やっぱり転移は人類の夢だよ。めっちゃ楽なんだもん


クリスマスの次の日から5日後の1月1日。とりあえずそんなん誰でも分かるだろうけど実際そうなのだから仕方ねぇ。朝一は去年と同じように日の出見たし、もうお正月的なイベントは完了したと言っても過言ではない。そして今現在、私はアリスと2人きりでカモタサの街、かの有名な投下交換の泉がある街にまでやって来ております。


ちなみにこうして街に来た方法だが、私が最近練習に練習を重ねた空間属性の魔法である長距離転移ハイテレポートを使ったのだ。短距離転移ローテレポートは術者の視界内限定の転移だったが、長距離転移ハイテレポートは術者の視界外への転移を可能とする魔法である。使う為には転移先を明確にイメージする必要があるので難しかったが、発想を変えるというか方法を変え、私はスマホの写真機能を使って転移先を激写しておいて、後から保存済みの写真見てイメージして転移、という方法を取ることにした。そっちの方が簡単だったし。その分長距離転移ハイテレポートを使用するのに1、2分くらいの時間が必要になるが、たった数分だけで転移による事故をかなり防止出来ると思えば充分だろう。むしろ最高まである。いしのなかにいるだけは避けたいからな………


また、長距離の転移で1番問題であった魔力消費問題も、第九アップデートと魔力パスを繋いで消費させとくだけでめっちゃ簡単に解決した。いやまぁ、今の私の魔力量なら、正直言って普通に使ってもカモタサの街くらいなら余裕で転移可能なんだけどね?それでもわざわざ第九アップデートから魔力を供給しているのは、悪魔炉心のせいで膨大とかいうレベルを超え始めた魔力を少しでも消費する為なんだよ。こうして使っていかないと本当に溜まりに溜まり続ける一方だから………まぁ、転移一回分だけじゃ全然足りもしないけど。多分宇宙の果てとかそういうレベルの転移を数万回くらい繰り返す必要あるけど。


「あそこにあるお店のパスタがとっても美味しいんですよ、アオイ。後で食べに行きましょう?特にペペロンチーノが美味しいんですよ。オリーブオイルとにんにくと唐辛子の味が上手くパスタに絡まってて、とっても食欲をそそるんです!」


「その食レポは食べざるを得ない。後で行こっか」


「ふふん、私がこれまでの職業体験で得てきた実績のお陰で味覚が鋭くなってますからね。食レポくらい余裕ですよ」


「やっぱり手広くやってる人は強いよなぁ」


やはりというか何というか、どんな分野の仕事をしていようと、他の仕事がどんな様子なのか、そこでどんな技術や経験を培う事が出来るのかなど、そういうのを知れるってのは充分にアドバンテージだ。更に言うなら、この世界には実績とそれに付随するスキルがあるから尚更だ。いやまぁ、元の世界にも似たような、というか多分同じようなシステムがあるのだろうが………そうでなければ私にも実績とか無いだろうし。後は、そうだなぁ。理というか、世界のルール?みたいなの?多分同じなんだよ。そうでもしなきゃ異世界転移みたいなのしないだろうし。


いやね?異世界転移の仕組みを解析してるとね、やっぱり分かることはある訳ですよ。私自身をモルモットというか、この場合はケース?入れ物とかの意味じゃなくてモデルケースみたいな方の意味ね。んでね、私自身の体験をモデルケースとして考えて、ついでに紫悠も一つのケースとするとね?分かることもある訳ですよ。別に対した研究とかしてないから確証は皆無だけど。


これは前にも言ったけど、世界を越える程の転移には、莫大などでは表せない程の魔力、神の如き時間と空間の適性、そして転移先との縁、この三つが必須だ。これは別に私を研究して得られたものじゃないけど。んでね?私を調べたりした時にさ、一個新しい発見があった訳ですよ。発見というか純粋な疑問?その疑問ってのは単純明快。


"私これどうやって異世界に転移したの?"


そう、これが私の疑問。私がどうやって異世界に転移したのか………それが分からない。莫大な魔力はまぁなんとかなるだろう。多分どっかから引っ張ってこれる。最悪無くても自然現象ならなんとかなりそうである。時間と空間の属性への適性は人間が使う場合に限るので、自然現象っぽい私の転移にはあんまり意味が無いだろう。なんせ、この世界でも時間と空間のおかしい場所があるくらいだ。多分行けるだろう。では、肝心の縁は?


