魔法の装備には憧れるよね。憧れるだけだけど


2日後のある日、私が私室でアリスと一緒にゆったりしていると、アリスに話しかけられた。


「アオイ、少しいいですか?」


「ん、どうかした?」


「いえ、一つ質問があるのですけれど………」


「どうぞ?」


「では、お言葉に甘えて」


「はい、何?」


「アオイは異種族間の恋愛についてどう思いますか?」


最近、アリスは『恋愛』というものに興味があるらしい。事あるごとにこうして私に意見を求めてくるのがいい証拠だろう。恋愛というのが個々人の関係によって多種多様なものであるせいか、とにかく知り合い全員に同じ質問を沢山しているようだ。今言ったように恋愛に同じものはなく、その一例として恋愛を題材にした物語をかなり読み込んでいるようで、今回読んでいたのは異種族恋愛の物語だったらしい。


「んー………まぁ、異種族間の恋愛は、素晴らしいものだとは思うよ。価値観も倫理観も常識も生態も全部が全部違うのに、それでも愛する事ができるっていうのは………まぁ、それこそ真の愛なんじゃない?真摯に相手を愛しているからこそ成り立つものだし。でも大変そうだよね。だって人間って自分と違うものを排斥する傾向にあるし。愛する人に認められても愛する人の所属するコミュニティに認められなかったらどうしようもないもの。で、結局愛する人ごと排斥されちゃうんだよ。だから、真実の愛に近いとは思うけど、苦難も苦悩も沢山ありそうだよなー、って思ったよ。どう?これで満足?」


「はい、ありがとうございます。確かに。1人が認めても社会が認めない、という事例は他の恋愛物語でも見受けられましたね。大抵は身分由来のものでしたが、異種族というだけで認められない事もありそうではあります。やはり、アオイの言葉はわかりやすいですね。助かりました」


「そりゃどうも」


アリスはそれだけ聴くと、手元の本に視線を戻した。なるほど、まだ物語を読んでる途中だったのか。それか読み終わってもう一度読み直しているのか。まぁその辺はどうでもいい。というか、あの本私も一応読んだ事あるな。シリーズもので最新が6巻まで出てた筈。私は一応6巻まで読んだ。まぁ割と本に関しては雑食なのでね。活字さえ書いてありゃ辞書でも図鑑でも物語でも学術書でも何でも読むよ私は。ちなみに、アリスは1巻を読んでるみたいだ。読み始めなのだろう。あの物語は割と悲恋だった覚えがあるが平気なのだろうか?私は割と泣いたのだが。私は物語を読んでる間は割と感情豊かなので。いやまぁ、感情豊かというか、物語の中に没入しやすいと言うか。私、これでも共感性は高いんですよ?普段はそこまで共感しないだけで。というか、共感する前に損得勘定しちゃうから無駄になるだけで。共感したところで損になるなら普通に無視するだけだし、共感して得になるなら何かするかも、くらいだ。そんなに深く考えてないよ。


いつも思ってるけど、私は基本的に自己中心的で薄情だ。自分さえ良ければ他の事は割とどうでもいい。極端な話をするなら、10億人を一斉に殺せる水爆のミサイルをぶっ放つボタンを押さないと私が死ぬって言われたら、私は普通にボタンを押す。罪悪感とか倫理観とか感じずに、ただ普通に押す。だって私、死にたくないし。物事は自分中心で、それでいて思いやりがないのが私の基本だ。世の中には色んな人が居るから断言は出来ないが、多分私は普通だろう。自分だけ助かりたい人間は大勢居るし、思いやりのない人間も割と居る。例えば、水没しそうな船から逃げたい時に脱出艇にいの一番に乗りたい人は大勢居るだろうし、その時に手段を問わず逃げ出すような人だって割と居るだろう。勿論、そんな人間だけじゃないのは分かってるよ?良い人は沢山居るもんだ。でも、良い人のレベルによっては自己中心的な行動を取ることだってあるよね?


