巡リ来ル夢ノ心

森ってなんかいいよね、涼しくて気持ちいいし


マスターと妹様と出かけてクレープ食べたりした日から3ヶ月後、日付けにして11月30日。既にウロボロスメタルの第二回精製が終了し、現在は第三回精製が始まっている程に時は流れている。


しかし私のやる事は何も変わらない。朝起きて冒険者の仕事へ向かうアリスとレイカとフェイを見送り、ミナと店長さんとマスターと妹様と共に昼の仕事を終え、夜までゆったりぐーたらしつつ、夜営業になると真っ先にやって来るフォージュさんに酒を渡し、稀にやって来るミゼルとかリリーさんとかアオナお姉ちゃんとかコルトさんとか、最近はノクスさんとかも来たりして、毎日のように仕事を終えてから眠りにつく。時々マリンちゃんと遊んだり、そのお母さんであるフェリスさんとかと世間話的な事を話したり、私ガチ恋勢のブレイブさんと出かけたり、紫悠と話したり出かけたりと、ちょっとしたイベントはあれど、まぁ私の毎日は根本的な部分で変わったりはしない。


勿論、アリスやレイカ、フェイにマスターに妹様など、私の身内?みたいな扱いをしている相手と出かけたりもする。というか回数的には友人達とのより圧倒的に多い。いやまぁ、私の扱い的には私の家族又は親戚のようなものなので私としても気軽に誘えるし、多分アリス達からも身内認定されているので気軽に誘われるのだろう。美少女達の身内判定内とか実に嬉しい事である。あれだね、これだけ美少女に囲まれてるとハーレムものの主人公みたいだね、私が。いや、まぁ。別にアリス達が私に恋してる訳じゃないんですけどね。流石の私もそんな鈍感ではない。そもそも今の私の性別女だしな。………自分で言ってて悲しくなって来るからこの話はやめよう。


マジでまるっと話が変わるのだが、一つ思い付いた話があるので頭の中で纏めておこう。この異世界にやって来て最初の頃の私は、多分この世界を現実だと思っていなかった節がある。フォージュさんと一緒に冒険者ギルドへ行ってなんか知らない男の人に罵倒した記憶があるのだが、多分今の私はそんな事、多分、しない。相当にうざくなきゃやらないと思う。では何故あの時の私はやったのか?そんなもの単純。この世界が私の壮大な幻覚、胡蝶の夢、白昼夢、etc………そういう類の、現実ではない夢の世界であると思っていたから、対応がちょっと雑だったりしたのかもしれない。私が女扱いされていたのもそれを加速させていたかもしれない。


確かに、黒歴史というか嫌な記憶なのであまり思い出したくはないが、私は友人達に無理矢理女装させられた事がある。その時に女の子みたいとか男として見てないとかなんか色々と言われたこともある。でもまさか、高校の制服を着て、特に何もしていないのに男性扱いされないとは思わないじゃないか。だから夢とか幻覚とか、そういう実感の伴わないようなナニカとして、現実を見ていたのだと思う。端的に言ってしまうなら、あまりにも現実的ではなかったのだ。だから、現実だとは思っていなかった。いつこの異世界が現実であると思ったのかは、よく分からないというか分かる訳がない。段々とそう思っていったのかもしれないし、今も現実感が薄かったりするのかもしれないからだ。


「いやまぁ今でも納得してないけど………」


男性用制服の姿で今みたいに髪が長かった訳でもない私が、まさかマジで女扱いされていた、なんて。あの頃は無駄に腹を括っていたが、今思うと男の姿でいりゃよかったと後悔している。もしかして男の自分が恋しくてこんな話を思い出している可能性もあるのかもしれない。だってここ1年くらい男に戻った記憶無いし。マジで無い。本当に無い。なんかもう女性としての生活に慣れてしまった感があるよね。まぁまだまだやってない事も割とあるけど、それでも男性の時にはやった事のない、やる必要のない事も出来るようになったのだから関係なしだ。もう手遅れかな??


