建築できるタイプのゲームって割とセンス出るよね
外に薬草を取りに行ったり、私の始まりの地(仮)に行ったりした日の2日後。今日の私はアリスと一緒に出かけてる最中だ。一体何をしに来ているかって?私も知らん。とりあえずアリスに行きますよ!って言われて着いてきただけなので。ちなみに服装はいつもと同じ宿の制服である。ミナには流し目で見られたが、私だってこれでも自己中。それっぽっちでは動じはしない。いやね?別に着る服には困ってないんだよ。常に宿の制服着てるから………なんかね、この世界で既に1年以上宿の制服姿で日常を過ごしてるからか………制服姿に慣れたよね。多分元の世界で1ヶ月メイド服生活とかしてももう動じないよね。私もう既に似たような事してるから。
ま、服ってのは個々人の好みで着るものであって、誰かに勧められたお洒落でセンスのある服装より、私だけが好きな服装ってのでも私は全然良いわけよ。世界の何処かにいる誰かさんが言うお洒落で綺麗な服装よりも、世間の人々が良いなと思うコーディネートよりも、私は私の好きな服を着たいのである。だって、服っていうのは自分という一個人を着飾る為だけのものだ。他人に迷惑をかけない為に流石に身嗜みには気を付けるが、その上でどんな服を着ようがそれは私の勝手である。だから宿の制服着てても許して欲しいなぁ。ダメ?まぁダメって言われてもやるけど。
「アリス、私らは一体何処に向かってるの?連れてこられてそのままだからよく知らんのだけど………」
「何処に向かってるのか、ですか?うーん………内緒、ですかね?」
「あら、珍しい」
「珍しい………ですかね?」
「まぁ滅多にないよね」
だって、ねぇ?なんせアリスさん家の真理の瞳ちゃんは、隠蔽隠匿欺瞞に夢幻、嘘偽りも虚構も虚飾も、現実改竄だろうと情報汚染だろうと何だろうと、それが世界の真実で無ければ欠片すら認識できない瞳だぜ?そんな真実の化身みたいな人が隠し事とか。ちょっと珍しいよね?ま、私が何も聞いてないから言ってない、みたいな所もあるんだろうけど。だってなぁ、確かにアリスの事は気になるよ?何で王宮地下に幽閉されてたの?とか、アリスの本名は何?とか、こうして一緒に居ても知らない事はあるんだよね。特にアリスの過去はよく知らないし。まぁ、私も特に自分の過去とか話したい訳じゃないからアリスの過去を知る気も無いけど。過去を聞くなら話すべき、というのなら、話さなければ特に聞かなくても良い、って事だものね。まぁ教えてくれるなら聞くけどさ。
それはそれとして、内緒とは何なのだろうか。いや、だって、気になるじゃない?教えてあげないって言われると知りたくなるのとおんなじだよ。それか入っちゃダメって言われる方が入りたくなるみたいな感じ?やっぱり人間は禁忌と呼ばれる程に知りたくなる生き物なんだろうなって思っちまうよなぁ………元の世界でも科学的な禁忌がありそうなのは勿論だけど、この異世界だと魔法的な禁忌も普通にありそうなのがやべーよね。特にオリジナル魔法とか。ほら、だって、ねぇ?私がちょっと考えたことのある悪辣で凶悪な魔法ってだけでも充分に禁忌だぜ?