良い人ってのは居る。そりゃ居る。でも、その良い人のレベルはきっと違う。窮地の際に自分の命をかけてでも誰かを助けられる人もいれば、窮地の際に命はかけられないけど日常の小さな手助けくらいならできる人も居る。誰にも隔てなく助ける人も居るだろうし、身内だけなら助ける人も居るだろう。助け方が優しめな人も居れば、助け方に手段を問わない人も居るだろう。良い人という分類にも色々あるのだ。私は多分、窮地の際に命はかけられないけど日常の手助けをして、身内だけを助けて、助け方は手段を問わないタイプの人間だ。勿論、身内で無くても私に対して助けてと言われたなら誰であろうと助けるし、それに一切の手段を問う気は一切無いが、この場合の良い人ってのは、自分から助けてくれる人の事を良い人と言っているのだ。私が自分から助けるのは、日常の手助けレベルで、身内の人間に限り、手段を問わない、というだけである。


「ふむふむ………なるほど、そうだったのですか………」


まぁ今私の目の前に、私に助けられた真実のお姫様がいらっしゃいますけれどね。しかも今バリバリ恋愛物語お読みになられてますけどね。だからなんだって話だけれども。


「………」


まぁ特に私から声をかける要素も無い。そもそも、この読書大好き人間である私が、この引きこもり且つインドア派であるのに図書館にわざわざ向かう程の私が(半分くらいコルトさんを見るのが目的ではあるのだが)、こうやって楽しそうに嬉しそうに読書している人間に声をかけるとでも?大至急知らせることでも無いのに?この私が?わざわざ邪魔をするとでも?する訳無いだろう。至福の時間は邪魔してはいけないに決まっている。別に読書じゃなくても、自分の至福の時間を邪魔されたら邪魔した存在を消し飛ばしたくなるのは誰だって同じだろ?少なくとも私は消し飛ばしたい。勿論ながら現実でやったりはしないよ?普通に犯罪になってしまうから。犯罪にならないならやるよ。だってストレスはその場で即座に解決するべきだからね!これこそ私のストレス回避術である。ま、私、普段からストレスなんか殆ど感じて無いけどな!ま、勿論ながら刺激が皆無ってのも身体に悪いからある程度は感じてるんだろうけど、個人的には特にこれと言ってストレスを感じるような事をしないで生きているので。だって、ストレス感じてお腹痛いってのは嫌でしょ?私は嫌だ。


「んー………」


少し伸びをする。ずっと同じ座っていると身体が凝り固まってしまうのだろう。あれだ、大怪我をして長期間歩いたりしていないと筋肉が弱ってしまうからリハビリする必要があるってやつの、もっとスケールが小さいタイプがこれなんじゃなかろうか。いやまぁ具体的な内容も理由もマジで知りませんけどね?適当ぶっこいてるだけですけどね?私が勝手に推測するのは別に悪い事じゃないので推測くらいは自由にさせてほしい。思想の自由とかなんとかってやつだ。


「………うん」


読書をするアリスを見ていたら私も本を読みたくなってきたので、私も続きを読むことにした。












2日後の4月12日、私は特にする事も無いのでリリーさんのお店にまでやって来ていた。


「んー………」


リリーさんはいつも通りにカウンターの所で座っているが、私は特に気にせずに何かの作業をしているので、なるべく邪魔をしないよう、私は1人店の商品を眺めていた。今私が見ているのは魔法のアクセサリーの棚である。魔法のアクセサリーとは、魔法的効果、ゲーム的に表現するなら『エンチャント』の付与されたアクセサリーである。『魔法にかける』とか『(魔法にかかったように)魅了する』とかいう意味を指す英単語の方のエンチャントではなく、本当にゲーム的な意味での魔法効果の付与されたアクセサリーの事である。


