lv1  : 魔術効果を100%上昇

属性術式Lv1  : 属性効果を100%上昇

──────────────────



正しく、『司祭』の正当進化と言った所だろう。浄化、癒し、回復、そして蘇生、この四つの魔術が更に増えている。『純化魔術』は『聖浄魔術』の進化系で、アンデット特効や汚れを落とすなどの効果であった『浄化魔術』、その効果を持続させられるようになった『聖浄魔術』から更に進化し、真の浄化を行う事が出来るようになった魔術だ。純化の名の通り、例え混じり合って複雑になってしまったモノであろうと問答無用で不浄な方だけを浄化する効果を持っている。アンデットが触れるだけで消滅する威力の光を放つその姿は、実に神々しいそうである。


『魂魄魔術』は『再生魔術』の進化系で、即座に傷を癒す事が出来る『治癒魔術』、持続的な再生効果を付与出来る『再生魔術』と比べれば更に凄い魔術である。なんとこの魔術、魂魄に対する治癒効果が発揮出来るのだ。イロ型世界ではそう簡単に魂魄を治療する事は出来ないと言うのに、ハ型世界の魔術ならばそれが可能なのである。というか、ナチュラルに魂へ干渉出来る術を簡単に獲得出来る世界おかしいよ。私だって双方が合意して契約結ばないと好き勝手出来ないのに。


次の『状態魔術』は『回復魔術』の進化系で、『回復魔術』よりも状態異常回復効果が強くなっている魔術である。実はこれまでだと、状態異常の深度が深過ぎる(状態異常の症状が酷すぎると言い換えても良い)と、何度も何度も対象に『回復魔術』を使用しないといけないという事が稀に発生するのだが、これはその回数を減らしたり、何なら一回にまで出来る程の効果を持った状態異常回復効果を持つのである。状態異常ならなんでも通用するのでめちゃめちゃに有用な魔術でもある。


最後に『再誕魔術』だが、これは『蘇生魔術』の進化系であり、私が特に欲しいと思っていた魔術でもある。『再誕魔術』も死亡から24時間以内でなければ効果が無いというのに変わりはないものの、死体損壊の最低ラインが『蘇生魔術』の数十倍に跳ね上がっており、強化系スキルのスキルレベルも最大である時ならば、右手首から先以外残っていない者であっても蘇生可能とかいうガチで反則級の魔術である。そりゃあこんな魔術欲しいに決まってるでしょうが………まぁその分かは知らないっすけど、割合で9割近く魔力を消費するんで連発とか無理無理無理のかたつむりですけどね!


「スキルコンプは後回しですけれど、ね………」


あ、これ新たに追加された『光属性攻撃』と『光属性防御』も中々に強いんじゃないか?だってこれ、通常攻撃は基本的に物理ダメージのみなのに、パッシブで光属性も一緒に発生するようになるんでしょ?んで、防御時には反撃………あれか、物理被ダメージに応じた光属性ダメージを自動反撃で与えられるのか。何だそれ無敵か?そんで『清廉潔白』は『清廉潔白』で精神汚染無効化とか汚染無効化とか言ってるけど凄いな。


確かこの世界の"無効化"ってのは、それが通用しなくなる………って訳じゃなくて、耐性と同じように、本来必要な出力の何倍は必要になる、みたいな効果のものなんだよね。耐性は何%って感じで上がっていったけど………無効化の場合、確か全て一律で本来のモノの100倍の出力が無いと貫通出来ないんじゃなかったっけ?精神汚染と汚染ってのがどんな状態異常なのかいまいち良く分からんが、何であろうと無効化出来るのは良い事だ。


全力〇〇系のスキルも中々に強いなこりゃ。浄化、癒し、回復、蘇生の魔術の効果を精神値に応じて上昇するんでしょ?これ、素の精神値10,000越えの私には素晴らしいスキルのでは?レベル0でもかなりの恩恵を受けられるんだし。しかもこれ。レベルアップするだけで更に魔術の効果が増してくじゃん。無敵かよ。


