マリンちゃんと私が一つ屋根の下ってマジ?


私がマリンちゃんに魔法を見せまくって魔力切れで机に突っ伏して10分程そのままでいると、とんとんと肩を叩かれた。少し視線を上げると、そこにはミナが立っていた。


「………あー………ミナか。すまん、今、魔力切れだ………」


「それはわかってるわ。そうじゃなくて、魔力切れの原因は誰なの?」


「えー?マリンちゃんかなぁ………魔法見たいって言ってくれたから、危険じゃないの厳選して見せたげてたから」


「………魔法を、ね。見せてたの?」


「んあ、見せてた。初級の簡単なやつ」


「そう。………衛兵さんは外にいるけど、中に入ってもらった方がいいかしら?」


「あー、私らの方から行くよ。流石にそれは申し訳ない」


ちなみに当の本人であるマリンちゃんはかなりの人見知りらしく、新しくこの場にいるミナに対してかなりの緊張をしているらしくて、さっきまでの魔法を見せていたマリンちゃんのように話してはくれないらしい。そもそも、恥ずかしいのか何も喋ってないで私の後ろに隠れてるけど。


「ほれ、マリンちゃん、行くよ」


「………っ………うっ………うんっ………」


私はマリンちゃんを抱きかかえて持ち上げると、そのまま玄関、というより入り口まで移動する。そこには、上から下まで全身を光沢のある鎧で固め、盾と剣を持っている衛兵が2人、そこに立っていた。片方は男の人、もう片方は女の人らしい。


「おぉ、その子が件の迷子、ですか?」


「あぁ、はい。市場の方でぶつかった時に、お母さんを探してほしいと言われたんです。この子も疲れてるだろうから、衛兵さん達にはこっちまで来てもらいましたけど………すいません」


「いえいえ、これくらい平気ですよ。疲れたままというのも辛いです。子供なら尚更でしょう。良い判断ですよ」


「ありがとうございます」


「それでは、一先ずは情報収集を致しましょう。件のその子はかなりの人見知りのようですから、できるだけ貴女から」


「そうですね、その方がいいかもしれません」


私は、私の知り得るマリンちゃんのお母さんの情報を話した。お母さんはマリンちゃんのことを好いていること、かなりハイテンションな人であろうこと、マリンちゃんと同じ黒髪赤目の人であること、最低でも火の魔法を使えること、主婦と冒険者を同時にこなしていたことなど………マリンちゃんと色々話していて知った情報も、全て話した。


「ふむ………火属性を持つ冒険者で、黒髪の赤い目………娘のことを好いており、感情の昂っている女性………ですか。冒険者のランクなどはわかりますか?」


「いえ、多分ですけど、マリンちゃんもわからないみたいなんですよね。冒険者ってことはマリンちゃんに言ってたみたいなんですけど。マリンちゃん、冒険者のランクって知らないみたいだったので」


「………なるほど………ご協力、ありがとうございます。これだけあれば、おそらくは探すことができるでしょう。冒険者ギルドに連絡をすれば、かなりの確率で見つけることが出来ます。件のその子は、どうしましょうか?」


「?どうします、とは?」


「いえ………やはり、人見知りの子というのは一定数存在いたします。見つけた方が見るからに悪人のような方ならこちらで引き取りますが、貴女はそうは見えません。その場合、人見知りの子は発見した方が預かった方が良いんです。始めての環境、見慣れぬ人。そんな場所では具合も悪くなりますから………ですが、貴女なら私達よりも慣れていることでしょう。この子の辛さも軽減する筈です。ですから………どうしますか?」


「………そう、ですね………」


つまり、人見知りのマリンちゃんを私が預かるか、衛兵さん達が預かるか、になるわけね。うーん………私が預かってもいいけど、預かれるのだろうか?私、子供の面倒を見れるのか?………うん、私が預かろう。ちょっと、心配だしね。


「………私が預かろうと思います。これでも一応は、心配、ですから」


「そうですか………それでは、母親が見つかり次第、こちらに伺いますので。………最低でも、1週間後にはお伝えできるように致します。それでは」


衛兵さん達はそれだけ言うと、少し早足で帰っていった。最初から最後まで女の人は一言も喋っていなかったが、寡黙なのだろうか?