例えば、指に嵌めているだけで特定の属性の威力が上昇する指輪だとか、首にかけているだけで特定の状態異常に罹りにくくなるネックレスだとか、腕に装着しているだけで筋力が増す腕輪だとかがある。魔法的効果としては微々たるものではあるのだが、鎧や武具のような重ね着が出来ないものではないので、アクセサリーというか装飾品の類の魔法道具は同じものだったとしても幾つも装備出来るのだ。全ての指に魔法道具の指輪を着けてもいいし、首に幾つもの魔法道具のネックレスをかけてもいいし、両手両足に魔法道具の腕輪と足輪をつけてもいい。そしてそれらを全て同時に装備してもいい。ゲーム的に表現するなら、アクセサリーや装飾品の欄の装備枠が身体の部位毎に複数存在しているようなものだ。


ただし、勿論ながら魔法効果が強力なものであればある程魔法道具自体の値段が跳ね上がるので、装飾品全てを強力な魔法道具にするのは金額的にかなり大変だ。Sランク冒険者でもアクセサリーは5つくらいが限度だとされている。それは別に魔法効果が干渉するとかではなくて、純粋に戦闘に邪魔にならないラインの装備数がそれくらいなんだそうだ。指輪なら武具が持ちづらいし、ネックレスは純粋に動くのに邪魔になり、腕輪の類も行動の邪魔になるのだ。そうして考えると、魔法効果の量や邪魔にならないラインが最大で5つのアクセサリーなのだとか。まぁ確かに、全身ジャラジャラしたまま高速戦闘したら、アクセサリー類がめちゃくちゃ邪魔になりそうだよね。魔法使いの人ならもうちょい多めに装備できるかもだけど、それでも邪魔のものは邪魔だしな。


「んー………?」


そして今現在、私はそんな魔法効果が得られるアクセサリーの類をこうして見ているのである。純粋にどんなものがあるのか、どんな効果のものがあるのか、興味があるのだ。これまでもいくつかの魔法道具を購入してきたが、あれらは基本的に使用する事で意味があるものだ。一つだけ違うが。そもそも購入しただけで使ったことのないやつもある。『シェイブカッター』はチェーンソーみたいに使えるナイフ、『消えぬ炎』はどこでも使えるライター、『偽りの腕輪』は魔力を封印して変身する腕輪、『魔力抑制スカーフ』は魔力消費を下げて魔法威力を下げるスカーフ。『魔力抑制スカーフ』だけはパッシブで効果が発揮されるが、それ以外の3つはアクティブで効果を発揮する必要がある魔法道具である。ただ、そもそも『魔力抑制スカーフ』は私じゃ使えないのだ。魔法効果が私の攻撃魔法に耐えられなくて。だから、実質的に私はパッシブで効果を発揮するタイプの魔法道具を使えたことがないのである。そう、使えたことがないのである。


なので、私はこうして私のお眼鏡に敵うアクセサリータイプの魔法道具が無いか探しているのだ。ファンタジーと言えばこの手のエンチャント装備だろう、という安易な考えではあるのだが、実際そこまでの間違いでもないだろう。元の世界の神話でも、聖剣とか魔剣とか魔法的な道具類ってのは割と出てくるし。有名どころで言うならエクスカリバーとかだろうか。道具ならペガサスの靴とか?とにかく、そういう類の魔法道具ってのは、神話でも出てくるくらいなのだ。私だってそれくらい凄いやつではなくてもいいが、それっぽいやつは欲しい。せっかくこうして何の因果か異世界に来たのだから、危険を伴わずに得られるファンタジー感は私も味わいたいのである。今の身体は女性でも私は歴とした男の子ですので。


しかしなんというか、アクセサリーにも色々と種類があるのだな。ネックレス、チョーカー、ペンダント、ドックタグのような首にかけるもの、ブレスレット、バングル、カフ、ミサンガ、リストバンドのような腕に着けるもの、指輪のような指に着けるものは勿論、イヤリング、ピアス、イヤーカフのような耳に着けるものに、トゥーリング、アンクレットのような足に着けるもの、眼鏡、仮面、眼帯のような顔に着けるものなど、本当に色々な種類がある。しかも、それらのアクセサリー類のどれもが異なる効果の付与された魔法道具であるのだから、本当に悩んでしまう。アクセサリー自体の種類と、そのアクセサリーに付与された効果自体で、本当に無限の組み合わせがあるような気がしてくる。付与効果の種類によっては本当に無限の組み合わせの可能性すら否めない。


