もうね、引きこもりだから外出たくないのよ
私が魔法の確認をしたりキセルを作ってたりしてた日から3日後。特に何事もなく日常を過ごしていた私だったが、ある重大な事に気が付いてしまった。
「………1番初めのウロボロスメタル………あれ、多分もう不壊化してるよな………」
そう。1番初めに作っていたウロボロスメタル。あれは
「はい」
はいじゃないが。いやー、やらかし案件かなーとは思っていたが、マジでやらかしてたとは。まぁつまり、私の
「って訳でこのインゴットの使い道を考えて貰います」
「お母さんそれマジで言ってるの?」
「!?、!!」
「うーん、使い道ですか………迷いますね。幾つかありますが………何から言いましょうか?」
「アリスお姉ちゃん、もう思いついたの?凄い!」
「使い道、あるかなぁ………?」
てな訳で、私の身内判定をしている者共に集まってもらって、このインゴットの形した絶対に壊れないやつの使い道を考えてもらう事にした。具体的な参加者は、アリス、レイカ、フェイ、マスター、妹様の5人+愚かな私だ。ふっ、なんとでも笑うがいい。私は超希少金属を無駄にした男………まぁ自分で作ったやつだから誰かにどうこう言われる筋合いは皆無だが、それはそれとしてめっちゃ貴重な金属無駄にしたよね、って………私は悲しい。
「アリス、何か意見が?」
「はい、幾つか」
「なんでこんなのの意見が幾つも出てくるの??」
「偶然でしょうか?」
偶然かぁ、そっかぁ。ありすはすごいなぁ(脳死)。
「それで具体的な案は?」
「はい。まずは鍛治関係なんですが、融解点の非常に高い金属用のインゴットの型を取るのとか、小さめではありますが摩耗しない金床として使っても良いです。あ、工夫すればハンマーとしても活用出来そうですよね」
なんかもう意見が沢山出てきたな。
「それと、今度は冒険者関係なんですが、絶対に壊れないとなると良い魔法の的になりそうですよね。特にアオイが使った方がいいと思います」
「あぁ、それは確かに」
絶対に壊れないってんなら私の攻撃魔法ぶち込んでも平気だろうしな。まぁ大きさが小さ過ぎるので結局は外では使えませんが。
「今のところ思い付いたのはそれくらいでしょうか」
「うむ。良い意見を出してくれたアリスは、今度どっか一緒に行こうね。私が奢るからなんか食べよ」
「いいんですか?お言葉に甘えて好きなものを食べさせてもらいますよ?」
「どうぞご自由に食べてもらって構いませんよ」
金は割と余ってるしな!必要以上に外に出ないからまぁ仕方ないと言えば仕方ないんだけども。
「え、ずるーい!お母さん、私も意見あるよ!聞いて!」
「!!、!!」
「あっえ、アオイさん!私もある!」
「ずるい!アオイお姉ちゃん私も私も!」
「うむ、順番にどうぞ?」
やはり食いついてきたか。くっくっく、我が身内の子供達が甘味に弱いのは知っておるわ………そして、マイベストパートナーであるアリスがこういう知識の必要な場面で突出して役に立つのも知っておる。ならばこの手を使わない手はなかろう。私が最も信頼する相棒であるアリスをダシにして、他四人の妖精ロリ組の柔軟な発想を貰おうではないか!ふははははは!………はぁ。テンション高いの私に向いてねぇ。でもまぁ、そういうことだ。アリスを使って他4人を釣る………これが海老で鯛を釣るってことだな。
「えっとね、私は投擲武器とかに使えると思う!壊れないなら本気で投げても壊れなさそうだし!」
「ふむ、なるほど。他にはあるかい?レイカくん」
「まだ、まだあるよ!盾!盾とかどうかな!投擲武器と併用するの!壊れないならそういう使い方もできるよね?」
「!!、!!」
「フェイが何かしらの目印にも使えるかもって言ってる!ほら、壊れないから!」
「うむうむ、よい意見じゃった。今度二人とも奢ってやろう。フェイには魔力かな」
「やった!わーい!よくやったフェイ!」
「!!、!!!」
うむうむ、Sランク冒険者二人組はやはり冒険者目線の話になるな。まぁ投擲武器って言ってもこのインゴットの形で使うのか?投げにくくね?とは思ったが、まぁレイカなら出来るんだろう。この子の身体能力は凄いからな。いやマジで凄いよこの子。キングプロテア・スカーレットの私と同じ、もしくはそれ以上の身体能力だからな。その分魔法は本当にからっきしではあるが、フェイが基本常にレイカの側にいるから、魔法使えないとかいうデメリットほぼ無いも同然だし。むしろ身体能力特化と魔法特化の二人のシナジー良過ぎてヤバいよね。ソシャゲで例えるならほぼどんな敵構成でも連れてける万能パーティーメンバーみたいな感じ。強敵相手でもいいし雑魚相手でもいい。耐久も出来るし速攻もできる。うーん、隙がなさ過ぎて全身に眼球付いてそうなくらい隙がない。多分全身の眼球からレーザーでも照射したりするんだろうな。隙がない上に攻撃性能も堪能とは………完璧な布陣過ぎるぜ。あいや、例え話だよ?