「術式系スキルは中々に反則ですわねぇ………」


消費技術60の大台に乗っている〇〇術式系のスキル。これ普通に凄いでしょ。お試しにうちの子達に魔術を使ってて思ったんだけど、魔術って複数同時に使えないし、使用できる対象が1人ずつだから軍団相手に使うのめっちゃ面倒なのね。それが多少なりとも改善されるの最高では?だってこれ、スキルレベル最大なら一回の魔術行使で10人同時に10個の魔術を同時使用出来るぞ?こんなんゲームであったら最強バフじゃん………しかもこれ、今の段階で浄化、聖浄、純化、治癒、再生、魂魄、回復、状態、蘇生、再臨って10個魔術あるから司祭系統の職業スキルだけで全部同時に使えるぞ!何なら私には防御、防壁、補助、強化、付与、耐性っていう6個もあるから更に選択肢が増えるぞ!今思ったけどこれ、もしかしなくてもこれ教会騎士系統の職業スキルの方が相性良いな?


「さぁて………くふっ、戦いですわ………!!」


とりあえず『女教皇』の獲得可能スキル一覧は獲得したので、こっからはまたレベルアップ祭である。レベル180にする為にはアンデットドラゴンを何千匹と殺し続けなければならないが、そんなもの、今の私には苦でも何でもない。むしろご褒美だ。無限に湧き出る魔物の群れを私1人で殲滅出来るんでしょう?あはっ!そんなのさいっこうじゃん!!


沸き立つ思考を身を任せながら、私は緑玉混じりの剣と共に走り出すのだった。











数時間後、いつもの様にレベル180を達成したので戦闘を終わらせて………と言っても、厨二病患者かというレベルで自分の本能の昂りを抑えながらではあったけど、兎にも角にも興奮してる思考を冷静に切り替えて、スキルも全部獲得した私のステータスがこちらである。



───────────────────

【個体情報】

階位 : 180

名前 : キングプロテア・スカーレット

種族 : 悪魔

年齢 : 17

職業 : 女教皇


【パラメーター】

生命 : 33,126

魔力 : 30,890

体力 : 23,766

筋力 : 16,566

耐久 : 29,346

敏捷 : 26,670

器用 : 20,000,000,000

精神 : 35,310

抵抗 : 29,346

幸運 : 16,566


【ポイント】

技術 : 0


【保有スキル】

職業:僧侶

職業:司祭

職業:教会騎士

職業:女教皇

───────────────────



なんかもう、ここまで来ると身体能力上昇が凄いよね。元の数値から数倍以上も上がってるパラメーターばっかり。パラメーターの上昇率を考えると、私の素の能力パラメーターは上位探索者相手だと通用しないかもしれないなぁ。器用さだけなら確実に勝てるんだけどね。なんせ、既に200億だぜ?しかもこれ、相手に同じ数値のマイナス掛けられるからね?器用さマイナス200億なんて、そんなんもう自力じゃ動けないっしょ。