「………ん………」


いつもより集中しているのか、ついつい無言になってしまう。本当に色々な種類があって、どれを選べばいいのか迷ってしまう。やはりここは、アクセサリーそのものとして使いやすく、魔法効果が強力なものを選びたい。これだけの種類があるのだから、自分がこれだと確信するもの、そして実際の魔法道具としての性能が素晴らしいものを、この目でしっかりと選択するべきだろう。私にはそれが出来るだけの時間がある。こういうものは自分でじっくり選ぶから楽しいのだ。こう、ふと本屋に立ち寄って、あらすじや表紙をさらっと確認して、なんとなく読みたくなった本を手に取るのと同じである。これが分からない人は本を買ったことがない人だろう。多分。別に本屋じゃなくても的王できる気がしなくもないがどうでもいい。


一応、現在の私の装備を確認しよう。そうなると………この眼鏡と、首にかけている『消えぬ炎』くらいだろうか?『消えぬ炎』というライターに紐を通して首からかけているのだ。が、正直言って『消えぬ炎』はMICCミックの中に収納してもいいと思っている。眼鏡は普段から身に付けているが、常にアクを呼び出し続けているので視力が倍になっているので、度数が合わないレンズ部分だけを分離して収納している。まぁつまり、眼鏡もライターもMICCミックに収納しても全然平気、という事であり、顔と首の部分の装備部位が空くという事でもあるのだ。即ち、正直どのアクセサリーでも使用できる、という訳である。


ただ、ピアスとかの身体に物理的な穴を開けるタイプのアクセサリーは装備したくない。そもそもピアス穴なんて空けてたら私の高校の学校の規則を破ることになってしまうし、後はピアスって何かに引っかかったら耳たぶ千切れそうで怖いよね。ピアス穴を開けるのも普通に怖いし。みんなよくやれるよね。や、お洒落の一部である事は分かるんだけどね?でも別にお洒落はしなくても生きていけるよなーって私は思っちまう訳ですよ。私の価値観がおかしいだけかもしれませんけども、でも間違っちゃいませんよね?まぁお洒落したいって気持ちは否定しませんが………でも、いつも思うんですけど、なんで学校の校則で禁止されてるのに色々馬鹿みたいなことしちゃうの?って。よく言われてるのは女子のスカート丈とか。折り畳むなって校則に書かれてるのに自分から折り畳んでミニスカート風にして先生に注意されてるんだよ?馬鹿みたいじゃん。そんなにお洒落したいなら学校の外ですりゃいいのに。


後、私はミニスカートよりロングスカートの方が好きなので、出来るだけスカート丈は膝下の方が好ましいですね。私としては足首くらいの丈のロングスカートに黒タイツっていう組み合わせが最強だと思うんですけどどう思います?そうなると男性が好きなボトムスとソックスの間の太ももの素肌が露出した部分である絶対領域は存在しませんけど、でも私達の見えない部分にその絶対領域が、というか太ももが存在しているって事実がとてもそそりませんか?私はとてもそそられます。いやまぁ、ロングスカートに黒タイツだとスカートを捲った所で見えるのは黒タイツと僅かに透けるパンツになるので直に太ももは見えませんけど、でも、でもですよ?ロングスカートに黒タイツである女性が自分の彼女であると仮定して、その彼女が自分の目の前でゆっくりその服を脱いでいくのを想像してください。ロングスカートを脱いだら黒タイツで透けて見える両足と下着が、そして黒タイツを脱いで現れるのは素晴らしき桃源郷である太もも。ほら、こうして考えると、ロングスカートに黒タイツという組み合わせも良くないですか?まぁ、そういう事を頼み込んだらしてくれる彼女が居ないと、リアルでは決して味わえませんが。


