別に事件解決は探偵の専売特許じゃないからね?


「──なるほどね。妖精、か………」


「む、ぐ………コクコク………うん。そう、妖精。なんかレイカが拾ってきてさ。びっくりしたよね」


第四、第五アップデートの複合魔法を完成させ、フェイにちょっとした魔法道具を渡した3日後の午後。私は冒険者ギルドのミゼルの部屋までやってきていた。つまり、ギルド長の執務室とか言う部屋である。この部屋の机の上にはいつものように紅茶と茶菓子が載っている。とてもおいひい。


あ、そうそう。ついでに言うと、私は今フェイについての事柄を全て記入したレポートをミゼルに提出して、現在進行形で見せている最中だったりする。なんでレポートかって?なんせ暇だったからな………ふと書いてみたくなったんだ………


「にしても、よくレポートみたいにして提出しようと思ったね。わざわざこんな事しなくてもいいだろうに………しかも、魔法契約書で僕以外が見たら消滅する様にするとか………用意周到だ。こっちとしてはわかりやすいからいいけど」


私は書いてる時それなりに楽しかったよ。堅苦しい文書じゃなくて個人用の趣味のレポートだから遊べたと言うのも大きいだろう。まぁ、書き終わって読み直したら『何書いてんだろ』って気分にはなったけど。別に私は後悔してないから問題ナシ!


「んー………なるほどね。妖精………それに、神聖属性の適性か。君、加護持ちだったんだね。普通に知らなかったよ?」


「ん?あれ、言ってないっけ」


「うん、聞いて無いね」


「そだっけ。まぁ口外しないならいいや」


別にミゼルなら口外したりしないだろう。というかしないで欲しい。


「口外はしないよ。他人の情報を了承もなく渡すとか、普通に人として失礼だし、そもそもギルド長として信用問題になるような事はしないさ」


「うむ、それならいい」


「というか、君の情報を無断で流したら、君のとこの悪魔が来そうだから嫌だよね」


「あー、やるかも」


バティンなぁ。戦闘能力は超高いし、所持している権能も良いモノばっかりなんだけど、性格と、後ついでに対価があれ1時間の命令権だからなぁ。割と時間も取られるし、そもそもバティンが必要な案件なんてそうそう無いし、あんまり呼び出してないや。ここ最近になってやっと異界アナザーワールド魔線・マジックラインを使えるようになったから、一応ちょくちょく魔界に居るバティンとは連絡してるんだけど。まぁ、バティンに『別に連絡をせずとも、主が我を呼びたい時、好きに呼ぶといいぞ?我は主のモノだからな』とか言われたけど。でも、流石に放置はそれはそれで人としてどうかと思うので、割とちょくちょく、そこはかとなく些細な事で連絡してるけどね。あいつ、私への想いを言わなかったら仲の良い友人みたいな感じの性格してるから話しやすいし。


まぁ、私への想いの丈を一切言わなかったらなのだが。


「ま、それはそれとして、だ。実際問題、これは調べなければいけない案件だね。最初、羽根を千切られていた。普通の動物や魔物なら、わざわざ羽根を千切ったりはしないだろう。そのままぺろりと食べられるだけだろうね。だけど、アオイの所のフェイ。彼女の羽根は千切られて、そして下水道の出入り口の前にいた………下水道の中が怪しいけど………他の可能性も十分にあるね。あの辺りは人の通りが少ないから」


なるほど?よくわからんがなんとなく理解した。


「とりあえず、ギルドからの依頼って事で、この事についての調査依頼を出しておくよ。報酬は出来るだけ高めに設定してね。なんかきな臭いし」


きな臭い、ねぇ。まぁ、わざわざ羽根を千切る必要性が無いからなぁ。確かに、不自然で不可思議ではある。


「でも、これは多分見つからないだろうな………まず、妖精を見れる人間が少ない。アオイの推測からするに、神聖属性の適性が無ければ妖精を視認する事は出来ないんだろう。僕じゃ無理って訳だ。今のところ、この街にいる冒険者で加護持ちなのは3人だけだしね。厳しいとしか言えない」