そう、縁だ。縁だけがない。私は異世界との縁が無い。例え私の異世界転移が自然現象によるモノだったとしても、これだけは無いとダメだ。どれだけ空間と時間の属性を重ねても、縁も縁も無い場所に転移する事は不可能なのだ。事実、空間転移を行う際にも似たような事例がある。例えば転移先の絵を非常に正確に、まるで写真のような精巧さで描くとしよう。そして、その絵を誰かに見せて、その絵の先に転移しようとしたら成功するか?確かに、視界の外側へ転移する際に必要なのは明確なイメージだ。なら逆に言えば、明確なイメージさえあれば転移出来るのか?


答えは否。訪れた事のない場所に転移するのは不可能だ。これは別に私が調べた結果ではない。図書館にあった空間属性関連の本の中に書いてあったのだ。異世界転移について調べていた時に偶然発見した本だったが、割と重要な事が書かれていたので印象に残っている。しかも、何故訪れた事のない場所をイメージしても転移出来ないのか、その研究結果もかなり明確に記述されていた。その本によると、赤子の頃に訪れた場所を絵で見せてイメージさせると転移が成功する事から、その土地や街へ紡がれた縁のようなものが無ければ転移できないのではないか?という事だった。他人の転移に便乗してならば転移先の訪れた事のない場所にまで転移出来るが、それは転移の使用者と転移先に縁が出来ていたのであって、共に転移する者達は転移の使用者との縁を紡いで転移しているという見解らしい。


「アオイだって色々とやってますけどね」


「やってはいるけど魔法で遊んでるだけだしなぁ」


では、この世界と元の世界の持つ"縁"とは何か?人為的なモノでない限り、私の転移は自然現象。ならばそれを起こしている自然そのもの、世界そのものが異世界との縁を紡いでいなければならないとするならば………その縁とは、一体どんなモノなのか?


そうそれは、世界のルール。世界の理。例えば物理現象。物を掴み、手から離したら、物は落ちていく………誰でも知っているような万有引力。例えば種族。超長距離移動に長け、高い知性を持ち、社会を作り、後世に多くの知識を残す事で生存してきた、人間という種族。そして、世界のルール。その世界を構築する根幹のシステム。実績やスキル、そしてステータスなどの、あらゆる生命体に適用されるルール。多分そういう、元の世界とこの異世界とで関連しているような事柄が、世界と世界を越えるゲートのようなナニカを繋ぐ為の縁なのだろう。というか、今の私の知識ではこれ以上の見解を見出す事が出来ない。私はどこまで行っても所詮は一般人なので、私以外の頭の良い人の研究結果を継ぎ接ぎにして考えるくらいしか出来んのだ。


「遊んでるだけであれだけの魔法を扱えるなら、きっとアオイは魔法を使う才能があるんだと思いますよ」


「どっちかってーとアニメとかの影響かなぁ」


私の足りない想像力やイメージ力を映像作品で補っている感は否めないってか、むしろ映像作品だけでなく、普通に書籍とか本とか文章とかの作品からもアイデアとかイメージとかで補っている。補っているというか半ばパクっているモノもある。でもまぁ、私1人で足りないのなら、私以外から持ってくりゃ良いのだ。元々人類なんてそんな風に知識を積み重ねて積み重ねて積み重ね続けてきた種族なのだから、やってる事自体はそんなに間違ってないだろう。多分。いやまぁ、これでお前は間違ってる!とか言われても上手い返しが思いつかないのでやめてもらいたいが。単純な口撃で師匠とか以外に負ける気はしないが、難しい理論をこねくり回されながらの会話は負ける気がする。自分の得意分野に持ってきたらそりゃ強いのは当たり前なんじゃけど。


そんなん言ったら私も魔法関連の話だったら割と出来ますし。特に、本来適性の無い属性を再現するとかいう分野に関しては、【擬似再現者】とかいう実績を手に入れるくらいには得意ですとも。今のところ再現に成功したのは、契約属性を利用した擬似時間属性と、妖属性と光属性と影属性と契約属性を利用した擬似回復属性くらいだが。確かこういのを『魔術』と呼ぶのだったか。確か魔術とは、魔法ではなく、魔法を構築する為の理論や技術の事、とかだった筈。例を上げるなら、契約属性の隷属印や召喚陣はこれに当たるべきモノであるらしい。今では一般的な魔法としても認知されてはいるが、まぁ確かに印を付けたり陣を作ったりするのは元々の契約属性には無さそうではある。ちなみに魔術の正式名称を、『魔力技術』という。そして擬似的な時間属性と回復属性は、範囲的には充分に魔術の範疇だろう。魔法を構築する為の理論ってのは間違ってないし。