なんかもう自然と髪を纏められるし、下着類の装着も無意識下でも出来るようになっている。最初期の方は戸惑いがちだったトイレ事情ももう既に慣れ切って日常そのものだ。お風呂は未だに視線が遠慮がちではあるものの普通にお客さんが居ても入るし、女性扱いにキレたりしなくなってきている自分が居る。なんかもう、女という性別の自分に慣れ切ってしまった感じだ。二重人格みたいなもう一人の自分、みたいな感じではなく、男の私も女の私も等しく私で変わりはない。どっちも私個人であり、男女関係ない生活が出来るようになっただけである。正直男の時に女の習慣をする事も可能だし、女の時に男の習慣をする事も可能だと思う。それくらい、私は慣れた。


良いことなのかどうかは知らん。知らんが、成長ってこういう事だろう。悪い成長も良い成長もない。どれだけ成長の内容が酷くたって、過去から何かを学べるのなら、それら全てが等しく成長である事に変わりはない。であるなら、きっと成長の良い悪いの判断は私にある。ならば私が決めてやろう。であるならば、当然良いに決まっている。自分の歩んできた道筋の全ては悉くが良い成長に決まっている。私が決められるというのなら、私に有利になるようにしてやる。私の成長は私のモノだからな。


「んー」


少し伸びをする。現在時刻は昼過ぎの休憩時間。いつものようにやる事が無いのでこれまでを振り返ってみたものの、やはりやる事が無い。うーん………あ、そうだ。久しぶりに私のステータスでも確認してみるか。って事でステータスどーん。



名前:松浦 葵

性別:女

魔力量:1633

ユニークスキル:性転換(神の加護により隠蔽中)、無窮の瞳、悪魔炉心

【器用貧乏】

【悪魔の婚約者】

【一点集中】

【読書家】

【口撃者】

【聖女】

【看板娘】

【影悪魔の母】

【新技術開発者】

【謎の解決者】

【妖精の友人】

【擬似再現者】

【救人者】

【変転悪魔】

【幽閉王女攫いの悪鬼】

【夢心の偶像】

【恐乱の象徴】

【泉の祝福】

【固有属性:牛乳】

【放射線属性の発見者】

【悪魔炉心の使い手】

【主従自在】

【見習い魔術師】

【魔術師】

【上位魔術師】

【契約魔術師】

【上位契約魔術師】

【高位契約魔術師】

【雷魔術師】

【上位雷魔術師】

【高位雷魔術師】

【光魔術師】

【上位光魔術師】

【高位光魔術師】

【毒魔術師】

【上位毒魔術師】

【音魔術師】

【上位音属性魔術師】

【影魔術師】

【上位影魔術師】

【高位影魔術師】

【妖魔術師】

【上位妖魔術師】

【高位妖魔術師】

【空間魔術師】

【上位空間魔術師】

【深淵魔術師】

【上位深淵魔術師】

【放射線魔術師】

【上位放射前魔術師】

【見習い契約者】

【契約者】

【悪魔契約者】

【上位悪魔契約者】

【公爵級悪魔契約者】

【見習い召喚師】

【召喚師】

【上位召喚師】

【悪魔召喚師】

【上位悪魔召喚師】

【公爵級悪魔召喚師】

【見習い狩人】

【見習い狙撃手】

【ソロモンの断片No.18】

【性別神の加護】(神の加護により隠蔽中)

【自然神の祝福】



んー、魔力量が更に増えてる。多分悪魔炉心のせいだな。あれが無限ではないが無制限に魔力を生み出し続けているせいで、私の扱うことの出来る魔力量がどんどん増えているような気がするんだよな。私という器に魔力を溢れるほどに注ぎ続けてるからだろうか。溢れて無くならないように別の器を用意し続けてるのもあるかもしれない。具体的に言えばパッシブ系の魔法が増えたのでどんどこ成長しているのかもしれない。マジで成長してるな私………