「3人も居るのか」


「君含めてね?」


「つまり実質2人?」


「君は………うん、無理だね」


よくわかっていらっしゃる。


「そもそも、加護持ちだとギルドに対して明言しているのが2人、というだけだからね。もっといるかもしれないけど、それは僕の預かり知るところじゃ無いよ。君みたいに隠している人は割といるからね」


そりゃそうだ。教会の狂いっぷりを聞いて加護持ちだと明言する訳が無かろう。なんだよ加護持ちの妻子持ちの男性の家のベットの中で裸で待って子供を作ろうとするって。普通に考えて頭おかしいだろ。………そもそも、加護を持っている人物と子供を作った子ところで子供が加護を継承する訳が無いのだから。加護とは神からの賜り物。つまり、生まれ持って加護を所持している事はそうそう無いのだ。生まれ育ち、そして生物としての生を謳歌する中で、本当に偶然賜るようなモノである。………という、知識についての記憶がある。多分、性別神様に貰ったモノだろう。多分、女性関係の記憶を貰った時に一緒に貰ったんだと思う。


まぁ、この知識が私特有のモノなのか、それとも加護持ちの存在なら誰でも持っているのかは知らないけどな。別にそうなのかは知りたくもないから調べねぇけど。


「………まぁ、いざとなったらギルドからの緊急依頼って事で下水道を調べるけどね。………というか、うちの街の下水道ってかなり管理されてる筈なんだけどな………一応、管理局には連絡しておこう。ついでに下水道の事前内部調査って事で、感知系スキルの冒険者達も数人送るか………下水道だと魔法道具が多くて魔力感知じゃ駄目だからなぁ………あぁ、その前に下水道の管理局に依頼の事を話しておかないと………」


「うちのバティンでも同行させようか?」


私は行かないけど、バティンなら向かわせられるしな。


「うーん、今のところは要らないかなぁ。………とりあえず、まずは下水道の内部をくまなく調査してからだ。それで何かがあったら、アオイの契約悪魔の力を借りるかもだ。時と場合によるけどね。力が必要な時はためらないなく借りるとするよ」


「ん、任せとけ」


うちの悪魔なら幾らでも貸してやるぜ。私がちょーっとだけ対価を支払えばいいだけだからな。その対価も私が面倒なだけで別にそこまで重くないし、条件に至っては何も無いし。まぁ、バティンを貸した分だけの報酬はちゃんと貰うけど。んー………1時間で白金貨10枚(私の計算によると白金貨は日本円にして1枚で約100万円だと推測される)はどうだろうか。なんか知らないけどバティンは強いらしい。Sランク級だとかなんとか。まぁよく知らないけど、強いなら多分それくらいのお金を払って貰っても文句は言われないだろう。強大な戦力を、たった1000万円(私の推測なので違う可能性はあるが)で買えるのだ。普通に安いだろう。というか、わざわざちょっとした事でうちのバティンを呼ばれたく無いから高く設定してやろう。本音を言うなら白金貨100枚くらいでもいいくらいだ。なんせバティンはアレでもうちの悪魔だ。そして、バティンは私のモノ・・・・だ。誰にも渡さないし、誰であろうと奪わせない。


………私は小さい頃から他人よりも独占欲が強かったが、生物の所有権になると急激に独占欲が強くなるな………今、初めて知った。やはり、バティンが命ある存在だからだろうか?今思うと、アクにも同じような独占欲を抱いている。やはり、私は生物に対する独占欲が他のモノに対する独占欲より何十倍も強いのだろう。………それが良いのか悪いのかはわからないが。


「………ま、後はお菓子食べてゆったりしてれば解決するさ。気長に待つとしよう」


「うむ、美味い」


「こっちの新作も食べるかい?」


「食べる」










5日後、私はミゼルから話を聞き、フェイ達妖精に関する事件が解決した事を教えてもらった。割と衝撃だと思った事実と共に。


………なんでも、下水道内部に秘密の通路のような物が新たに出来ており、その先で数多の妖精達を捕獲して、その妖精の羽根を乱獲していた加護持ちの50代の男がこの事件の首謀者らしい。その男はこの街の住人──ではなく、山を二つ程越えた同じ国のある街で、評判の良い薬師をしている男性らしい。薬を製作する際に望むような効能を引き出しやすくなる加護である『薬神の加護』を持っているらしく、その加護を持っている事で有名らしかった。