でもまぁ、これまでもずーっと手を加えてきてはいるけど、擬似時間属性の方はどうしても現在時刻の確認以上の事は出来ないし、擬似回復属性の方も怪我の治療は出来ても病気の治療は出来ないから、別に属性の完全再現って訳でもないんだけどね。いやまぁ、アプローチの方向を変えたりして、例えば時間確認しか出来ないモノとは別に時間操作が出来るように再現したモノを組み合わせて擬似時間属性とし直しても良いし、回復属性の方も怪我を治すモノではなくて病気を治すモノを作って混ぜてしまって擬似回復属性とし直しても良いんだが………今のところ特に必要じゃないからなぁ。正直に言って今のこの状況ですら大分凄いのよ?


や、だってね?時間属性と回復属性を再現してる時点で結構凄いのよ?炎とか氷とかの基本属性で他の基本属性を再現するとかは本とかにも良く載ってるんだけど、特殊属性を再現するのってめっちゃ難しいんだよ。なんせ、元々特殊属性ってのは適性が無いと簡単な魔法すら使えないような属性ばっかりなんだぜ?そんな中で私は適性なんて皆無な時間属性と回復属性を再現したんだぜ?そりゃ普通に凄いやろ?凄いやろ?褒めてもよかよ?いやまぁ、別に誰にも言わないから褒められる訳でも無いっすけども。それに既にアリスとかレイカとかフェイとかに褒められてるし。一回ミナと店長さんにも自慢したけどピンと来てなかったから、多分よく分からんかったのかなぁって思う。あぁ、マスターと妹様に自慢した時も褒められたっけ。後はフォージュさんとかブレイブさんとかミゼルとか………あぁ、それとリリーさんとコルトさんにも褒められたような。後誰だ………あ、マリンちゃんとか?後はそのお母さんのフェリスさんにも褒められたような………


ダメだ。もう出てこねぇ。私の交友関係と記憶力じゃこんなもんらしい………あ、紫悠の事忘れてた。あいや、でも別に褒められた記憶無いな………待てよ?そもそも私は紫悠に擬似再現の自慢した事あるっけ??………無い気がするけど、まぁ別にそれはそれで良いか!なんかあいつはあいつで自分の道突っ走ってるっぽいし。魔獣を作りまくってる辺り、多分いつか魔王とか呼ばれるんだろう。この世界普通に魔王様居るけどな!そうなると不敬だから魔王って単語を借りて、そうだな………獣の魔王とか呼ばれるのかな?それか、なんだろう。毒を多用するイメージがあるからな………陰でベノムクリエイターとか呼ばれてねーだろうな?なんかあいつ、妙に毒物に詳しいし………好きなのかねぇ。実績で【病毒の王】とか獲得するくらいには好きなのかね?あいや、あれはどっちかってーと生まれた瞬間に手に入れたモノっぽいけども。


「む、そろそろ投下交換の泉が見えてきますよ!幸運の準備は良いですか、アオイ!」


「安心しなよアリス。私は物欲センサーの申し子………私が望むモノは──決して出てこない!」


「ダメじゃないですか?!」


私、ビギナーズラックはなんでか知らないけど普通にあるんだがなぁ。ソシャゲもある程度ハマって、そっから欲しいキャラが出来てから途端に出てこないから不思議である。やっぱり物欲センサーは普通にクソ。


………まぁそんな事を考えていても建設的はないので、こほん、では改めてこのカモタサの街の名物であり観光名所、『投下交換の泉』の説明の確認をば。まず、この泉に価値のあるモノ(投げ入れた人の価値観による)を投入すると、その価値に応じたアイテムやユニークスキル、果ては種族や適性なども出てくるという、正しく神の泉なのである。この泉から出てくるモノは確か、ある価値のあるモノと同価値のモノから100倍の価値があるモノ、までだった筈だ。後、価値あるモノの投入時、それらを袋とかに一纏めにして泉の中にぶち込むと、中身を基準として価値の判定をするらしい。前回も居たような気がするが、今日も今日とて金貨を袋に詰めて次々にぶち込んでいく集団があるのは、何というか普通に怖い。いやしかし、あれがガチャ廃人の末路って事よな………怖いなぁ。言ってしまえばこの泉、課金したら強いアイテムとかユニークスキルが手に入るとかいうガチャだしなぁ。下手したら私もハマりそうでこえーよ。