「ジョブチェンジ」


まぁその話は別に今しなくても良いや。今は新しい職業の話をしようじゃないか。



───────────────────

【職業変更】

変更先の職業 : 女教皇

『能力補正値』

生命 : 147

魔力 : 137

体力 : 95

筋力 : 55

耐久 : 126

敏捷 : 107

器用 : 55

精神 : 137

抵抗 : 126

幸運 : 55


『ポイント上昇率』

技術 : 0


『変更可能な職業一覧』

戦士    : 肉体戦闘に秀でた初級職

魔術師   : 魔法戦闘に秀でた初級職

盗賊    : 探索に秀でた初級職

僧侶    : 援護に秀でた初級職

司祭    : 浄化、治癒魔術に秀でた中級職

教会騎士  : 防御、補助魔術に秀でた中級職

聖女    : 奉納に秀でた上級職

聖騎士   : 防壁、強化、付与、耐性に秀でた上級職

巫女    : 演舞に秀でた上級職

───────────────────



さぁて、私には上級職が三つ残っている。ちなみに上級職のもう一つ上である極級職というのもあるが、これは系統を問わず、四つの上級職のスキル全てを獲得した際に発現する職業である。これまで獲得してきた上級職四つをメインとして、そこに至るまでの偉業を踏まえて千差万別の極級職が現れる為、ハ型世界式ステータスでも数少ない、完全にオンリーワンなステータスや職業、スキルが獲得出来るモノでもある。最上位の探索者達はこの極級職に就いている事が多く、中には二つの極級職に就いている者も居るらしい。


そう、極級職は上級職を四つ極めるごとに現れるのだ。故に、職業を制覇していけば次々と極級職が現れ、三つ四つという極級職だって得られるだろう。そこに至るまでの研鑽はとても長いだろうが、到達した先の景色は未だ誰も知らない景色だろう。素晴らしいではないか。


話を戻すが、次の職業はどうしようかねぇ………相性で言うなら『巫女』とか良さそうなんだがなぁ。大人数にバフ配れるジョブは中々に強いっしょ。特に私の場合、どれだけ悪魔を創造して数億とかみたいな数になってもその全員に私のバフ載るんだぜ?絶対強いじゃんこんなの。


ま、今回は『聖騎士』かなぁ。『複写術式』と『並列術式』のスキルを手に入れたからバフ魔術の種類を増やしたいし。ってことで『聖騎士』にしよーっと。



───────────────────

【個体情報】

階位 : 0

名前 : キングプロテア・スカーレット

種族 : 悪魔

年齢 : 17

職業 : 聖騎士


【パラメーター】

生命 : 6,666

魔力 : 6,230

体力 : 6,666

筋力 : 6,666

耐久 : 6,666

敏捷 : 7,410

器用 : 20,000,000,000

精神 : 10,650

抵抗 : 6,666

幸運 : 6,666


【ポイント】

技術 : 0


【保有スキル】

職業:僧侶

職業:司祭

職業:教会騎士

職業:女教皇

───────────────────



よし、これで今日から私も『聖騎士』だ。だから何だって話ではあるけど、別に良いじゃろ?どうせ直ぐに違う職業にするし。


ちなみに数日前よりも魔力量の初期値が増えているのは、普通にイロ型世界式ステータスの方のステータスが伸びているからである。いやね、使うって意識するだけでイメージ必要ない魔術が楽しくて楽しくて………イロ型世界の魔法は繊細なイメージ必須じゃん?それとのギャップでめっちゃ使い易くってね………まぁ、そんなのを使いまくってたらそら伸びますよ。どっちにしたって魔力使ってるのは変わりないっぽいから。


あ、言っておくと権能の方は第九アップデート経由で魔力を消費してるからあんまり魔力量伸びの貢献にはなってないよ。というか、今私6000も魔力量あるけど、これでも権能展開の魔力量は足りないくらいだからね?生身で展開しようとするのは無理だっつーの。数秒で数十万もMP削れてくから第十アップデートの永久機関で魔力生成し続けてるんだぜ?まぁ、増えた魔力を使って新たに増設ってのを繰り返してるから保管してる魔力量はどんどん増えていくけれど、私本人から搾り取ってる訳じゃないから魔力量の数値の上がり方はそこまで激しくないんだよね。魔法使わない時は普通に上がらない時もあるし。


よくよく考えたら、何でイロ型世界の魔力とハ型世界の魔力に互換性があるの?うーん、やっぱり縁の全く存在しない世界に転移するのは無理だったか………?………まぁ、異世界転移に関しては長々と考えるべきかな。本当に私の世界と繋がりのない世界は世界で危険かもしれないから、実はこれくらい似てる世界の方が良いのかもしれないし………まぁそれはいいや。


「んー………今日は帰りましょう」


ソフィアとPCゲームする予定あるし、今日はもうさっさと帰ってゲームしよ。

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