しかし、ある時その男は街中で妖精を見つけ、お菓子と神聖属性の魔力を渡す事で、タイミングよく羽根の生え変わりのあった妖精が己の羽根を男に渡したそうだ。男は何かに使えるかと思ってその羽根を粉状にして薬に入れてみたところ、あらゆる薬の効能が飛躍的に向上が見られたんだとか。具体的に言うなら、最低ランクのポーション(擦り傷を治せるレベルのポーション)が、上から二つ目程度の効能のポーション(四肢の欠損レベルの大怪我は治らないが、大抵の怪我や病気なら即座に治るレベルのポーション)になる程らしい。そこで男は考えついたそうだ。


"妖精の羽根さえあれば、沢山の人を救う事が出来る"


と。………が、妖精の羽根が生え変わる周期は1年に1度だけ。しかも、妖精によっては2年に1度の個体も居るのだ。男は10年以上の年月をかけ、妖精についての研究を行い、その事を知ったのだ。そして、妖精の羽根は非常に希少だ。抜け落ちた生え替わりの羽根であっても、加護を所有していなければ決して視認できず、ましてや触れることすら叶わないモノ。誰かから買い取ろうにも、妖精の羽根はまず売っていない。売っているだろうと推測した裏オークションに赴いても、あまりにも希少過ぎて、男にはその金額の僅かさえ払えない始末。だが男は、どうにか妖精の羽根を手に入れようと考えた。


──それこそが、妖精の捕獲。男が住んでいた街とは別の街の地下深く、己以外の誰であろうと出入りのできないような場所を作り出し、その場所に捕獲した妖精を監禁。1日1回妖精の羽根を千切り、神聖属性の魔力を与えて羽根を修復。これを繰り返す事で妖精の羽根を大量に確保していたのだ。わざわざ羽根を千切っていた理由だが、妖精の羽根は神聖属性の魔力を持つ物品か生物でないと触れられないからだそうだ。妖精の身体の方は神聖属性の魔力を持つ生物以外視認できないだけで触れる事が出来るが、羽根のほうはそうもいかないらしい。


そうして数多の妖精達を長年かけて捕獲したらしい。しかも、その男の家の地下にある転移門(対になっている門へと一瞬にして移動できる魔法道具)を用いる事で、短時間で別の街へ行って帰ってくる事により、実質的なアリバイすら作り出していたと言う。なんと巧妙な手口だろうか。


が、今回、冒険者のあるパーティーが下水道内の不自然な空間を発見し、その報告を受けた冒険者ギルドと街の衛兵達が協力する事で、その男の確保に成功したらしい。また、地下に監禁された総数184匹の妖精達は、全員適切な治療をした後で、全ての個体を自然に戻すんだそうだ。犯人だが、妖精の羽根を求めるが為に妖精達を傷つけてしまっていたが、その志や目指すモノは明確な善であり、妖精達に死亡者が1人も居ない事、妖精達が男を許している事、男の評判がとても良い事、薬師としての腕がかなり良いから、男の罪は『国に仕えること』となった。また、この事件を世間に公表する事はやめ、表向きには『優秀な薬師が国お使えの薬師に出世した』という感じらしい。つまり、私の預かり知らぬ場所でのめでたしめでたしである。



………ちなみにだが──


「お母さん、フェイと冒険者ギルド行ってくるね!」


「!、!!」


「うん!今日も一緒に頑張ろうね!」


──うちにはまだ、フェイが残っている。


………本来は自然に戻そうとしたのだが、なんでか私もレイカもフェイにかなり懐かれてしまい、その上フェイが私達から欠片も離れたがらないので、フェイは2人のうち、より懐いているレイカの従魔として、冒険者ギルドに登録する事になったのだ。