それはそれとして気になる実績が2個もある。新しく増えたので言えば【高位雷魔術師】もあるのだが、それ以上に目立つのはこの2個。具体的な内容はこんな感じ。



【主従自在】

〈主人適性〉〈従者適性〉〈隷属無効〉

個人同士の契約における主としての素質と、個人同士の契約における従者としての素質を高める。また、強制的な隷属状態を無効化する。


【自然神の祝福】

〈自然の祝福〉

望まない限り、あなたの本質は変わらない。

願わない限り、あなたの根本は変わらない。

あなたはいつでも、元のあなたに戻れる。

あなたはどこまでも、変わっていける。

私はあなたを祝福する。



まぁ【主従自在】の方は分からなくもない。私はバティンやアクの主人でもありながら、マスターと妹様の従者でもある。それ故の〈主人適性〉と〈従者適性〉なのだろう。〈隷属無効〉は何で着いてるのか分からないがあって困るようなモノではないので特に気にしない事にした。でもこの【自然神の祝福】は本当に訳がわからん。私そんなの手に入れるような事したっけ?神関係なら性別神との邂逅があるのだが、自然神に至ってはそんな事あった覚えがない。もしかしてどっかで会ったけど私の方が忘れてる可能性ある………?そんな一般的主人公が陥りがちな現象に私が遭うのかと言われたら、多分ゼロだと思うんだけどなぁ。


まぁいいか。特に気にしなくて。いや、変な実績なら気にしたかもしれないけど、別に変な実績じゃないしね、【自然神の祝福】。望まない限り、願わない限り、私の本質も根本も変わらない、とか。私はいつでも私に戻れて、私はどこまでも変われる、なんて。人間は変化というモノを恐れる傾向にあるけれど、それを実質的に無効化できる訳だろう?私が変わりたくない方向には進まないって事だろう?勿論限度はあるだろうが、つまりはそういう事だ。私は私の望む方向に、願う方向に、私の思った通りに進む事が出来る様になった訳だ。進む権利でも資格でもなく、ただ進めるってだけだから、あんまり過信は出来ないけれど、それでもこういう保証があるなら進み易いだろう。


これって言わばゲームで言うなら、不可逆的な武器へのエンチャントの無限振り直し権って事でしょ?それかステータスリセット権。私が望んでない結果を元に戻して、私が願っていない過程を元に戻すってんなら、多分そんな感じ。それでいて無限の拡張性も追加されてる感じ?となると、自分の好きなエンチャントを無限に積み続けられる感じかな。それは端的に考えなくても普通に強いのでは??あぁいや、変わらないって事はそもそも要らないエンチャント付かないって可能性もあるのか………まぁ、きっと私が人生というものを生きていく上で、ポンっと肩を叩いて手を貸してくれる、くらいのものになるのだろう。


というか私は何故、この自然神って人に祝福されてるんだろうか。心当たりないんだよなぁ。ってこれ、加護じゃないんだよな。祝福なんだよ。加護はさ、神様が力をくれる感じなのよ。けど祝福って事はつまり、自然神って神様が私の幸せを祝ってくれてる訳じゃない?力をくれるのと、祝ってくれるのとじゃ、なんか大分違うよね。距離感というか………なんというか、祝福の方が私と神様の距離が近い感じしない?まぁ自然神って人に遭った記憶とか無いんですけど………そう考えると、何故私は祝福されてるんだろうか。いやまぁ困らないから別に何でも良いんですけどね?それはそれとして気になるというか。さっきと言ってる事違うけどなんか気になるじゃん?気になってくるじゃん。まぁ特に答え合わせがある訳でもないしどうにもならんので先延ばしにしますが。別に変な石持ってる訳じゃないけどそうするしかないんで。


「先延ばし………あれとか?」


先延ばしの石と言えば例の系譜か。認識災害とかミーム汚染とか反ミームとか現実改変とかのやつ。あれが私の世界の隠された真実なのか別世界の紛れもない事実であるのかは実にどうでもいいが、一つの理論として存在しているのなら魔法で再現出来そうではある。魔法なんて一種の現実改変みたいなもんだし、認識災害とかミーム汚染とか反ミームとかの情報系も割と出来るだろう。少なくとも私は出来そうなやり方を幾つか思い付いた。というか、元からどんなものか分かっているのに作れない訳がない。特に現実改変の方は理論だって確かなモノなのだから、多分今からでも作って使える。作る気は皆無だが。


や、だって、例の系譜の報告書を読み込んでると思わない?認識災害もミーム汚染も反ミームも現実改変も、全部やべーやつって。現実改変は対策用の錨があるからまだマシだけど、認識への災害とかミームの汚染とか記憶消去でしかどうにもならないやつ多いし、反ミームに至っては自分に関するあらゆる情報を喰らい尽くすやべーやつじゃん。作った私でもどうにもならなさそうなものは作らないのは鉄則でしょうに。要注意な創研じゃないんだから。石油捕食系カイコガ(無限増殖型)を管理してたくせに逃してごめんねする会社じゃないんだからそんな無責任な事はしない。少なくとも私にそんな責任を取る事はできないから自分から責任問題は起こしたくない。