「はい、はい!アオイお姉ちゃん!私はまな板とかにも使えると思う!ちょっと使い辛いかもだけど、壊れないからどんなに勢いよく使っても大丈夫だよ!」
「ほむ、なるほど。まな板ね」
インゴットの形をしているので些か使い辛いかもしれないが、形状的には十分に使用可能なレベルではある。角の方が割と丸めだが、面自体はかなり平面だしな。まな板にしちゃ分厚いが。………まな板で分厚いってそれただのデブでは??いや失礼、これはただの思考なのでもし誰かがこの言葉を聞いていたとしても聞き逃して貰いたいなぁ。この世界だと唇の動きを読む方の読唇術じゃなくて心を読む方の読心術が実在してる可能性多いにあるので。というか私も魔法使えば似たようなの出来るので。
「あっ、アオイさん!良いの思い付いた!このインゴットを商品にしちゃうとか、どう?」
「ふむ、商品とな?」
「うん。ウロボロスメタルってすっごく高価な金属なんでしょ?でもさ、もし売るとなっても本物があった方がいいよね。だから、このインゴットを見せて壊れないってことを教えてあげたら………なんか、上手く使えないかな?」
「ふむ………みんな、良い意見だな。では全員に奢ってあげよう」
「「「わーい!」」」
「!!、!!!」
「ふふ、嬉しいですね」
その後、夜営業30分前になるまで、全員で意見を出し合っていたのでした。仲良い人達と話してると時間が無限に浪費されてって怖いね………
3日後、私は珍しく街の外の森にまでやって来ていた。森と言っても深い場所とかそういう訳ではない。普通に森の入り口付近だ。最近あんまり冒険者ギルドでお仕事してなかったからね、薬草採取の依頼をしに来たのだよ。これは常設依頼で簡単だから割とお世話になっております。
薬草ってのはファンタジー的効果のある治療ポーションの材料の一つで、見た目はなんか割と雑草っぽい感じのやつだ。葉っぱの部分を切り取って摘むもので、この葉っぱ部分に魔力的な薬効成分があるらしい。図書館で見た研究論文によると、この薬草の正式名称は『クスリソウ』。根からかなりの魔力を吸収し、葉っぱ部分に多くの魔力を溜め込む特性のある草だ。クスリソウは溜め込む魔力によって元々存在している薬効成分が馬鹿みたいに強化されているらしく、その薬効成分をアホみたいに煮詰めて液体にするのがポーションなのだとか。ちなみに、クスリソウの上位版みたいなイヤシソウなる草もあるらしく、そちらを煮詰めて濃縮したものがハイポーションらしい。
ちなみにこの薬草とかポーションとかの知識は、夜営業の時に来たりするお客さん達に教えてもらった事だ。後は何故か未だに好評で続いている私の相談スペースでも聞いたりする。あの相談スペース、割と最初の方から私個人へ話したい事とか伝えたい事を話すだけのスペースになったりしてるからな。ブレイブさんとか特にそうだし、フォージュさんとかも偶に相談スペースで話し始めるし………まぁ普通に相談してくる人も居るけど。ってか、個人的には話を聞く力の強化をしてる気分なんだよね、あの相談スペース。お悩み相談も雑談もどっちも、相手の話を聞いてないとダメだし。特にお悩み相談の方。
「んー、こんなもんかな」
そんなこんな色々なことを考えたりしながら薬草を取っていると、必要量の薬草が集まったっぽい。私の場合は薬草全部
ちなみに薬草採取依頼の達成最低ラインだが、十全な状態の薬草の葉っぱ10枚の納品で依頼達成となり、その依頼達成報酬は小銅貨1枚となる。日本円にして大体100円程度という計算だ。この依頼は常設依頼、つまり常日頃から万人が何度でも達成可能な依頼である為、100枚を一気に持って帰ったら小銅貨10枚、つまり銅貨1枚が報酬として貰える訳である。私の場合、時間停止しつつ実質無限にアイテムを収納可能な
まぁとにかく、今の私は常設依頼をいつでも達成出来るように薬草を沢山回収しているマン………今女だからウーマンか。まぁとにかく、そんな訳で私は今薬草を回収しているウーマンになっている訳である。実は薬草採取の依頼は初心者用のものであり、本来はBランクとかいうのが普通受けていい依頼ではないのだが、そこは私の(働きたくない)執着が私を覚醒させた。私はどうしてもBランク基準の(クソ面倒臭そうな)依頼をやりたくなくて試行錯誤した末に思い付いたのが、一度薬草に神聖属性を込めてから提出する事で、薬効成分による回復能力に加えて呪いの類も解呪する事が可能な回復&解呪ポーションの原材料を作り上げることに成功したのである。