「今日もまた戦ってくるの・・・・・・?」


「うん!今のところ全戦全勝だから!」


「!!、!!」


しかも、何でかは知らないが、冒険者ギルドにいる冒険者達と、決闘というか組み手というか、とにかく戦いに行っているのである。しかも、ちゃっかりマリンちゃんも連れて、だ。最初の方は、小さな子供、しかも女児と妖精だからと舐め腐った態度で接されていたらしいが、今ではレイカとフェイの方が挑戦を受ける側だそうだ。後、レイカが前衛、フェイが後衛というフォーメーションでやっているらしい。マリンちゃんは観戦らしいが、なんか色々な魔法が見られて凄く楽しいんだそうだ。なんて逞しい子。


そうそう。なんでも、レイカはSランク冒険者に匹敵、というか割と凌駕する程の身体能力を持っているんだそうだ。ミゼルがそう言ってたんだから間違い無い。フェイの方はSランク冒険者以上の魔力量だってさ。最初聞いた時は普通に嘘かと思ったよね。直接見に行って内心めちゃくちゃ驚いたけどな。


ちなみに、レイカとフェイが昔の私みたいに勧誘を受けまくっていたが、自分達、つまりレイカとフェイを倒して、ついでに私の許可を貰った人なら勧誘を考える、だそうだ。………勧誘までの道のりを2段階にして、更には確約するのではなく"考える"って言ってる辺り、私の娘って感じするよな。しかも、私の許可を貰うには、あの2人を倒さないと許可を貰っても意味は無いって言ってたから、私に対しての無意味な勧誘が無いのは普通に嬉しかった。嬉しくって普通に2人を褒めちゃったよね。


「ま、いいや。気を付けて行ってらっしゃいな」


「うん!行ってきまーす!」


「!、!!」


今日も今日とて元気な子らだよ、ホント。私にもその体力を半分くらい分けて欲しい。ついでにレイカはその身体能力の欠片くらい私にくれたりしないかな。ついでに。というか、私の娘なのに身体能力がめちゃめちゃあるの狡くないか?私は狡いと思う!強い魔法ぶっ放すよりぶん殴った方が楽しいって絶対!!絶対爽快だから!!衝撃が私に直接来ないと殴った気にならないから!!


「………パンチングマシンとかないかな………」


割と誰かが作っていたりしそうではある。一回も見た事ないから多分無いんだろうけども。そして、例えあったとしても、私の筋力じゃ使えないだろうけど。


この世界の住人達は基本的に強くなると、その分の実績を手に入れて身体能力が上がっていくのだ。勿論鍛えればその分強くなるし、それに合わせて実績に付随するスキルの効果によって強くなるのだ。魔力量で例えるなら、普通に魔法を使い続ければ魔力量は増えていく。上がり方は緩やかだが、着実に上がっていく。そしてそこに、実績によるスキルによる魔力量の上昇が加わるのだ。故に、そこに強者と弱者の明確な"差"が生まれる訳である。


しかし、実績というのは、獲得する条件さえ満たせれば個人の才能や運に関係無く、あらゆる万人に与えられるモノである。少なくとも私はそう思っている。というか、事実そうなのだ。条件さえ満たせれば、あらゆる実績は獲得できるのだ。そう、条件さえ満たせれば、だ。


例えば、有名どころで言うならば【英雄】の実績だろうか。この実績は、自身と同じ種族の1000人以上が恐れ、尚且つ自身よりも格上である敵対者を手段を問わずに殺害し、その事実を自身と同じ種族の100人以上が知っている事が必要な、非常に有名な実績である。何故有名なのかと問われれば、その問いは簡単だ。


──実績は、魔物にも適応されるからである。


わかりやすい具体例を出しながら説明しよう。この世界には、ゴブリンという魔物が存在している。人間と同じように一体一体が非常に弱く、多くの場合で群で行動を行い、繁殖力が人間以上で、対象がどんなメスだろうと種類や種族を問わずに子を孕ませる事ができ、一部地域では"小鬼"と呼ばれる程比較的小さな魔物である。さて、このゴブリンという魔物の大半が恐れる敵対者・・・とは………一体どんな存在だろうか?