「んー………散歩しに行こ」


唐突に散歩しに行きたくなったので外へ行こう。なんというか、異世界にやって来てから家の中に籠るような事が減ったような気がする。少なくとも、以前のようにずっと家の中に居たいとは思わなくなった。多分ずっと家の中だとあまりにも暇な時間が長過ぎるから外へ向かうようになったんだと思う。まぁある程度は家の中でもぐーたら出来る環境が揃っているのだが、こちらの世界とあっちの世界での時差?が酷いので、動画や小説などの私にとっての娯楽が絶たれているせいでもあるのだろう。別に楽しさや面白さを求めないでただ日々を過ごすだけなら、動画配信サイトの音楽を無限再生してBGMにして、手元ではスマホで電子媒体の小説を読む、ってだけでいい。正直それだけあれば割とずーっと家の中に居られそうではある。


でもそれだと面白さが足りないのだ。だからこそ外に出るのだ。元の世界の我が家ならばテレビでアニメでも見れるのだが、この世界だと見れない。いや見れなくもないのだが、見るとなると色々とお金がかかるのだ。この世界でそうしてお金を消費した場合、元の世界での判定がどうなるか分からないので、有料のものはやめておきたい。しかし無料のものは普通に考えてダメなので、そうするとアニメは見れないという事になる。別に見るのはアニメでも普通のテレビニュースでも番組でも何でもいいのだが、スマホじゃ何も見れねぇんだよな。こっちに持って来てたのがテレビだったらワンチャン………そんな機会滅多に無いんだよなぁ。そもそもそんなデカいの持ち運べないし。


私は髪だけ雑に整えて外に出る。いや、服装はもうなんか常に店の制服なので………これ以外の服もあるのだが、なんというか………服装に頭を使わなくて楽なんだよね。後ね、私は気にしないんだけどミナがね、気にするんだよ。服装のなんかこう、えーと、ファッション?みたいな感じのを。私が適当なの着て外出ようとすると着替えさせられるから、ならもう制服でよくね?ってなったよね。いやだって制服楽だし………元々が接客業のものだからファッション完璧、とまではいかないけど失礼ではないし。特定の何かを着ていれば良い、みたいなの良いよね。脳死で選択肢を選べるの頭を余計なリソースに割かなくていいから最高では?少なくとも私は制服っていうのはそういうものだと思ってるけど。


「………あれなんだろ………調べとこ」


こうして街中を歩いていると、ふと調べておきたいことが浮かんできたりする。そうやって溜まった調べたい事柄は即座にスマホのメモ帳に記録してあるので、図書館に向かう時に確認するのである。このメモ帳に記録した事柄は別に絶対に知りたい事柄ばかりという訳ではなく、むしろふとした瞬間に知りたいと反射的に思ってしまった小さな事柄の方が圧倒的に多い。しかし私はそれが気になるからこそ、まずは即座にスマホで検索し、それでも答えが分からない時にこの世界の図書館で調べるのである。ちなみにスマホと図書館の両方を使って調べている理由だが、勿論ながら私は元の世界の事柄の全てを知っている訳ではない。だからまずスマホで調べて、それで出てこなかったら異世界系の事柄と判断している訳である。私が元の世界に限った全知とかだったらそんなんしなくても済むのだが。


ちなみにだが、私は別に学生は須く勉強すべき、とは思っていない。そんなもの、知りたいやつだけ知ればいいし、勉強をしたくないならしなければいい。だって、そんなものは個々人の思想なのだから。その個人が勉強をしなくてもいいと判断したなら、周囲の人々は特に何も言えないだろう?元の世界のように学歴として残るならまぁ嫌な勉強をする必要もあるだろうが、この異世界のように学歴というものがあまり重要視されず、嫌いな勉強をわざわざ行う必要があまりない世界であるならば、まぁ別に勉強するしないは個人の勝手だろう。この世界はどちらかと言えば戦闘能力の方が優先されがちである。まぁ割と命が簡単に失われがちな世界なのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが。