ま、この事実を知っているのはミゼルしか居ないんですけどね!ポーション作ってる人も多分よく知らないんじゃない?私もミゼルに報酬そのままでいいから常設依頼させてくだせぇ、でも誰にも教えねぇでくだせぇ、って言いながら普通に土下座したし。むしろあそこまでやって誰かにバラされてたら私はびっくりしちゃうよ。まぁそん時はびっくりして冒険者ギルドの地下施設から上に向かって魔法ぶっ放してギルド丸ごと吹き飛ばすかもしれない、ってミゼルに伝えてるからいいんだけど。もしそうなったらマジでやるって言ったら流石にしないよって言われたから大丈夫っしょ。大丈夫だよね?ま、大丈夫じゃなかったらぶっ放すだけだけど。
「いや、まぁ………」
マジでやる訳じゃないけどな。ま、必要分は集まったからさっさと帰りましょ。
そうして薬草を集め終わり、我が家に帰る平原の途中。ふと思い立った私は、私がこの世界にやってきたであろうポイントにまで向かっていた。勿論自転車でかなり走った距離である事は明白であったので、
まぁ。
「んー………異常無し、と」
こうして走ってやって来たは良いものの、やはりここには何も無いな。特別何か時空間に異常があるような感じはしないし、異世界との繋がりのような何かも感じ取る事は出来ない。まぁそもそも特に何か理由も無くふらーっと来ただけだし、何か期待してた訳でもないけどね。わざわざ引きこもり気味な私が冒険者の依頼の為に街の外に出たんだからなんとなくついでに、みたいな感じだもの。収穫ゼロでも無問題よ。
「………ん」
そうして私がぽけーってして空を見上げていると、私の視線の先でドラゴンみたいなのが飛んでいるのが見えて、ふと元の世界の飛行機を思い出した。そういやあんな感じで遠い空を飛んでいたな、と。………あのドラゴンって、上空2万メートルくらいを飛んでるのかなぁ?飛行機と似たような感じに見えるし………飛行機より小さかったら低いかな。大きさによってはもっと低かったりするかな?あまりにも大きいのだったら更に高く飛んでたりしそうなものだけど………まぁ、その辺は学者さんの領分かな。
それか魔物関係なら紫悠?なんか色々な魔獣を作る為に色々魔物の分布とか調べてそうだ。それにあいつ、私よりも精力的に冒険者の仕事してるらしいし、普通に魔物とかに詳しそうではある。後は確か、最近Bランク冒険者になったらしいけどよく知らねぇのよね。いや、これでも同じ職場で同じ宿だから会話したりもするんだけどね?まぁ、紫悠と話すとそういう重要な会話より雑談みたいなことをつらつらと話し続けちゃって………脊髄反射で会話しちゃうからそんなんになるんだけど、それはもう致し方なくない?だって頭空っぽで会話できるんだぜ?致し方なくない?ないって言え!
「まぁ、どうでもいいか………」
うん、まぁ………ここまで色々と考えてたけど、あんまり興味は無いよね。や、ね?これでもドラゴンが強くてカッコイイのは知ってるよ?よく覚えてないけどイギリスとかの方だと家紋とかによく使われてるらしいし、世界各地で竜殺しの逸話がある英雄が居るくらいには強いのも知ってるよ。でもね、残念ながら私は興味ないんだ………私、人型で会話できる生き物以外にそこまで生物的な興味持てなくて………逆に言うならある程度人型で会話可能なら人間扱いするし興味もあるんだけどね。ま、この世界がファンタジーな剣と魔法の世界だとしても、元々化け物だけど人型に変身可能で人間の言語を理解できて操れるようなの、滅多に居ないらしいけどな!そもそもそんなのが居ても普通に魔物扱いだろうし仕方ねぇけど。
「………………………うん、帰るか!」
特に何もする事がなかったので帰ることにした。まる。
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