例えばさ、自分以外の人間の脳をフルに使いつつ並列で稼働させてネットワーク経由の超巨大演算機として活用して魔法使用の補助を行わせる魔法とか、空間を切り取り異空間を生成しつつ内部における現実値を極小レベルにまで低下させて解し殺す空間を形成する魔法とか、衛星みたいにこの惑星と宇宙の狭間付近からただただ広範囲超威力狙撃を行うだけの魔法とか、あらゆる生物を取り込みその機能を再現したり利用したりしつつもあらゆる物質を取り込んで純粋な生物的機能を強化したりして無限に強くなり続ける生物を作る魔法とか………私がちょっと考えつくような魔法の羅列だけでも、十分に禁忌でしょ?ついでに言うなら今の私だと普通に核爆弾とか魔法で作れるから惑星破壊とかも捗るね。やべーわよ。
「まぁ何にしろ、着いてくだけ着いてくよ。アリスの事だから変なものではないだろうし」
「んー………変なもの、かは分かりませんが………少なくとも、危険ではないですね」
「うーん、何じゃろ」
危険ではないが変かもしれないって何?うーん、分からん。むしろこんだけの情報で分かる方がやべーよ。
「安心してください。きっと喜びますよ?」
「私が喜ぶような何かとは………?」
なんだろう………お金の山でも用意したのかな?いや、そもそも何で私はそんなサプライズプレゼントみたいなのを受ける必要が??今日は確か………うん、12月8日。私の誕生日ではないし、何か特別な事があった覚えも私が覚えている限りでは無かった筈なのだが………?なんだろう。私、何かしたっけ?それとも、日にちとか関係なく何かのお礼とか………?でもお礼されるような事された覚えがないのだが………本当になんだろうか。あいや、そもそもプレゼント系列の何かでは無い可能性もあるな?こう、なんか………なんだろう………特に他に喜びそうな何かが浮かんでこねぇけど、なんかあるっしょ?なんか………うーん、動物系………とか?なんかこう、猫の溜まり場みたいなとこに招待してくれる、みたいな………?いやまぁ、なんせアリスの真実しか見えないとかいうこれ一つでラノベ一本書けそうなくらいチート級な瞳と、猪みたいな勢いで自分の好奇心が燻られるモノに対して猪突猛進天下無双みたいなアリスなら、そういう所くらい簡単に見つけてきそうだし………まぁ何で行き先を内緒にするのか分かんないけど。雰囲気的にはサプライズ!って訳でも無さそうなんだよなぁ………?なんだろうなぁ。
そういやラノベで思い出したけど、なんかアリスは私の居ない所でラノベみたいな事してるらしいっすね。具体的にはラノベの主人公みたいな事してるらしいっすね。レイカとフェイと一緒に違法奴隷の子達を助ける為に街の外にあったアジトに乗り込みに行ったり、フォージュさんとミゼルとリリーさんと一緒に邪神とかいうの召喚しそうになってた宗教を潰しに行ったり、アオナお姉ちゃんとコルトさんと一緒に男性厳禁な街で行われている負けたら奴隷行きとかいう違法闘技場で優勝してきたり、ミナとマスターと妹様と一緒に料理で有名な街で行われた料理大会で準優勝してきたり、なんかもう話を聞くだけでお前は何処のラノベ主人公なんだとツッコミたくなるような波瀾万丈な人生を送っているからな………なんでか私と一緒の時は事件に巻き込まれたりしないらしいけどな。私は確保収容保護対象か何か?マジで私と一緒にいる時だけ何も起こらないの謎なんだよなぁ。そういう因果でもあるの?
………あぁ、そいや後なんか分からんけど悪事を働いてた(主に拉致、強姦、監禁)男神殺したりもしたらしい。私の相棒が知らぬ間に神殺しになって帰ってきて帰宅1発目の声が神様殺してきました!だった時の気分が分かるか??宇宙猫だぞ。ちなみに殺害の具体的な内容だけど………なんかね、神様を一瞥したら死んだらしいよ?何でも、その神様は欺瞞を司る神だったらしくてな?アリスの真理の瞳との相性があり得ないくらい悪かったらしく、欺瞞も見ることのできないアリスは欺瞞の概念そのもので構成されていた欺瞞の神様相手へ特攻攻撃を繰り出してしまったらしい。まぁつまり、あざむく神だったから暴かれて死んだ訳だ。自分の存在そのものを完全に否定されて更には無理矢理その真実を見抜かれたから。まぁつまり、アリスは虚飾とか隠蔽とか隠密とかそういう嘘偽りとかに関する類の神に対する特攻&特防持ちだったらしい。なんかもう私の知らない次元の話でヤバイわね。
「あ、着きました」
「着きました??」
めちゃめちゃに裏路地ですが??連れてこられるがままに歩いてたら普通に裏路地に連れてこられましたが??なんか行き止まりに一枚の扉があるみたいな場所ですけど、え、何ここ。なんかアリスが、え?三味線?みたいなの取り出して、え?何々??ここで置くってことはここで弾くんですか?!