………ゴブリンの敵対者・・・の条件としては、戦闘員であれば大抵のゴブリンよりも格上であり、大半のゴブリンが恐れを抱き、そして、非戦闘員であれば大抵のゴブリンよりも弱く、他種族のメスに比べて極上の胎を持つメスがおり、ゴブリンと同じように大量に存在する敵対者・・・とは………実に簡単な答えだ。


──ズバリ、その・・敵対者とは人間である・・・・・・・・・・


…冒険者あれば、少し鍛えれば駆け出しの冒険者でも1対1なら殺せるのがゴブリンである。大抵の場合において負けはない。群れで来られれば危ないが、それでも人数が居れば対処自体は可能である。人間はゴブリンと同じように数が多い為、どんな場所にいようが現れる。その為、大半のゴブリン達は人間を恐れる傾向にある。また、ゴブリンの巣は一つで1000匹を越えるなんて事はよくある事だ。その大半が人間を恐れるのである。


そして、人間の非戦闘員と、ゴブリンならば、ゴブリンの方が強い。勿論抵抗すれば時間は稼げるだろうが、ゴブリンの方が力も強く、そして直ぐに仲間を呼んで数が増えていく。非戦闘員に勝ち目などないだろう。そして、人間のメス、特に若いメスはゴブリンの子を孕ませる苗床として非常に優秀である。ゴブリンと同じ人型の生物を孕むという点でゴブリンも人間も軽く一致している為、他種族の魔物に比べて都合が良いのだ。他種族と比べて圧倒的に数を揃えやすい、というのもあるが………1番の理由は、繁栄の為だ。ゴブリンの大半は人間を恐れるが、恐れようともゴブリン達は人間を襲う。でなければ、ゴブリンという種族が滅びてしまうからだ。種族の繁栄の為なら恐怖に恐れず行動するのが、殆どのゴブリンである。


そして、だ。ゴブリン達はその数の暴力により、稀に自身よりも格上の人間を殺害する。そして、そのまま幸運にも巣穴に戻り、その事柄を知るゴブリンが増えて行けば──『ゴブリンヒーロー』。つまり、ゴブリンの中の【英雄】という実績を持つ個体の完成である。


【英雄】の実績に付随するスキルの効果は絶大だ。〈身体能力極化〉〈魔力極化〉〈カリスマ〉〈幸運上昇〉〈全属性耐性極化〉〈知力極化〉の、計6つの効果を持つからである。わかりやすく言うなら、身体能力が極限に高くなり、魔力量が数値にして50は底上げされる。また、絶大なカリスマにより周囲に存在する同種族の全属性ステータスを10%向上させ、己の幸運を僅かに上げ、あらゆる属性への耐性が極まり、その知能、つまり賢さも極まるのだ。これこそが、【英雄】の実績の効果である。これほどに非常に強力な実績を手に入れたゴブリンだ。戦場に1匹存在するだけで厄介極まりないし、更にはゴブリンの群れなんてモノが周囲にいれば脅威でしかない。故に、発見されたらかなり優先的に討伐されるのだが、ゴブリンヒーロー自体がかなり強く、冒険者ギルドの魔物の危険度の判定にして、群れと共にあるならBランク、単独ならCランクに匹敵するんだそうだ。


ちなみにこの具体的な説明だが、どんな生物であっても実績を手に入れられ、どんなに才能が無くても条件さえ満たせば実績を獲得できると示す為の、ギルド側が教えてくれる説明の中の一つあったりする。この前、ミゼルが台本みたいなのを紙に書いていたので、その紙を貰って家に戻ってからスマホの方に移しておいたやつである。そのまんまの文章をスマホに書いてあるのだ。なんせスマホに書いとかないと忘れそうだったからな!私の記憶力を(悪い意味で)舐めるんじゃないよ!


「………本でも読むか………」


色々と頭の中で考えたりしていたが、ちょっとばかり疲れたので休憩しようと思った私は、スマホの画面を投影して、電子書籍を読み始める。うむ、これなら、私は側からみれば寝転びながら空中で指を動かす変人にしか見られないだろうな。………言葉にすると、なんか絶妙に嫌だな。いや、別にこれ魔法だから思考でスマホを操作できるんだけどね。指を動かしてるのだって、指の動きと私の思考を連想して使ってるだけだし。けどまぁ、慣れてるのは指を使う方法だよね。慣れれば思考操作だけで使えるんだろうけど………慣れてる方を使っちゃうよね。楽だし。あやまぁ、スマホの事をバレないようにする為には思考操作の方がいいんだろうけど、面倒だからね仕方ないね。