「とりあえず………マリンちゃん、これでなんとかなるね」


「………はっ………はいっ………!」


私はマリンちゃんを抱えたまま、店の中に戻るのだった。














そして、私がマリンちゃんと出会った次の日。マリンちゃんのお母さんは簡単に見つかった。なんと、マリンちゃんのお母さんは一昨日の昼から冒険者として依頼を受けていたそうだった。昨日までには帰るとマリンちゃんには言っていたそうだが、不慮の事態があって帰るのが遅くなってしまったらしいかった。ちなみに、不慮の事態と言っても命に関わるようなものではなく、単純にポカやらかしただけらしい。何やってんだマリンちゃんのお母さん。


「いやー!ごめんなさいね!マリン!」


「わっ、私っ、お母さんが帰ってこなかったからっ、び、びっくりしたんだよっ!!」


「ごめんなさいねー!」


マリンちゃんのお母さんはフェリスさんと言うらしく、髪色も目の色もマリンちゃんと同じである。家族はマリンちゃんとフェリスさんの2人だけだが、家族中は良好っぽい。


「アオイちゃんも、マリンの面倒見てくれてありがとね!助かったわ!」


「はぁ、まぁ、どうも」


フェリスさんがかなりハイテンションで、コミュニケーションが苦手な私では対応が辛い。決して悪い人ではないんだろうけど、まぁある程度は苦手なタイプだ。いや、別に私はコミュニケーションが出来ない訳でも苦手な訳でもない。ただ聞くのが専門なだけだ。そうだ、私は聞き専なんだよ。ほら、会話ってのは話す側と聴く側が必要じゃない?私は常に聴く側にしかいないだけだから。


「マリンがここまで気を許す相手もアオイちゃんくらいよ!ありがとね!」


「そうなんですか?」


「まぁね!うちのマリンは人見知りだから!友達もいないのよ!」


「ちょっ、ちょっとっ、お、お母さん?!わ、私にだって友達くらい、い、いるよっ!あ、アオイお姉ちゃんとはっ、も、もう友達だよっ!」


あら嬉しい。年下の子に友達と言われるのは初めてだが、思ったよりも嬉しくて困るなぁ。


「あら!そうなの!アオイちゃんもこんな子でいいの!?」


「いやまぁ、いいですよ。私もそこまで友達いる方じゃないんで」


話せる相手は学校にある程度はいたけれど、自分の完全な素を見せられた人は少なかったと思う。えっと、私の友達は………あー、ガチなロリコン女とか、純粋無垢過ぎる男とか、腹黒で毒舌の女師匠とか、秀才な女常識人とか、ある意味天才な馬鹿男とか………くらいかなぁ。へへっ、5人しかいねぇや。………少ない、よなぁ………はぁ。私の交友関係狭過ぎ。


「それはよかった!そうだわ!アオイちゃんに頼みたいことがあるのよ!」


「頼み………ですか?」


「ええ!私が冒険者の依頼をしてる時!マリンをアオイちゃんに預けてもいいかしら!?1日で終わる依頼よりも何日もかけてやる依頼の方が報酬がいいのよ!だから!そんな依頼を受ける時は!マリンをアオイちゃんに預けてもいいかしら!?」


「え、まぁ、はい。良いですよ。私もマリンちゃんのこと、ちょっと心配ではあるので、私の都合とマリンちゃんの都合が合えば、ですけど」


「ありがと!」







──なんて、そんな会話をフェリスさんとしたのは4日前の事だ。そう、まだ4日しか経っていない。が、フェリスさんは一昨日から依頼で少なくとも2日は帰って来れない依頼を受けてきた。いくらなんでも使えるモノを使い過ぎではと思ったが、多分私がフェリスさんの立場なら、1人では心配な子供を預けておける場所があるなら確実に預けるだろうなと思ったので、何か言うこともできなかった。


