良くない友達

 こんな私にも友達がいて、名前は個人情報だから書かない。ので、【奏多かなた】と書こう。奏多は今思いついた名であるので特に意味はない。【奏多】と書かれた男は私の親友であり、幼なじみであり、そして唯一の友である。小学校から中学校までは同じ学校であったが、高校は圧倒的な偏差値の差により、私の入学した、名前を書くだけで受かるような高校に対し、奏多は偏差値が六十五ほどの高校に入学した。高校は違くなったものの交流は続いており、今でも仲良しなのである。こんな私と友達を続けてくれる奏多は優しい。その優しさにつけ込んで私は「飛び降りを手伝って欲しい」と、奏多に頼んでしまった。「奏多は優しい」ので私の飛び降りの計画を二つ返事で手伝ってくれたのだが、私自身飛び降りに対して不安を抱いているからと言って、奏多に手伝わせてしまったことは少し後悔している。そんな私の気持ちとは裏腹に、奏多はほぼ全ての計画を立ててくれたのだ。ここまでしてもらったにも関わらず、飛び降りは失敗に終わってしまった。私は本当に何も成功できない人間だと再認識させられた。

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