いやね?ゲームの課金ってのはさ、それって結局の所、現実の生命活動において何の価値も無い訳じゃない?別に無くても生きていけるモノだし、しない方が使えるお金が増えるまであるじゃない?でもさ、この世界のガチャは、投下交換の泉は、別にそんな事無いんだよ。それをする事で、ガチャをする事で、この世界で有利に立ち回れるようなアイテムとかユニークスキルとか、更には才能や種族まで手に入るモノなんだよ。しかも確率によっては投げ入れたモノの価値の100倍までを叩き出せるんだぜ?そりゃあんな風にガチャ狂いみたいな所業をする集団も生まれる訳だわな。しかもガチャ結果のアイテムとかを売却するようなルートを確立出来てるんなら、実質無限だしな。だって出てくるモノは同価値のモノか価値が高いモノだし。同価値なら売って同じだけ得るだけだし、価値の高いモノなら更に売ってしまえばいい。お金を手に入れる無限ループかよ。


………いやまぁ、いくら同価値から100倍までの価値って言っても、それが危険なモノでは無いのかと言われれば、別にそうでも無いんだけど。触れた生物を殺すペンダントとか、あらゆる呪いをランダムに発生させつつ外せないチョーカーとか、果てにはデメリットだらけのユニークスキルとか、マイナス方向に振り切れた適性とか、毛虫とかの種族を引き当てる可能性だって、普通にあるのである。


この泉は神の試練・・・・・・・・なのだ・・・。恩恵ばかりを与えてくれる都合の良いモノではなくて、どこかの神が社会を構築するような生物に対して与える試練なのだ。己の価値あるモノと幸運さをベットし、引き際を見極め、どれだけの恩恵を得られるか否かの判断力を身につける、ギャンブルなのである。


………ちなみに、この説明はさっきアリスにされたものである。普通に初耳なんだが、私が覚えていないだけという可能性もあるのでよく分からん。でもさっき説明を聞いたのは本当。個人的には初耳だと思うんだけどどう?脳内で語りかけても返事はねぇけど。というか今日年明けだし、これ実質初詣みたいなもんでは??神社も泉もそんな変わらんやろ(適当)。


「うーん、ヤバそうなのが出てきたらどうしようかなぁ」


「金貨1枚以上でなければ大丈夫ですよ。デメリットのあるモノは珍しいという意味でも、その効力という意味でもかなり価値が高いんです。金貨の100倍以上だそうですよ?」


「へー、なるほど」


じゃああそこで金貨の袋詰め投げ込みまくってる集団はヤバそうなデメリットと戦いながらぶちこんでるのか………すげー。ガチャ廃人すげー(小並感)。もしかしたらそういうお仕事なのかもしれねぇ。どっかの大貴族か大商人かは知らないけど、こう、代理で投げてもらって手に入れたアイテムを貰って売る、みたいな。雇用条件に幸運上昇系スキル持ちとかありそう。


「では投げ入れていきましょう!私は今回金貨100枚を1枚ずつ投入する予定です!」


「私は金貨79枚を1枚ずつ投下するよ。179枚だと微妙だしね」


どうせなら100枚丁度にしたいよね。それか200枚。最悪お金無くなってもレイカにおねだりしたら大丈夫そうじゃない?まぁ娘にお金集る親って普通にゴミカスだし、その場合何かしらの罰ゲームとかやらされそうだけど。レイカは私の分身(40%くらい)っていう存在なので、多分思考回路の方向性は同じだと思うんだが………私だったら、多分………うん、多分本場のメイド服着せて、本気の『萌え萌えキュン♡』とかやらせるかなぁ………ほら、私、メイド喫茶のそのサービス受けた事無いからさ。受けられそうなら受けてみたいじゃない?でもさ、今は元の世界に戻らないと出来ないし、そんなら身内にやらせたいよね。


「では!せいやーっ!」


「元気良過ぎなんだよなぁ」


今のアリスは未知のアイテムが手に入るかもしれないという好奇心で興奮しているらしく、今日も今日とてテンションが高い。いつも思うけど深夜テンションみたいだよね、こういう時のアリスって。興奮のせいで振り切れてる。私がアリスだったら後から精神ダメージ受けそうなレベルで振り切れてる。