「あ、あの、アオイお姉ちゃん。ここは、どうやってやるんですか?」


「んー、ここはー、そうだな………銅貨使って計算するか」


この4日間でマリンちゃんの人見知りは私と2人きりの状況なら既に殆ど無いらしく、かなり円滑な会話ができるようになっている。ミナともある程度話せるようになってきているらしく、実に見ていて微笑ましい。最初、マリンちゃんを預かると言うことでマリンちゃんをうちの店の何処の部屋に寝泊りさせようかと思ったのだが、ミナが『どうせらならアオイの部屋で一緒に過ごせばいいじゃない』と提案してくれたので、私もマリンちゃんもそれを了承したことから、今は同じ部屋で過ごしている。フェリスさんが依頼で家にいない間は、だけど。


私は今、昼間の食事処だけ仕事をして、夜間はマリンちゃんを寝かしつけてから夜間の仕事をこなしている。ミナや店長さんには苦労をかけてしまうが、預かった私が責任持ってマリンちゃんのことを見ているので、2人には非常に申し訳なかったりする………なんてことはなく、言ってしまえば別に合法的に仕事をサボれるので、私的にはかなり美味しい。マリンちゃんのことを見ると言っても、マリンちゃんは食事やトイレは1人でできるし、お風呂も私が入る時に一緒に入ればいいだけ。その他にも、私が新しく借りてきた絵本を読んだり、ちょっとした勉強をするくらいしかやることがないが、別に苦労することでもないので本当にサボっている感じである。


「あら、今日もお勉強なのね?」


私が自室でマリンちゃんに四則演算を教えていると、ミナが飲み物の紅茶と軽食のサンドイッチを持って来てくれた。今は昼間営業と夜間営業の合間であり、私も丁度小腹が空いていたのでナイスタイミングだった。


「まぁ、勉強と言っても簡単な算数だけども」


「あら、必要なことじゃない、算数。お買い物の時には必須でしょ?」


「せやなぁ」


というか、私が教えられるもので、マリンちゃんが分かりそうだったのが算数くらいしかなかっただけなんだけど。今の私はこの世界の言葉を何故か言えるし読めるし書けるけど、どんな原理で言えるのかも読めるのかも書けるのかもわかっていない。わからない言葉の読み方くらいならなんとかなるだろうけども。だから、言語関係は全く教えられない。マリンちゃんの大好きな魔法やその属性の勉強は私がまだダメダメの初心者なので無理だし、そもそも魔法は使い方を間違えれば危険なモノなのだ。私達を監視、いざという時の対応をしてくれている人もいない状況で、そんな危険がことはできない。まぁ、その場合、確実に私が責任を負う事になるからやりたくないってのが本音だけど。


「マリンちゃん、お勉強は楽しいかしら?アオイに無理難題を出されてたりしない?」


「あのっ………えっ、と………大丈夫………ですっ………!」


「そうだそうだー、もっとミナは私のことを信頼しろー」


「アオイ、貴女の事を信頼しているからマリンちゃんの心配をしているのだけれど?」


「どういう意味だ」


何?私が物凄い鬼畜って事?かなり心外なんだけど。私、割と自分は優しいんじゃないかって自覚あるよ?


「あら、どういう意味だと思う?」


「………んー、わからん」


わからんというか、考えるのが実に面倒だから考えたくない、ってのが正解なんだけど。私は多分頭が回る方だけど、別に常日頃から頭の中を回転させる必要性は無いからなぁ。そんなことしてたら確実に疲れるし、別に普段は何にも考えずに返答してもなんとかなるからいいんだよ。


「まぁ、それより。マリンちゃんのお母さん、丁度帰ってきたわ」


「っ!おっ、お母さんが!?」


「ええ、無事に。会いに行ってあげなさいな」


「はっはい!」


マリンちゃんは先程までやっていた勉強を放り出し、その目にキラキラとした何かを浮かべて元気よく走って行った。うーん、可愛い。ほんと小動物みたいな子だ。私も紅茶を飲み干してから、どうせならとミナと一緒にマリンちゃんの後を追いかける。