「………………」


なんか思考が大幅にズレた気がする。まぁ兎に角、私は物理的に身体に穴を空けたりするようなタイプのアクセサリーじゃなければ何だって良い、って事だ。ライターも眼鏡も収納すりゃいいし、ゲーム的に表現するなら顔と首の装備枠が空くからな。これは一応リアルで現実だから普通に重複装備も出来るけども、多重装備したらアクセサリーがジャラジャラして普通に生活するのには邪魔になりそうなのでやるつもりはない。そもそもそんなに買ってお金が足りるのかという疑問もあるのだが、まぁ白金貨があれば平気じゃないかな。大丈夫だと信じたい。








ーーで。結局、私が最終的に選んだ魔法道具のアクセサリーは全部で3つ。


一つ目は狐面である。絵柄としては、その両目を閉じており、全体的に白いタイプの割とよく見るような感じの狐面だ。なんでそんな嵩張るものを買ったのかと問われれば、答えは単純。欲しかった。だってさ、狐面ってカッコ可愛くない?私は美少女が着けてたら絶対カッコ可愛いって思うんだけど。まぁうん、とりあえずビジュアル面で気に入ったから買ったよね。魔法道具としての効果は妖属性の強化っていう実に単純な効果ではあるけれど、その分効果は他の魔法道具より高めだそうだ。具体的に数字として表すなら、妖属性の効果が25%上昇するそうだ。そういうのも深淵属性の使い方次第で分かるらしいってアリスが言ってた。


次、二つ目はペンダントだ。非常に美しい紺色の宇宙ソラの如きラピスラズリが、白く染め上げられたミスリルの装飾によって縁を覆われている、そんなペンダントである。宝石であるラピスラズリの形状は綺麗な球体で、その直径は3cmくらいの小さなものである。なんでも、宝石内部に魔法を埋め込むという技法を使用する事で発揮する魔法効果を底上げしているらしい。なんでも、魔力の込められた宝石そのものが魔法的な効果を有しているらしく、このペンダントはその魔法的な効果を増幅させる事で魔法道具としているらしい。ちなみにその効果は、深淵属性強化、幸運上昇、病気耐性の3つ。それぞれ10%ずつの上昇ではあるが、複数の効果を一つのアクセサリーで賄えるという利点も捨てがたい。選んだ理由としては、幸運上昇の効果が欲しかっただけである。結構他のアクセサリー類も探したのだが、幸運上昇の効果を持つ魔法道具はそんなになかったので、中でも私が1番普段から身に付けていても平気そうなやつを選んだのである。まぁ幸運上昇装備を全部装備するという案もあったが、それはそれで普段の生活が邪魔になりそうなので却下した。うんうん、過去の私は偉いね………現在の私は早くも幸運上昇の装備を購入しなかった事を後悔し始めてるよ………まだガチャを引いてすらいないのに………


………ま、気を取り直して。三つ目はヘアピンだ。なんの変哲もない普通のヘアピンで、色は表が黒で裏が白、大きさは本当に量産されているヘアピンって感じだ。鍵開けとかに使えそうなタイプではないが。適当に見繕ってたら見つけたので買ってみたのである。しかも、その効果はなんと魔力回復力上昇だ。魔法道具で補うというのは完全に盲点だった。これで私の自動魔法を更に増やす事で発生する魔力の問題をある程度解決できるだろう。


私はこれらの3つの魔法道具を新しく買い、早速装着。ただし、狐面は顔面ではなく顔の側面に着け、眼鏡(レンズ無し)はそのまま、首にかけていた『消えぬ炎』はMICCミックの中に収納し、ラピスラズリのペンダントを首にかけ、ヘアピンは適当に邪魔な前髪を抑えるようにしてパチンと嵌める。リリーさんの魔法道具店に備え付けられている鏡を一眼見るが、うむ、完璧だな。狐面は側面にあるのでちょっと邪魔ではあるが、こう、ビジュアル的にカッコいいので許す。着ている服装が服装なのでペンダントは見えないがまぁヨシ。ヘアピンは本当に普通のヘアピンって感じではあるが似合っていそうなので良い。うむ、これで満足した。


「リリーさん、ありがと、またねー」


「あらぁん、またねぇ、アオイちゃん」


私はリリーさんの店を後にするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る