「んんっ。神聖なるモノよ、我が意に応え世の理を開き給え」
なんかアリスが突然三味線ポロロンし始めたかと思ったら謎の詠唱みたいなのしてる………えぇ………?どゆこと………??謎の儀式始めないでもろて………なんて考えていたら、行き止まりにあった扉からガチャっと音が………えぇ?何その謎ギミック。ゼから始まるお姫様の伝説かよ。謎の宝石みたいなのが通貨のやつ。え、マジで何?スマホ経由で定番のギミック解除SE流せるけど流した方が良いのかなこれ。
「ふぅ、開きましたね。それじゃ行きましょうか」
「え、はい」
マジでその先に行くの?いや行くのは別に良いんだけど、え、マジで行くんですか??なんかアリスが扉を開けたら扉の先に広がってるのが
「え、何今の謎ギミック」
「え?あぁ、えーと、後で教えますね」
「知ってるんだ………」
「教えてもらいましたからね」
むしろ今の謎ギミックの事を知っている人が居るの??それはもう情報通とかじゃなくて全知全能とかいうレベルでは??それどうやって見つけたんだよってレベルのバグ技、もしくはそれどうやって見つけられるんだよってレベルの隠しギミックかよ。マジでRTA動画見てると毎回思うんだけど、そのバグ技は一体何処の誰がどんな経緯で見つけてきてるんだよと。私もたまになんかバグ見つけられないかなーって思ってあちこちで色んな事をしたりするけど、マジでそんなんじゃ絶対に見つかんないんよ。
そうして謎ギミックで開いた明らかに転移ゲート的な扉を潜ると、そこに広がるのは一面の草原。そして木々。山々もあれば遠くには海も見えるし、なんなら川も奥の方で流れてたりする。
「アリスー、設定終わったよー」
「あ、終わりました?それじゃあ行きましょう!」
そんな感じにアリスに手を引かれて謎の異空間的な世界を動く事1時間ちょっと。平原を越えて森の中に入り、その森の中で一軒の小屋へ到着した。
「目的地はここ?」
「はい、そうですよ」
「ちなみに誰か居たりする?」
「特に居ませんよ?」
じゃあいっか!………それはそれで良くない気がして来た。
「それで、えーっと?ここは何なの?」
「ふふん、気になりますか?気になりますよね?」
お、なんかアリスが得意げだ。なんだなんだ。
「この世界はですね、私達の他には誰も居ません。勿論、他の誰かが入ってくる事もありません。また、この世界で行われた破壊や創造などのあらゆる変化は、この世界から出る事で全てリセットされるんです」
「ふむ?つまり?」
「ここならアオイの魔法を放ち放題ですよ!」
「あぁ、なるほどね?」
FPS系のゲームによくある射撃練習場的な感じね?