そうして私とミナが階下まで降りてくると、そこには喜んではしゃいでいるマリンちゃんと、全力ではしゃいでいるフェリスさんがいた。2人してはしゃいでいるのは見ていて微笑ましいものだ。………フェリスさんは今日も今日とて常日頃からハイテンションだけれど、あれって疲れないのかなぁ。あれが素なら疲れないんだろうけど………見てるこっちが疲れてくるな、あれ………


「あ!アオイちゃんにミナちゃん!マリンのことを見ててくれてありがとね!今日も助かったわ!」


「いえ、私も楽しかったんで、いいですよ」


マリンちゃんがいれば、私は堂々と仕事をサボれるからな。しかもサボってもお給料はしっかり出るらしいから、かなり最高だ。まぁ、いつも大抵30分くらいしかサボれないけど。マリンちゃん、ベットに入ってから寝るまでが割と早いんだよね………私も早いけどさ。


だから、サボれるのは30分が限界だ。店長さん相手なら言葉巧みにサボりとバレぬようにできるだろうが、ミナのような相手には効果が薄い。なんというか、自己がしっかりしてて、自分のやりたい事をある程度無理を通してでもやりたい………みたいな感じの人に、言葉はあんまり効果がないのだ。端的に換言するなら、我が強い人かな?自分って芯を持ってる人でもいいけど。とにかく、そういう人は誰かからかけられる言葉の影響が他の人よりも少ない。言ってしまえば、他人の言葉に流されやすいタイプの人は言葉巧みに操ることは難しいができなくはない。が、他人の言葉に流されないタイプの人は言葉で操るのは不可能に近い。いやまぁ、今の私の技術ならってだけで、本当に上手い人は上手くやるんだろうけど。


ちなみに、こう考えている私も実は他人の言葉に流されないタイプだったりする。いや、私の場合は他人の言葉に流されないというか、どちらかと言うと、面倒だからという理由で、私に徳のある流れには乗って、損な流れには乗らない………みたいなタイプである。常に流れに逆らうわけでもなく、常に流されているわけでもなく、その場の状況に応じて流されたり流されなかったりする、ちょっとおかしな方向に我が強いタイプだ。こんな性格の人間を私はこの十何年間で見たことがないので、というかそんな他人の性格なんて非常にどうでもいいので、私以外にこんな性格の人間を見たことがない。もしくは見たことがあるけど興味がないし非常に面倒だしで忘れていることだろう。


「それじゃマリン!帰るわよ!」


「うっうん!………あ、えっと、その、アオイお姉ちゃん………ま、またねっ………!」


「おー、また今度ー」


私が無駄に思考をしている間に、マリンちゃんとフェリスさんは帰っていったみたいだ。一応、マリンちゃんの『またね』という非常に可愛らしい発言を聞き取れたので、私的にはまぁ満足している。本音を言えばお姉ちゃんではなくお兄ちゃんと呼んで欲しいのだが、まぁ、流石にそれは無理だろう。というかそんなことを言ったら秘密がバレる可能性が………例え秘密がバレなくても、多分勘違いされる。それは普通に人として嫌なので、流石に言わないでおこう。


さて、マリンちゃんはお家に帰ってしまった訳だが、もしかして片付けは私の仕事だろうか?いや、別にそれくらいならいいけど。んー、ミナにも手伝わせようかな………確実に断られそうだけども、言うだけ言ってみるかなー………言うだけタダだから。いやー、言葉って私が出すだけなら原価無いから幾らでも出てくるぜ。なんかの情報じゃなくて、ただの無価値で適当な世間話でもない内容の全くない言葉なら原価ゼロだもんねー。あー、会話するだけでお金が欲しい………人生相談とかなら、ワンチャン………ある、か………?