でも別にこの世界の人全員が学歴を完全に無視って訳じゃない。むしろ貴族とか王族とかの偉い人達はそういう、何処どこで学んだ経験がある!みたいな人を選びがちらしい、というのをミゼルから何度か聞いた事がある。そっちの方が信用できるからだ。幾ら戦闘能力が高くても信用が皆無なら選択肢にすら入れない、という事なのだろう。まぁ大量殺人鬼より賢者の方が信用あるよね、どう考えても。狩人も殺人鬼と同じく命を奪う職業ではあれど狩人の方が信用あるって事は、やはり同種殺しは理由も無く本能的に嫌なものなのだろう。人が人を殺すという行為を何の理由もなく繰り返す人間、って聞くと、自分も殺されるんじゃないかって思って怖いからなぁ。そりゃ信用も無い訳ですわ。あったらそんな社会を疑う。


「んー、お姉ちゃん居らんなぁ」


こうして外に出かける度に思うのだが、アオナお姉ちゃんってあんまり見ないなぁ、って。毎日毎日その前日とは全く別の場所で占いをしているから広い街中でかち合わないのは仕方ない部分ではあるのだろうが、個人的な話をさせてもらうと、私と話が合う相手とあまり話せないのはちょっと悲しい部分がある。私もアオナお姉ちゃんも努力の仕方を知らないって共通点があるからね。努力してもよくわからんし、努力しなくてもある程度出来る、ってなると自分が成長したのかわからんのよ。アオナお姉ちゃんもAランク冒険者になるくらい強いけれど、そこに至るまで修行した訳でもないらしいからな。なんかいつの間にかなってたらしい。なんかいつの間にかBランク冒険者になってる私と似たようなもんだろう。


Bランク冒険者と言えば、アリスも最近Bランクになったんだっけか。Aランクから上になると相応の戦闘能力を求められるようになってくるらしい(レイカ談)が、逆に言うなら地道にコツコツと危険でもない下位の簡単な依頼を、凡そ10年くらい毎日ちょっとずつ続けてこなしていけば誰でもBランクにはなれるらしい。Aランク以上はかなりの戦闘能力が無いとダメだけど、正直Bランクになったら割と大成功してる方の人間だろう。元の世界風に例えるなら、そうだな………中小企業の社長くらい?Aランクが大企業の社長として………Sランクは多分あれだ、大統領とか王様とか総理大臣とかそういう類の支配者階級ってやつくらい?正直正確なの知らないから適当ぶっこいてる可能性あるけど、でもまぁ似たような感じではあると思うよ。


待てよ?その考えだと、もしかして私って中小企業の社長クラスになるのか?ほら私一応Bランク冒険者だし。………いや、よく考えなくてもそんな訳ないか。私の場合だと冒険者って副業だしな。感覚的には多分めっちゃ待遇と給料の良いアルバイトみたいな感じかもしれない。まぁ、めっちゃ良いアルバイトを選べるってだけで、めっちゃ良いアルバイトを私がやるのかどうかは別な訳だが。普段は割と給料の良い食事処の店員だから、冒険者っていうめっちゃ給料良いアルバイトも稀にやるくらいだしな。てか、そもそも冒険者になったのって身分証明のものが欲しかったからだしな。数ヶ月に一回アルバイトしてりゃ冒険者として認められるから、期限の間に簡単な依頼を達成してればええ訳やもんね。車の免許みたいに面倒なプロセス踏まなくて良いから楽な身分証明だぜ。


あ、そういや紫悠の奴もBランク冒険者になってたっけ。大半があいつの創り出した魔獣達の力ではあるが、紫悠本人も割と強くなってるらしい。戦っているところを見たこと無いが、まぁ多分魔法剣士とかそんな感じだろう。………ごめん紫悠が戦ってるところ見たことないからどうやって戦ってるか知らん。魔法剣士は嘘かもしれない。いやでも近接職も魔法職もやってるとは思うんだよなぁ。あいつが度々日常生活の中で魔法使ってるの見るし。だからこう、魔法戦士?みたいな感じだと勝手思ってる。事実は知らんが。


「うん………そろそろ帰るか」


まだそんなに歩いてはいないのだが、なんか満足したのでそのまま帰るのだった。いつもこんな感じなのでそんなに違和感は無いんだよなぁ。

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