「ここはですね、カモタサの街にある投下交換の泉で手に入れた魔法道具の世界なんです!魔法道具である扉の前で事前に決めた行動を行うとですね、なんと!この世界が開くんです!凄いでしょう?」
「うん、めっちゃ凄い」
素直に凄いね、これは。
「それは良かったです!事前に扉を路地裏に置いておいたのが功を奏しましたかね?あ、勿論後で部屋に置いておきますからね!」
あ、そうなんだ。って言うかサラッと流したけどさ、アリスが見知らぬ時に投下交換の泉でめっちゃ良い物入手してるね………この前も割と凄い盾手に入れてたし………アリスって割と幸運だよなぁ。
「それで、アオイは喜びましたか?」
「うん。めっちゃ喜んだ」
私の反応は淡白なものの、内心というか私の理性的且つ客観的な部分ではかなりの有用性を喜んでいる自分が居る。つまり心の中でもめっちゃ喜んでるよサイコー!って事。ここならどんだけの破壊を齎しても外に出たら元に戻るんでしょ?今まで広範囲を破壊し尽くすから使えなかった光属性とか雷属性の魔法とか、使用後の影響と破壊力があまりにも怖過ぎて使えなかった放射線属性の魔法とか、ちょっと軽い気持ちで使っちゃうと国一つくらい落とせそうな毒属性の魔法とか、ただただ大地を複製して圧倒的質量で圧殺する影属性の魔法とか、音属性と空間属性で空間という概念そのものを振動させて空間歪曲による大規模破壊を引き起こす魔法とか、妖属性と深淵属性の組み合わせでその辺の羽虫だろうがなんだろうが強制的にSAN値が減りそうなタイプの禍々しい生物に変身させる魔法とか、とにかくこれまでだと広さとか影響範囲とか人目とかを気にして使えなかった魔法使い放題って事でしょ?最高じゃん。
というかあの投下交換の泉、こんな便利なアイテム出てくるのか………私も後一回くらいお金投げてこようかな………?まぁ仮に使えなさそうな道具が出てきてもあんまり問題無いしなぁ。元々絶対に使わないのに魔法道具買い込んだりしてるし。特にシェイブカッターな!あの割と高性能な魔法道具、ほぼ使ったことないんだよ。一回くらいなんかで使ったような………使ってないような………とか、割とそんなレベルで使ってないんだよな。まぁ持ってるだけで、ほら、いつか使うかもしれないから。まぁ多分絶対使わないけどな、あんなの。買ったものとか手に入れたものを都合良く使う機会が訪れるのは物語の主人公だけだから。
あいや、別にあの投下交換の泉から出てくるのってアイテムだけじゃないっけ。事実私の無窮の瞳とかバリバリにユニークスキルだし。正直、無窮の瞳が手に入って便利になった事はあるにはあるけど、マジで些細な変化なんだよな………いやね?凄いんだよ、効果は。瞳に対するあらゆる干渉の無効化だぜ?物理も無効化、魔法も通じない、感覚の部分にはなるけど多分現実の改竄とか存在の改竄とかみたいなレベルでも無効化出来るし、多分破壊神とかそういう類の存在の権能も無効化出来るかもしれない。恐らく世界が終わった後も瞳だけは無傷であり続ける可能性が大だ。でも瞳だけなんすよこの効果。使い道が皆無〜。
「あ、今回は初期値を平原の真ん中にしましたけど、今度からはあの小屋の中にしますからね。私も偶に使ったりするので、あんまり危険な事をする時は小屋から離れてくださいね?」
「了解。流石にそれくらい出来るよ」
「アオイは集中すると周りが見えない事、割とありますからね」
「アリスさんに言われたくねぇなぁ」
アリスさんはいつでもどこでも、好奇心の、赴くままに、まっしぐら。じゃんね?なんかノリで五七五しちゃったけど周りが見えてないのはアリスも同じなんだよなぁ。
「むぅ、最近は落ち着いてきましたよ?」
「ほんと〜?」
「はい!ちゃんと危険な場所に突っ込む時もアオイの自動防御魔法を参考にした自動防御魔法があるから大丈夫です!」
「ダメじゃん」
むしろ私よりダメじゃん。アリスの自制心が弱過ぎる。
「前よりマシなのでOKです!」
「前は?」
「前は危険でも生身で突っ込んでなんとか対処してました!それはそれで違う楽しさがありました!今度やるつもりです!」
「はいはいやめてねー?」
「えー?!」
それは一歩間違えたら死ぬのよ。
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