「………無いな」


流石に、人生相談をするだけでお金は取れない。せめて、相談後の進路を提示するとか、多少の補助がないと………相談だけでお金を取ったら絶対やばいだろうし。きっと訴えられたりするんだ。知らないけどきっと訴えられたりするんだ。原価ゼロの簡単に手に入る商売なんて無理だったんだ………


まぁ、正直言葉をかけるくらいなら誰がやっても同じ………ではないか。個人個人には立場があるし、何より主観的な発言になるだろう。そういう時、客観的な立場は必要になるのではないだろうか?そう考えると、相談でお金を取るのはいいのでは………?そう、この場合の私が売るのは言葉ではなく立場。客観的な立場、というモノを売るなら、別に良いはずだ。訴えられたりはしないだろう。信頼され、信用されるような、確固たる立場。………これは売れる。爆売れとまではいかなくても、売ることはできる。信頼や信用は積み重ねれば自然に獲得できるし、客観的な立場はやり始めればその時に手に入るから関係ない。


そして何より、これなら私の仕事の合間にできる。この宿屋で働いていても、できる。夜営業の時なら幾らでもできる。お酒が入れば私に気を許してくれるだろうし、酒場で相談事をするのは良い考えなのでは………?


「まぁ、やらんけど」


ここまで適当に思考してたけど、まぁ、相談を聞くってのは面倒だよね。そもそも、相談に応じてお金を取るってサービスを酒場の時に普及させるのが面倒だし、何よりそう簡単に理解されないだろう。パッと思いついたはいいが、簡単に始められなさそうならやる気も起きない。私は面倒くさがりなのだから。


「これでいいか、もう」


とりあえず、ミナは部屋までの帰り道で全く見当たらなかったので、私1人だけで後片付けをしておいた。多分宿屋の方のお客さんに対応しているのだろう。私は宿屋の仕事を殆どしたことないけれど、大変なのだろうか?………大変なんだろうなぁ。私、今のところ食事処と酒場でしか働いてないし、宿屋の苦労はわからんぜ。だって、誰が何処にどれだけ泊まるのかの帳簿みたいなやつ見たけど、よくわからなかったし。よくわからなかったというか、理解しようとしなかったって言ったほうがいいかな?だって面倒そうだったし、理解したなんてミナに言ったら宿屋の方も手伝われそう。その分お給料は増えるだろうけど………別に今、お金には困ってないしなぁ………


そもそも、お金は全然使ってない。私の小さな収納ストレージの中に入れただけで、ちょっと小腹が空いた時に露店で何か食べ物を買うくらいしか使ってないしなぁ。今、特別何か欲しいものも無いし。魔法道具とか売ってる専門店は気になるけど、魔法道具ってかなり高いって聞いたから、多分私の持ってるお金じゃ足りないと思う。


ちなみに、この国のお金はこんな感じ。


小銅貨:小さな銅貨。

銅貨:銅製の硬貨。草花が彫られている。

小銀貨:小さな銀貨。

銀貨:銀製の硬貨。小鳥が彫られている。

小金貨:小さな金貨。

金貨:金製の硬貨。獅子が彫られている。

白銅貨:真っ白な銅貨。草花が彫られている。

白銀貨:真っ白な銀貨。小鳥が彫られている。

白金貨:真っ白な金貨。獅子が彫られている。

魔金貨:七色に変色している硬貨。龍が彫られている。


多分、小銅貨で100円くらいで、銅貨は多分500円くらい。小銀貨は1000円、銀貨は5000円………みたいに、日本円と同じように硬貨の価値が上がっていくんだと思う。完全に私の主観的な意見なので、本当にそんな値段だとは思っていない。が、目安として私はこう考えているだけである。そう考えると魔金貨は500万円くらいになるけれど、まぁ、私が使う機会なんて恐らくというか確実にこの先一生ないので、気にしないでおく。500万円の硬貨なんて持ち歩きたくないし。


「んー………暇だし、本でも読んでるかなぁ………」


私は結局、次の仕事の時間まで本を読むのだった。

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