というか、今の私の実績ってどんな感じなんだろう。確認するか。


解析理解アナライズ


ちなみに、出てきた詳細はこれである。



名前:松浦 葵

性別:女

魔力量:581

ユニークスキル:性転換(神の加護により隠蔽中)

実績:

【器用貧乏】

【悪魔の婚約者】

【一点集中】

【読書家】

【口撃者】

【看板娘】

【聖女】

【影悪魔の母】

【新技術開発者】

【謎の解決者】

【妖精の友人】

【擬似再現者】

【見習い魔術師】

【魔術師】

【契約魔術師】

【上位契約魔術師】

【雷魔術師】

【上位雷魔術師】

【光魔術師】

【上位光魔術師】

【毒魔術師】

【上位毒魔術師】

【音魔術師】

【上位音魔術師】

【妖魔術師】

【空間魔術師】

【上位空間魔術師】

【深淵魔術師】

【上位深淵魔術師】

【見習い契約者】

【契約者】

【悪魔契約者】

【上位悪魔契約者】

【公爵級悪魔契約者】

【見習い召喚師】

【召喚師】

【上位召喚師】

【悪魔召喚師】

【上位悪魔召喚師】

【公爵級悪魔召喚師】

【ソロモンの断片No.18】

【性別神の加護】(神の加護により隠蔽中)



おぉ、【魔術師】関係の実績が大量に増えたからか、魔力量が前回確認した時より合計で200以上も増えているではないか。素晴らしい。他に増えたのと言えば………【影悪魔の母】【新技術開発者】【謎の解決者】【妖精の友人】【擬似再現者】の、計5つだろうか。………まて、【妖精の友人】と【擬似再現者】はまだ理解できるが、【影悪魔の母】と【新技術開発者】と【謎の解決者】は、何故獲得している?


まずは【影悪魔の母】だが………もしかしなくても、レイカの事だろうか?母って付いてるし………そうなると、レイカが影悪魔という事になるのだが………?確か影悪魔って、前の世界で『ドッペルゲンガー』だとか言われてた悪魔じゃなかったっけ?身体能力が人間よりも低い代わりに、魔法を伴わない完全なる変身能力を持っている種族、だとかなんとか………レイカって別に身体能力は全然低く無いよな?Sランク並みって言われてたし………まぁいいか。レイカが(おそらくは)影悪魔って存在だと分かっただけでも良しとしよう。ついでに言うと割とその辺はどうでも良いし………


次だが、【新技術開発者】ってのはなんだろう。新技術?この私が何か新しい技術を開発したという事か?控えめに言ってあり得ないのだが………?まぁ、何にしてもいずれ分かるだろう。新技術なんて言うのだ。何かの機会に誰かに見せてみたら何か分かるんじゃないだろうか。その新技術ってのがどの話なのかわからないので、私から故意に見せることはできないのだが………まぁ良いだろう。


それで、最後の【謎の解決者】だが………これだけは本当にわからない。他二つにはこれかな?という心当たりっぽいモノがあるにはあるのだが、これだけは本当に理解できない。私が預かり知らぬところで何か解決したという事だろうか?しかも獲得実績じゃなくて付加実績、つまり誰かしらに言われて獲得するタイプの実績みたいだし………別に何か解決した記憶はないのだが………まぁ、放置で良いか。魔法で確認した実績ではあるのだから、私が何かをやった結果に手に入れたんだろう。ならば問題は無いな!


うむ、割と久しぶりにステータスを覗いたのだけれど、こんなに変わっているとは思わなんだ。これからはもっとちょくちょく確認すべきか………?でもなぁ、確認とか別にしなくても生きてけるから、相当暇にならないとやらないしなこれ………まぁ、気が向いたらやるって事にしよう。具体的に決めてもどうせやらないからな。


「お腹空いた………」


とりあえず、小腹を満たしに行くか。












………というか、あのパンデミックは一体何だったんだろう?妖精とは関係無いっぽいし………偶然だったのか?


いや、まぁ。面倒そうだから、私は調べたりしないけど。

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