あ、ダメージで思い出したが、『自動認識外攻撃防御アップデート』、別名第二アップデートを改良したんすよ。元々は私が認識していない攻撃に限って全自動で防御する魔法なんだけど、最近の諸々を加味して、魔法破壊効果のある魔法とか攻撃とか干渉とかを自動防御時に発動される結界バリアの連続発動により強引に無効化するという機能を追加したのである。いやね?私は前まで冒険者ギルドの地下室で攻撃魔法(大抵光線フォトンレーザー)をぶっ放してた訳なんですが………プラクティススペースを手に入れてから、改めてあの地下室の防御能力を思い知ったんだよね。


なんでか知らんが私の攻撃魔法(主に光線フォトンレーザー)には魔法破壊効果が付与されているらしくって、そのせいで地下室の防御用を魔法道具を何度も何度も破壊(ほぼ光線フォトンレーザーでの戦績)していた私ですが………もうね、最近の地下室は魔法破壊効果を80%くらいカットして来るわけですよ。だからそんなに思ってなかったんだけど………当たり前なんだけど、私の魔法使いとしての能力も強化されてる訳よ。分かる?素人の時で充分な大破壊をしてた地下室が、既に素人でも何でもない場所に来た私の全開火力に、地下室が耐えるんだぞ?この意味が分かるか??


そう、プラクティススペースの中で光線フォトンレーザー使うとヤバいんだ。破壊力とか諸々が。事前に想定していた数千倍くらいの威力を発揮したんだよ。プラクティススペースの内部だから良かったものの、リアルな現実でうっかり使ってたら都市の一つや二つくらい即座にじゅわっ、って消滅させてた可能性があるくらいには火力がエグいことになってたんすよ。しかもプラクティススペースって出て入るだけで地形が元通りになる筈なんだけど、私が全力の光線フォトンレーザー撃った所だけ地形再生の効果が目に見えて遅くなってるのよ。2、30回くらい出入りを繰り返してやっと再生するくらいにはヤバいのよ。私が冒険者ギルドの地下室で攻撃魔法もとい光線フォトンレーザーを使い続けた結果、光線フォトンレーザーの熟練度みたいのがあり得んくらい爆上がりしててヤバい事になってるのよ。


でもね?そんなエグい私の光線フォトンレーザーを耐えて、しかも自動で再生するとかいう効果を持つ地下室があるんですよ………そう、冒険者ギルドの地下室(半ば私専用みたいになってる所)です。何というか、改めてあの場所の凄さを実感したよね。神の試練から出てきたアイテムでもちょっと壊れたんだぜ?いや後で直ったっぽいけど、それも2日くらいかかったんだよ?でもあの地下室、私の全力光線フォトンレーザー撃っても威力80%減少且つ、30分くらいしたら全部元通りなんだぜ?何かもう色々とエグいだろ。耐久性あり過ぎて気持ち悪いくらいだ。しかも私が未だに冒険者ギルドの依頼(めちゃめちゃ簡単な初心者用みたいなやつ)を受けた後に気晴らしみたいな感じで使ってるせいか何なのか、更に性能が向上してってるからな。


最近は冒険者ギルドに行くとリエルさんに手を引かれてというか引っ張られてこちらへどうぞって感じで地下室に案内されるからね。前まで地下室壊してたらリエルさんに怒られたってのに、今ではもうニコニコで案内されるからね?ちょっと怖いのよ。なんかもうね、冒険者ギルドの技術班みたいなのが私の全力の魔法を完全に防げるようになりたくて仕方がないみたいでね。


というか、なんか最近冒険者ギルド行ってちょっとどんな依頼があるか詳しく確認してみたら『地下室の耐久テスト』みたいな依頼が貼り付けてあったからね。その依頼書の端に(アオイ様はギルド建物内で見つけ次第強制参加)って書いてあったし、しかも私の全力魔法を完璧に防げるようになったら私に報酬くれるらしいから。なんか私の知らない所でそんな話がされてて怖いのよ。


「せりゃーっ!」


「あ、リザルトは後で一気に確認するのね」


隣で金貨を投げ入れては出現したアイテムを麻袋に詰めているアリスの姿を見て、リザルトを後で一気に確認する気なのであると察した私は、隣で同じく袋詰めにしていくのでした。

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